Vol.7② 法学徒の選択 〜2015年冬、本郷〜
高齢者法からの学び
▲ 大学の扉の向こうに果てしなく広がる法学と文学の世界
高齢者法という科目はどんなものだったのでしょうか?
高齢者法は、アメリカ法の先生がご担当だったこともあってか、アメリカと比較する形で、日本の高齢者に関する法整備や施設の現状などを学ぶというものでした。
それまでまったく知らなかった内容なので興味深かったですし、年齢的にもいろいろ現実的に考えさせられることが多かったです。
この科目もレポートを出したんですが、日本の高齢者の住居問題がアメリカのCCRCから得られる示唆とは何か、みたいなことを書きました。
※CCRC(Continuing Care Retirement Community)とは、高齢者が健康な段階で入居し終身過ごすことができる、継続的なケア付きの共同体です。
「高齢者法」という法律があるんですか?
いえ、高齢者法という科目名ですけど、実際に「高齢者法」という名前の法律があるわけじゃなくて、法分野としての「高齢者法」という意味なんです。
アメリカだけでなく、国内外の高齢者施設について調べてレポートを書いたんですが、いろいろと面白かったです。
たとえば、オランダには「徘徊自由」の村があるそうなんです。
ここには認知症の方と介護者と施設の職員だけが住んでいて、村全体が高い塀に囲まれて閉ざされているんですが、内部にはレストランもスーパーマーケットも美容室も庭園もあって、自由な生活ができるんです。
※オランダのケアグループが運営する介護施設「ホグウェイ(Hogeweyk)」
聞いたことあります!
常に介護者や職員が見守っているので、認知症の方は安全に、好きなペースで、それぞれがしたい生活を送ることができて、徘徊だって、村中どこでも、24時間いつでも好きなだけできるんだそうです。
入居者さんの部屋も、施設や病院の部屋みたいなのではなくて、いろいろな種類があるんだそうですね?
そうですそうです。
無理に閉じ込めておくのではなくて、身の安全を守られたままに自由に過ごせるって、すばらしいなと思いました。
徘徊させないようにするにはどうすればいいか、とはまったく逆の発想で、一つの村がそっくり施設になっているという。
まさに発想の転換ですよね!
それから、これは国内の施設なんですけど、施設の中でだけ通用する「通貨」を使っているところがあるんです。
実際に紙幣や硬貨の形をしていて、なにかプログラムへ参加したりするときにこのお金で支払って、内職なんかをしたらお金を稼げるんです。
※山口県のデイサービスセンター「夢のみずうみ村」
面白い取り組みですね!
しかも、施設にはカジノがあって、このお金で遊べるんです。
ルーレットやトランプなんかで。
射撃とかボーリングも。
お金を出したりしまったり、お金の計算をしたりすることが刺激になって、楽しみながら認知症の予防にもなるんですって。
なるほど! カジノですか!
通貨とカジノを組み合わせたのって、すごくいい発想ですよね。
大人である高齢者の方が大人として楽しめる娯楽が設けられているのが、ユニークな試みだと思います。
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お読みいただいてありがとうございます。
次回に続きます!
Vol.7③ 法学徒の選択 〜2015年冬、本郷〜
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