12月20日
きのうは帰り道に予兆があった。ああこれはもしかしたらダメなやつかもしれないという気がした。そうして家に帰り着いたらやっぱりダメだった。仕方がないので深夜まで映画を観て、少し酒を飲み(少し飲んだらなくなってしまった)、一日二切れずつ順調に減っていたシュトーレンの残り1/4〜1/5を一気に食べるなどして、ぐずぐずとベッドに入った。こういうときだけど、キッチンの流しの洗い物はきちんと片付けてから眠る自分をいつも少し面白おかしい気持ちで見ている。でもやらないと気持ちが悪いんである。それがおかしい。
映画はずっと気になっていた岬の兄妹、Amazonプライムでの配信がまもなく終了ですよーという文句に煽られて、そしてストロベリーショートケイクスを恐らく10年以上ぶりに。こういうときは邦画に限るんである。岬の兄妹、鮮烈な映画だった。だけどとても繊細で。だけどダイナミックで。でも繊細。最後のシーンが本当に美しかった。この間のドライブマイカーもそうだけれど、この画のためだけにこの映画が存在しているのではないかと思う一瞬の一秒の、そのワンシーンというものを目撃したとき、わたしの心は静かに打ち震えるのだわ。ストロベリーショートケイクス、もう一度観てよかった。たぶん人生であと一度か二度か観て、そしてそのたびに同じことを思うのだろうという気がする。
明け方、八重歯が抜けそうぐらぐらになっている夢をみた。歯が抜ける夢はとても良くない夢だといつかなにかでみた。怖い。でも抜けはしなかったからきっとたぶん大丈夫。
お笑いのなにかの番組、Twitterのタイムラインでうわーっとみんながそれについて書いているのを見るとき、ああわたしの知らない世界にみんながいる、という気持ちになる。わたしの家にはテレビがない。
下北沢GARDEN閉店のニュース。寝起きのせいか、今朝起きてもダメなままだからなわからないけれど、心が動かないままに力だけが少し抜けたような気持ちで、あぁこれはやっぱりいまはちょっとダメな気がするなと思うのだった。ライブハウスがまたひとつ無くなる。
そうしてそんなことを書いていればめずらしくインターフォンが鳴り、居留守しようかと迷っている間にもう一度音が鳴り、えいっと思って出てみれば遠くに住む友人からで、果物やお芋(たぶん里芋と思われる)や焼き菓子が小さな段ボール箱いっぱいに届いた。彼女の豊かな優しい美しい暮らしを思うと鼻がツンとする。でもそんなのはわたしの勝手な幻想なのかもしれない。今日は焼き菓子を焼く気力さえないような気がしていたから、あぁ、と思うのだった。
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