『手帖』と手“帳”(4)【『平岡手帖』クラウドファンディング 4月1~30日】
『平岡手帖』のクラウドファンディング( https://camp-fire.jp/projects/view/747748 )が4月1日から始まりましたが、最終日の30日まで、毎日、【『手帖』と手“帳”】と題したコラムの連載(ごっこ)をしていきたいと思います。
前回投稿については、平岡の各種個人アカウント(Instagram/Facebook/X)やnote( https://note.com/nozomu_h )を、クラウドファンディング全体の詳細については下記、あるいは @hiraokatecho をご覧ください)
この“コラム”では、
①『手帖』について(特に、現在構想中の3月号を通して、いかに書いているのか)と、
②投稿日当日や前日のこと=私の実際の手“帳”(A5判のコクヨ製キャンパスダイアリー)に書き込まれた、『平岡手帖』4月号として綴られるはずの出来事
の二つを紹介していきたいと思います(特に4月号は、定期購読していただけた方へ初めてお届けする本になります)。
3月17日に、オンゴーイングで食べたりんごのケーキから『手帖 3月号』を書き始めるつもりが、結局、昨日のコラムを投稿し終え、浜松町へ向かう京浜東北線の中ではずっと寝てしまって書いていない(今も眠い)。浜松町からは東京モノレールで天王洲アイルへと向かっていたが、その道中も、メールの返信をしていた、『平岡手帖』の件で、ラジオ(podcast)の出演依頼が来ているが、今の段階でどこまで話していいのだろうか。
天王洲アイルからは、傘を差して(おそらく大抵の人は差さないくらいの小雨、しかし眼鏡に水滴が付くとうっとうしいので差す)テラダアートコンプレックスに着く。
そんなに来ないからか未だにエレベーターに慣れない。閉ボタンを押すとブザーが鳴るのもびっくりするし、降りた時にも、次の人のために閉ボタンを押すのを2回に1回は忘れるから1分後のブザーで責められている気分になる。
まずは3階のTSCAで村山五郎さんのドローイングを見る。300枚はあろうかというドローイングが壁一面に並んでいて、眺めていると自然と時系列を追うことになるが、はじめは、法則にのっとって引かれた線描の一群が、あたかも求愛のダンスを交わす二羽の鳥のように、一枚の紙に一対ずつ描かれている(つまり、“同じ”ドローイングが一枚の紙にふたつ、隣り合って描かれている)。が、進展していくにつれ、“二羽の鳥”が混じりあい、溶けあってひとつになっていくようで境がわからなくなってくる。この作品群は、AIに作家の制作過程を学習させるための試みだそうだが、それを見る鑑賞者の目も教育されている。
そこから4階のアノマリーへと上がる。そこでも“境界”の曖昧な映像群が同時にいくつも目に飛び込んでくるがここは大木裕之さんの個展会場だ。ストラヴィンスキーの《春の祭典》の、狂ったようなトランペットの音が聞こえてくるがどこからかわからない。目の前の映像にはドローイングが映っていて、「ヒンデミット ヴァイオリン協奏曲」と書かれている。オンゴーイングも映っているし、Studio Ghost も、私が行ったグループ展の時の姿で映っている、マーラーの、おそらく6番最終楽章も聞こえ、ショスタコーヴィチ(11番、12番?)の警笛めいた管楽も聞こえてくるが、逆に言えば、私が知っているものしか拾えていないのだろう。恵比寿映像祭で見たはずの「meta dramatic」には、さらに編集が重ねられたようで全然違う。それを見ている私の右向こうには、お客さんにはソファーを勧め、自分は地べたにぺったり座った大木さんがいて、宣伝を兼ねて『手帖 1月号』を渡したいがびびりなので渡せない。あと1時間でトークらしいが、疲れたので帰る。
…ということはいくらでも書けるのに、いざ『手帖』を書こうとするとなかなかできないのはなぜだろうか。とりあえず今日は、ミヅマアートギャラリーで一日だけ開催されるという展示と、オンゴーイングのレジデンス作家さんの展示に行く予定だ。昨日は満員電車で悲しいことがあったので、今日は混まないうちに帰りたい。
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【クラウドファンディングはじまります!】
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本日から『平岡手帖』定期購読者を募る
クラウドファンディングを開催いたします!
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詳細は「平岡手帖」アカウントプロフィールに記載のURLからご確認ください
@hiraokatecho
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○『平岡手帖』
○場所:CAMPFIRE(https://camp-fire.jp/projects/view/747748)
○クラウドファンディング期間:2024年4月1日〜4月30日(予定)
○目標金額:170万円(定期購読者300人)
○企画:平岡手帖制作委員会、ハンマー出版、額縁工房片隅
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『平岡手帖』について。
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1年のうち300日以上を美術に出会うために歩き回っている平岡希望さん。ここ数年は、毎年600カ所以上の展覧会に足を運び、その空間とそこにある作品1つ1つを熱心に鑑賞している。その動向はSNSでなんとなく目にしていた。最近では、かなり長い文章で美術との出会いを克明に記している。しかし、平岡さんの全貌は謎に包まれている。日々どんな生活をしていて、どんなふうに動いて、なにを考えているのか。そして、その美術への熱量はどこからくるのか。僕はずっと気になっていた。美術と出会うために、全てを注ぎ込んでいるような人。そんな人が、1人くらいこの世の中にいてもいんじゃないか。いや、いてもらいたい。そして、そんな生き方を応援したい。そんな思いを数人と話しているなかで、平岡さんの手帖を公開して、日々の美術との出会いを記録発信していく『平岡手帖』という企画は面白いんじゃないかという話になった。平岡さんに話してみると、ぜひやってみましょう、という事になった。展覧会とは、オーロラのようなものだ。その時その場所に行かないと出会えない。そして、その一瞬の会期が終わると風に吹かれた塵のように消え去ってしまう。そんな儚い展覧会というもののアーカイブとして、この「平岡手帖」が、もし5年、10年、続く事ができたならば、未来において日本の美術シーンを語るうえでの重要な資料になるのではないかと夢想する。そして、美術に出会うために自らの全てを注ぎ、歩き回っている1人の人間のドキュメンタリー・ノンフィクション小説として読むことも出来るだろう。平岡さんの1ヶ月を1冊の小説のような形にまとめて、それが1年間12冊、毎月送られてくる。今回のクラウドファンディングでは、そんな『平岡手帖』の定期購読をしてくれる人を募りたい。
この「平岡手帖」を定期購読するという事は、少し大げさかもしれないが、美術という1つ1つの小さな出来事を、1人の存在を通して美術史に小さく書き残していく、そんな事への協力になる。ぜひ、多くの方に平岡さんのそんな生き方を応援してもらいたい。
きっと今日も平岡さんは美術に出会うため歩き回っている。こんな人この世の中になかなかいないと思う。だからこそ。ぜひ『平岡手帖』の定期購読をしての応援、よろしくお願いいたします。
(平岡手帖制作委員会_佐塚真啓)