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Vol.7③ 法学徒の選択 〜2015年冬、本郷〜

Vol.7② 法学徒の選択 〜2015年冬、本郷〜

ロシア・ロシア・ロシア!


そして、ロシア・旧ソ連法も取られたということですが、ロシアにもご興味をもたれていらっしゃるんですか?


ええ、ロシアにもソ連にも興味があります。
この講義では、法や政治を歴史的な国家の変遷と一緒に学ぶことができて、とても勉強になりました。

そもそも、ロシア文学が好きなんです。

ロシア文学もですか!

はじめて読んだロシアの文学は、これはソ連時代だったと思いますけど、ニコライ・ノーソフの『ビーチャと学校友だち』という子ども向けの作品で、これがものすごく気に入って何度も何度も読みました。
大人になってから買い直して、今も持ってます。
すごい名作です!


あまりに好きだったので、翻訳者の和久利誓一さんのお名前も覚えていて、和久利さんがお書きになったロシア語の教科書もつい買ってしまったくらいです。
意味わからないですよね(笑)。


翻訳者さんのお名前まで覚えていらっしゃるなんて!
そうやって、子どもの頃からご興味を広げてきていらっしゃったことが、きっと今の佐々木さんにつながっているんですね!


そうなんでしょうかね。

時代は『ビーチャ』よりも後ですけど、やっぱりソ連時代に書かれた『ニキーチン夫妻と七人の子ども』も好きです。
これはフィクションじゃなくて知育本なんですが。

▲ 児童文学やノンフィクションも含めて多くのロシア・ソ連作品に親しんできた

子育ての本も読まれるんですね!

子育ての本だから読んだというより、単純に興味を惹かれたから読んでみたんですけど、面白かったです。

ロシアに対してもソ連に対しても、文化や教育に興味があるみたいです。
もとを辿るとやっぱり、『ビーチャと学校友だち』の影響が大きいんでしょうね。

ロシア文学といえば、ドストエフスキーとかもお好きですか?

ドストエフスキー大好きです!
何人も翻訳者の方が訳されているので、いろいろ入手して読み比べたりしてます。

ドストエフスキー原作の映画も古今東西でたくさん作られているので、機会があるたびに観てます。
『白痴』には黒澤明監督の日本映画もありますよね。


そうですよね。
佐々木さんお薦めのドストエフスキー作品はなんですか?


たぶん、ドストエフスキーを好きな人はどれも好きになれるのではと思いますよ。

私は『悪霊』、『カラマーゾフの兄弟』、『地下室の手記』、『死の家の記録』が特に好きなんです。


『カラマーゾフ』は、子どもの頃はアリョーシャに感情移入して読んでましたけど、今はイヴァンが一番自分と親和性が高いように思います。
これもそのうちドミートリィやスメルジャコフに感情移入するようになったりするのかもしれませんけど。

作品を読むのって、読み手の年齢とか経験が関わってくるので、同じ本を同じ人が読むとしても、いくつのときに読むかによって受け止め方が変わったりしますよね。

ああ、それはありますよね。

作品と自分のタイミングがぴったりあったときに読めるのが両者にとって一番幸せなんでしょうけど、たまに、楽しみなんだけど読まないままに大事に寝かしておいた本をいよいよと思って読み始めると、「あれ? なんかおかしいな」って思うこともあります。

おかしいのは本じゃなくて自分が、って意味で。

本当はもっと楽しめたはずなのに、読み手の自分がその本にちょうど合う時期を過ぎてしまっていたことに気がつくというか。
しまった、寝かしすぎたって。

そうですね、もっと若い頃に読んでいればっていうことありますよね。

東大に入って、スラブ文学者の沼野充義先生の文学部の授業を履修できたことも嬉しかったです。
先生が翻訳されたスタニスワフ・レムはじめいろいろな作品をずっと読ませていただいてきたので、講義を聴けるなんて、ありがたき幸せでした。

法学部と文学部の教室が近いので、けっこうよく文学部の講義に入り込んでましたね(笑)。

そういえば、これは東大に入るよりもずいぶん前でしたけど、大好きな作家のバルガス=リョサ氏がノーベル賞を受賞されて東大文学部で講演をされたときに聴きに行きました。

たまたますごく前の席に座れて、目の前でお姿を拝見できたんです。
いやあ、感動しました。

実際に講演を聴きに行かれたのですね!それはすごい!

ロシア文学では、他にツルゲーネフの『猟人日記』もソルジェニーツィンの『収容所群島』もブルガーコフの『巨匠とマルガリータ』も、いろいろ好きな作品があります。

私は画家の香月泰男さんの絵がすごく好きなんですが、香月さんの「シベリア・シリーズ」という作品群を見るたびに、ソルジェニーツィンの『収容所群島』を思い出しますし、『収容所群島』を読み直すたびに、「シベリア・シリーズ」を思い出して香月さんの絵を見たくなります。


文学から絵画に。
やはり、お好きなものが連結して広がっていらっしゃって。
それがロシア自体へのご興味にもつながっていかれているんでしょうね。


小説は原文で読めるともっと楽しいんでしょうけどね。
ロシア語も、いつか勉強したい言語です。

ぜひ! 教科書ももうお持ちのようですしね(笑)。

そうですね。準備は万端にしておきます!(笑)


お読みいただいてありがとうございます。
次回に続きます!
Vol.7④ 法学徒の選択 〜2015年冬、本郷〜

佐々木望の東大Days:https://todaidays-nozomusasaki.com
↑ 本noteの元記事

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佐々木望/Nozomu SASAKI
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