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2024年5月の記事一覧
【歌い手史2018~20】そして歌い手はいなくなる 天月の葛藤 歌い手の終焉【歌い手史を作るプロジェクト】
◆革命のライブ
2019年6月、埼玉県所沢市の西武ドーム。
外では雨が降りしきる中、まふまふが主催するライブ「ひきこもりでもフェスがしたい」は、終幕を迎えようとしていた。
訪れた約4万人の観客の視線がアリーナとスタンドから、15人の人間が立つステージに注がれる。
まふまふ、天月、Eve、Sou、そらる――まふまふと彼が「歌い手の友だち」と呼ぶ15人は一様に疲れた表情をしながら、
【歌い手史2014〜17】ボカロからの独立 まふまふの革命—第2の意味の否定【歌い手史を作るプロジェクト】
第2の意味「ボカロ曲をいわゆるJ-POPのように歌うユーザー」として新たな歩みを始めた歌い手たちは、2013、14年頃、さらなる躍進を遂げた。
ボカロ人気にあやかったことで、再生回数は順調に増加し続けた。スマートフォンの普及などによって新たにネットを利用し始めた若年層を取り込み、ますますファンを増やした。
メジャー進出も加速し、ネットシーンからデビューというルートもほとんど完全に確立され
【歌い手史2011〜13】歌い手はボカロと手を取り合った ”兼業クリエーター”の時代【歌い手史を作るプロジェクト】
2013、14年ごろ、「2ちゃんねる的価値観に沿った歌ってみたを、ニコニコ動画に投稿するユーザー」から「ボカロ曲をいわゆるJ-POPのように歌うユーザー」へと変化を果たした歌い手たちは、数字の上では順調に成長を続けていた。
2010年から2013年ごろまでは、のちにボカロブームだったと語られるほど、ボカロ文化の人気が高かった。大手紙でボカロが取り上げられる回数も、この時期に急増している。
【歌い手史2011〜13】歌い手”第2の意味”の成立 りぶのヒット 「俺達の文化」の消滅【歌い手史を作るプロジェクト】
アンダーバーの「パンダヒーロー」騒動などで露わになった歌い手観の対立は、時を経るにつれて、徐々にその趨勢が明らかになっていく。
対立が顕在化し始めた2010、11年は、まだ両者は拮抗していた。ボカロ楽曲をシンプルに歌うばかりの歌い手もいれば、ネタ的な歌ってみたばかりを投稿する歌い手もいた。
両者が共存し、ある種の多様性があった。
しかし2013年ごろから、目に見えて均衡が崩れ始めた