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バナナボールが帰ってきた

バナナボールの新しいワールドツアーが、北米時間2月1日からスタートしました。いや、そもそも「バナナボール」とは何なのか。いきなりバナナボールの試合を見せられたら、ユニフォームがちょっと派手なチーム同士がプレイする野球だと思うでしょう。確かに、投手がボールを投げ、それを打者が打ち、捕球をすればアウト、野手の間に落ちればセーフ。3アウトになるまでに、出塁した走者が二塁、三塁と回って本塁まで無事に還ってくれば得点になるという、基本的なところは野球と同じです。その基本的なところに、さまざまなエンターテインメント性を盛り込んだのがバナナボールです。

まず、試合は必ず2時間で終了することになっています。バナナボールは、一応9回までプレイすることになっていますが、制限時間になったら、そこで試合は終わりとなります。どうしてそのようなことが可能になるのかというと、合計得点の多寡を競うゲームではないからです。1イニングの表裏で多くの得点を挙げたチームが1ポイントを獲得します。それをイニングごとに繰り返し、より多くのポイントを挙げたチームが勝ちとなります。また2時間という制限時間が設けられた理由は、プロ野球の試合時間は長すぎるのではないかという問題提起によるものです。そこで、試合を迅速に進めるためのルールがいくつか定められました。まず、打者は一度バッターズボックスに入ったら外には出られず、外に出ると1ストライクを取られます。また、ピッチャーズマウンドに選手やコーチが集まることはできません。それから、観客席に飛び込むファウルボールをファンがキャッチすると、アウトになるというルールもあります。アウトになると言えば、バントは、成功不成功にかかわらず、その場でアウトです。

そしてひとたび試合が始まったら、フィールド上から目を離すことができなくなります。プレイの一つ一つに見せ場があるからです。打者は、ブレイクやバレエなどさまざまなジャンルの踊りをしたり歌を歌ったりしながらバッターズボックスに向かいます。投手は、怪しげな投球フォームから、不可思議な魔球を繰り出してきます。竹馬を履いてマウンドに登る投手もいます。そして、守備の選手は打球が飛んでくると、飛んだり跳ねたり、回ったり転がったり、さまざまなトリックプレイを披露しながら、ボールをキャッチします。こうしたトリックプレイは、本塁打数や勝利数と同じように記録に残るので、どの選手も、普段から練習を怠りません。四球だって油断は禁物です。四球は「スプリント」と呼ばれており、四球を選んだ直後のボールに投手以外の8人の野手が触れるまで、先の塁に進むことができます。そのため、四球を選ぶとほとんどの場合、打者走者は二塁に進塁することになります。

野球選手が、試合中に歌ったり、踊ったり、トリックプレイを披露したりする姿には驚かされますが、もちろんどの選手も何らかの形で野球をプレイした経験があります。それどころか、北米プロ野球チームからドラフトで指名され、マイナーリーグでプレイしたことがある選手が数多くいます。だから、本格的なプレイも、抱腹絶倒のプレイも、同時に楽しむことができる。それがバナナボールです。

今日の試合は、バナナボールのオリジナルチームであるサヴァナ・バナナズとパーティーアニマルズの顔合わせでした。そして、記念すべきツアー開幕の第1球を叩いて場内本塁打を放ち、終盤の猛攻でポイントを重ねたパーティーアニマルズが勝利を収めました。試合終了後は、両チームの選手がマウンド周辺に集まり、バナナズの選手のチューバ演奏に合わせて、スタジアム中で『スタンド・バイ・ミー』の大合唱です。試合前、試合中、試合後と何が飛び出すかわからないバナナボール。今シーズンもわくわくしながら観ていきたいと思います。

バナナボールが面白そうと思った方はこちらから。
The Savannah Bananas

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平希美
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