3月21日 ★
表現とはなんであるか。
それは誰のための、何のための行為であるか。
そういうことを今日は考えながら橋を渡って家に帰ってきた。少し歩き足りなくて川縁まで降りようかとも思ったけれど暗闇の中でぬかるみに落ちたりしても嫌だから、土手に降りる途中の階段に突っ立って、ともまつからのLINEを何度も何度も読み返しながら考えた。髪の毛がバサバサとあっちこっちに煽られた。
わたしはずっと自分のために表現をしてきた。制作の仕事を別にすれば、こと音楽に関してはほとんど自分のためにしかやったことがないがないと言っていい。ただ、un/baredではそうじゃないことをやってみたいやってみようやってみれるかも、という気持ちでいたのに。そういうことをまたすっかり隅に置いて、突っ走ってしまった。またしても頭に血が上って気持ちが先走ってしまった。
自分のためだけの表現はもちろん当たり前にあっていい。そんなの最高じゃん、と思う。だけど、誰かのなにかを望むならやっぱりそれだけじゃだめよね、ということを、わたしはun/baredをやりながら少しずつ、気付き、学んできたのではなかったか。すぐに忘れる。だけど、ともまつというひとが、ちゃんと思い出させてくれて、有り難いなぁと思う。わたしと彼女のバランスは本当になんていうか、絶妙なんである。ちょっと変なコンビで面白いしなんかその感じが愛おしいなと思う。そして有難いなと、もう一度思う。わたしは謙虚であらなくてはいけない、彼女に対して、もっと。優しいからすぐ甘えちゃう。そしてそれを続けていたらわたしはいつか痛い目を見るんである、そうなる前にもっと自律しなくちゃ。
というわけで原稿は書き直すことになりそう。ぐぅ、と思うが、もうしつこくしつこくやるしかないんである、こればっかりは。時間はべつに、かかったっていい。
今朝は冷蔵庫に残っていた野菜とひよこ豆でカレーを作った。ストウブ鍋で作る初めてのカレー。ストウブは無水調理ができることを売り文句にしているくせに蓋して煮込んでいたら底がちょっとくっついて焦げそうになった。使い始める前にちゃんと油を塗って火にかけること(名前忘れた、シーズニング?)をしたのに。なんだよー、という気持ち。カレーは当たり前においしかったけれど、でももうちょっとおいしくなるよな、というのが感想。久しぶりにオートミールのクッキーを焼いた。多めに焼いた。そして一日で食べ切った。最近毎日食べ過ぎている。夜遅い時間にも食べてしまうので、それは本当にやめたいのだけど。いつもなんでも思うばかりで全然実現できない。
そうしてさ、音楽についても考える。自分のためだけじゃない音楽をわたしはいつかできるだろうか。でも今はさ、本当の本当の、本当のことを言えば、自分のためにさえ音楽をやる気がほとんど起きない。自分の中にある回路がすっかり絶たれてしまったみたい。すごく遠くにそれがある。でも最近はよく思うけど、音楽、というか歌は、わたしにとってはやっぱり当たり前に隣にあっていつも自分の中に絶対にあるものだから、続けるとかやめるとかなんだとか、そういうものではないのだよな。それは死ぬまでそうだろうということをもうほとんど確信している。だから、それがどういう形でアウトプットされるかということは、その次のことであって。おまけみたいな感じというか。だからいまはもうNozomi Nobodyが売れるとか音楽で食べるとかそういうのは結構どうでもいいように感じている。単純にまぁ諦めたという見方もできるのかもしれないけれど。どうかな。でもそれとはやっぱりちょっと違うような気がする。
でもNIGHT PONDOというものがはじまって、わたしは生まれて初めて誰かほかのひとと一緒に音楽を作り活動するという機会をもらって、それはもしかしたらたくさんの新しい何かに繋がる入り口になるのではないかという気がしていて、だけど、わたしはやっぱりどうやら当面は曲を作ることが出来なさそう、でもそうするとなかなかバンド(もといコレクティブ)は動かなそう、八方塞がりうう、と思いながらすっかり落ち込んだ気持ちできのうの夜長風呂をして上がってみればしもりょーさんから連絡がきていて、少し電話で話し、するすると心の中にあった結び目たちが解かれたのだった。首の皮が切れずに済んだ、と思った。
自分の意志だけではないところで音楽を作ったり歌を歌ったりすることで、わたしはもしかしたら自分のためだけでない音楽をはじめてやることができるのではないか、そうかもしれない、という小さな祈りのような希望と期待。それを持つことは怖いけれど。でもいろんなことを怖がってばかりいるのももうやめたいんだわたしは。
そういう気持ち、今日は。
風がびゅんびゅん吹いて、わたしはまったく瞬きする間もなく飛ばされそうであるが、まだ首の皮は繋がっている。大丈夫。それを自ら手放すような愚かなことだけはしたくないなと、思う。
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