9月23日

暑い。だけどときおり吹く風はそよそよしていて秋を感じ、なくもない。

きのうはドライブマイカーを、と書いたそのすぐあとに東京都美術館に行ってゴッホ展とWalls & Bridgesをみることを思いつき、いそいそと出掛けて行った。そんな気はしていたけれど混んでいた。考えてみれば世の中はシルバーウィークというやつなのだった。ゴッホ展のチケットは時間を区切って予約制のような形で販売しており、13時頃に到着して14時半から入場のチケットを売っているところだった。混んでいる中で作品をみることにあまり気が進まず迷ったけれど、せっかくだし、先にWalls & Bridgesをみたらちょうどいいし、と言い聞かせてチケットを買った。

W&Bは作品展の説明書きに「生きるよすがとしてのアート」という文言があり、まさに言葉通りの展示で、作品そのものもさることながら、その切実さに強く胸を打たれた。どの作品も良かったけれど、ジョナス・メカスの映像から切り出したフィルム画像がとても美しく心に残った。入って一番に展示されていたのが彼の作品だったので、出る前にもう一度みてから出た。ポストカードをたくさん買いたいと思ったけれど、ミュージアムショップに彼の作品のポストカードは見つけられなかった。映画を観てみたいと思った。

ゴッホ。混んでいたけれどみてよかった。ひとの列には入らず、その後ろから少し離れて、頭の頭の間からみた。みられるものは近くでみた。晩年の油絵がやっぱり好きだなぁと思った。種蒔く人は写真などではみたことがあり、特になんと思ったこともなかったけれど、光がそれはそれは美しく、涙がでた。その前後に飾ってあった、葡萄畑の絵と、港の絵と、それから黄昏の絵も、きらきらしていて本当に綺麗だと思った。こういう作品をみるとき、わたしはいつも人間という存在そのもののあるいは人間という存在の持つ美しさのことを想う。何度も何度も思う。頭のなかでは川上未映子さんの「わたしはゴッホに言うたりたい」の言葉が響いていた。

ひとごみの中でふたつも展示をみてすっかりくたくたになり、お昼ごはんを食べていなかったので腹ペコで、なんか甘いものが食べたいなと思って、駅ビルのレストランフロアに行ってみれば台湾料理のチェーンと思われるお店があって、豆花がメニューに並んでおり、あぁ豆花!と思って入り、お芋のそれを頼んで食べた。あまり甘くなく、重くなく、ちょうどよかった。向かいのテーブルでは店長と思われる男性がふたりの女性から保険のそれと思われる営業を受けていた。台湾で食べた小汚い(失礼)の屋台の本当になんでもない豆花がとてもとても美味しかったなぁ、といまでもときどき思い出す。台湾に行きたい。

un / bared でおざわさよこさんとの食をめぐる往復書簡『みちわたるしんたい』がはじまりました。初回はさよこさんから。

さよこさんは実際に会った回数こそ多くはないものの、日頃いろいろな想いをやり取りして共有する大切な友人。ゆっくり、いろんな話しができたらいいなと思っている。


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