素晴らしきかな ヘイセイのカイゴ Knot

介護支援専門員。高齢者介護の世界にて現場と管理職を24年経験、その中で様々な人との出会いを繰り返し現在に至ります。介護支援専門員の法定研修や介護保険事業所、社会福祉法人、地域サロン、職能団体、医療機関等を対象にコンサル業、講師業をしています。地域の介護保険運営協議会元委員。

素晴らしきかな ヘイセイのカイゴ Knot

介護支援専門員。高齢者介護の世界にて現場と管理職を24年経験、その中で様々な人との出会いを繰り返し現在に至ります。介護支援専門員の法定研修や介護保険事業所、社会福祉法人、地域サロン、職能団体、医療機関等を対象にコンサル業、講師業をしています。地域の介護保険運営協議会元委員。

最近の記事

夜の街へ

ふと思い出す。 22時、20代の僕はネオン煌めく繁華街で車椅子を押していた。 しかも「リクライニング型」と呼ばれる いわゆる「寝たきり」の方のための車椅子だ。 その「リクライニング型」の車椅子に乗っている「寝たきり」の彼は若くして脳梗塞を患い左半身が動かない。介護保険制度の認定において要介護度は最も重度の5である。仕事に明け暮れ、結婚もせず身寄りは兄弟しかいない、60代後半の男性だ。 そんな彼の住まいは「特別養護老人ホーム」であり 僕はそのホームで働く従業員、いわゆる「

    • 本当はこっちが近道だけど

      本当はこっちが近道だけど 少し遠回りしてあっちの道から帰ろかな。 何でワザワザそうするの? それはね、教えられないの。 でもね、強いて言うなら もしも、私の大切なあなたが 「困っていたり」 「不安になっていたり」していないか。 それが気になって。 「あっ、灯りが灯っているね」 「ちゃんと就寝出来たようだね」なんて 今晩も何事も無さそうね、良かった、良かった。 私たち介護保険サービス従事者の 多くの人のこう言った気持ちや行動が 地域包括ケアシステムにおいて 実はとて

      • 同性介助の是非

        先日、保険者から一通のFAXが届いた。 地方新聞の地域住民の投稿記事に 70代の女性の方から 初めての介護保険サービス利用、入浴目的のお試しの通い利用をした際に 脱衣室浴室内に投稿者と同い年くらいの男性職員が鎮座。 その目の前で真っ裸にされて精神的なショックを受けることとなり 「介護保険サービス」ってこんなにも配慮の無いものなのか、と。 恐らく、新聞への投稿と同時に保険者にも連絡したんでしょうね。 そして、保険者からは我々同業者に対して 「ご利用される方の異

        • ケアにおいて先ずは守るべき2つのこと。

          高齢者介護の現場において 「この人、分かってるな」 「この事業所、分かってるな」 そう感じるポイントが2つあります。 それはコミュニケーションの場面。 まず一つは 「目線の高さを整える事が出来ていること」 そしてもう一つは至極当たり前なのですが 「言葉遣いが丁寧であること」 これはもうシンプルに 「相手の立場に立とうとしている姿勢があるか」 この点がこの2つの点から汲み取れます。 あくまで高齢者介護においては 間違いなくお相手は「目上の方」です。 見下ろして

          「かかりつけ」って大事。

          あなたの大切な人が いざ公的な介護保険制度を利用しようと考えた際に 必要となるのが「主治医の意見書」です。 これは介護保険制度で認定を受ける際に必須となります。 筆者が介護の現場で見てきて 「このような状況に至るまでなぜに制度を利用しなかったのか」 そう感じるケースの中で多いのが 「主治医と呼べる医師を設けていない」 いわゆる「かかりつけ医療機関」が無い、という事です。 うちの親もそうでしたが 「自分が辛い、苦しい時にしか医療機関にかからない」 「それが良くなれば続け

          おしゃべりの大切さ

          ご高齢な方が自宅にて一人ぼっちになってしまうと どうしても生活不活発病になりがち。 この場合、既往歴、主疾患に目がいきそうですが 考えるべきは実は「生活の有り様」です。 生活から考えられる悪い影響としては 認知症、低栄養、筋力低下など。 こうなると既往歴、主疾患のための 受診や服薬にも影響が出てしまう。 最悪の場合、転倒、隣近所との兼ね合いから 「入院」「入所」なんて事もよく見てきた話です。 そうならないためのポイントとして 今回は「おしゃべりの大切さ」についてお

          集団処遇が生み出すモノ

          「抜けない」のね。 何がって、その「感じ方」と言うか「考え方」がね。 「集団処遇」を悪い意味で強く経験してしまった場合 自分の掌の中にご利用者がいるような感覚が生まれがち。 所謂「事業所本位」「職員本位」と言う ケアの本質から離れてしまう そのような病に侵されていることに 自分自身で気付くことが出来ない。 何がいけないのか、なぜダメなのかが理解出来ない。 そういう人は先ず 「意思を示す事の出来る」ご利用者に拒絶される。 きっとクレームが絶えないだろう。

          車椅子を押させて頂く際に。

          徒競走ですか?と言わんばかりに ご本人を乗せたまま勢い良く疾走する車椅子を あなたは見たことありませんか? ひどい時はその早いスピードで右手にお一人、左手にお一人みたいな。 恐らく「忙しいから」「急いでいるから」など 理由は様々でしょうが 実際に乗っているご本人からしたら 「怖い」に決まってますよね。 「自分が乗ってたら怖いやろうが?」てな感じ。 これはもう利用者本位とは程遠いのは言うまでもありません。 実際に利用者本位を遵守しているケアの現場では 押さ

          うちのおじいさん何でデイサービスに行ってくれへんのやろ?

          24年間、介護の現場を見てきた者として マスメディアは決して伝えないことを本日は少しだけ。 要介護状態、被介護者となった際に 「上手くいかない」「困ったな」といったケースにて 家族も専門職も先ず持ってぶち当たる壁の一つが タイトルにもある「サービスが入れない、入らない」こと。 先日も某週刊誌に 「介護に困らないために」としてありましてね。 「正しいサービスの使い方」 「後悔しない施設の選び方」 そして「良いケアマネ、悪いケアマネの見分け方」みたいな。 介護保険制度になっ

          うちのおじいさん何でデイサービスに行ってくれへんのやろ?

          ケアを真似たとしても

          良い取り組み、ケアのあり方を真似る。 表面はサラッとは出来るかも、しれない。 でもやはりそれを継続するために大切なのは 「土壌」でありそれが許される「風土」なのだと思います。 その「土壌」や「風土」は 恐らく経営や管理を担う者の本気度 それこそ「理念」のはずなんですよね。 介護保険制度が始まって20年以上経過。 ごちゃごちゃした手続き的な業務では無くて 肝心の「ケアの中身」はちゃんと成長しているかどうか。 良く聞く 鳥の餌やりのような食事介助 芋の子を洗うような入

          介護の仕事を考えている学生さんへ

          あなたが実習先や職場にて「見た」「見ている」 言葉遣いや態度の悪いおばさんも あなたの学校での学びを否定するおばさんも 無理矢理起こされる起床も 着のみ着のままの服装も 目脂だらけで寝癖だらけのその不十分な整容も 鳥の餌やりのような食事介助も 芋を洗うような入浴介助も 物を扱うような排泄介助も 世の中、そんな施設、事業所ばかりではありません。 だからどうぞ、この仕事を嫌いにならないでください。 介護職という職業は「人の人生に介し護る」専門職です。 あな

          介護の仕事を考えている学生さんへ

          「自宅で過ごす時間」に拘ってますか?

          「家に一人で置いておけないからデイサービスを使わせたい」 「家にいたら何するか分からないからショートステイに行かせたい」 本人不在のサービス利用ありきの御用聞きケアマネ介入の介護保険利用開始は その先サービス利用増による自然破綻に繋がり易い、と思っている。 あくまで自分の経験談ですがね。 本来、心身の不調や、し辛さがあって介護認定を受けるとして 「適応力」というものは「判断力」と共にどうしても鈍っているもの。 その状態で生活の”主”である自宅を離れて過ごすことで

          「自宅で過ごす時間」に拘ってますか?

          介護事業の運営。その効率化、本当に正しい?

          職員の数が足りず 個別ケア→集団ケアに戻す施設さんも 少なくないとお聞きします。 しかしながらそう言った施設さんは この先恐らく益々の職員不足に陥るでしょう。 なぜって? 私たちは何故ゆえにこの仕事をしているのか。 私は何故ゆえにこの仕事をしているのか。 私たちにも誇りがある。 私たちは 「人の人生に介し、その人生を護る専門職」です。 そんな私たちの一番のモチベーションダウンは 「介し護ることが出来なくなること」です。 在宅サービスを縮小、撤退し 施設サービスの

          介護事業の運営。その効率化、本当に正しい?

          ケアの現場から残業が無くなる

          「残業ゼロ」良い響きです。 「定時で帰れる」それもとても良い事です。 ICTの活用等、ケアの現場の生産性を高めることで目指すべき いわゆる「働き方改革」。 自分達の仕事ぶりを振り返り検証することで それらが達成されていく姿には喜びを感じますが 「ケアの現場における喜ばしくない働き方改革」について耳にする事もあります。 例えば・・・ 「定時に帰るためにご利用者に職員の働き方に合わせた生活パターンを強いる」 「洗い物を減らすために、調理を簡素化した」 「トイレ

          ケアの現場から残業が無くなる

          「嫌い」になる前に。

          ケアの現場において、ご利用者、ご家族、職員、関係者など。 多種多様な人たちを関わる中、私が大切にしている事の一つに 「苦手」にはなっても良いが、「嫌い」にはならないように。 「苦手」はまだ取り返せる。 自身の問題、相手の課題、まだまだ「これから次第」。 しかし 一旦「嫌い」になってしまうと もうどうにもにっちもさっちも行かなくなってしまう。 結果として、事故、虐待、苦情 不和、不協、休職、退職、など、悪い結果を生み出してしまう。 こうなったら「対処」で向き

          メガネを見ればケアが分かる。

          僕はメガネはしない。 オシャレでしてみたい、とは思うけど メガネはしたことがない。 視力は割と良い方だしね。 今日 施設入所している方を訪ねた。 いつもは 薄っすら色の入った オシャレなメガネをかけている彼女は 体調が悪いのも手伝ってか いつもはかけているはずのメガネをかけていない。 その上に目ヤニだらけのお顔に、寝癖だらけの頭に 「格好悪いところ見られちゃったね」 と、気恥ずかしそうにしている。 メガネ、メガネと僕が探して見たところ あったあった、彼女には決して手の届

          メガネを見ればケアが分かる。