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春にして眠りゆくものを想う

2023年3月26日(日)プロジェクトなづき稽古

生憎の雨。吾野宿から某所に稽古場を移しました。まずはじめに第一章「門」の構成をメンバーと一緒に練っていきました。せっかくアンサンブルとして作品を作るのですから作・演、役者同士が提案や意見、批評をフランクに交し合える現場を志しています。シーンを引き寄せる力を場や仲間から預かる、そんな創作方法を今回は特に意識しています。

冒頭部は月読彦さんの着想を共有。その後演出サイドからイメージの断片をシェアしていきます。イメージは化学反応を起こしていきます。ゴーレム佐藤さんより全体の構成にも影響を与えるであろうアイデアが語られました。この提案を基点にゴーレムさんと田口和さんに即興を繰り返してもらい、演出側とフィードバックを交えて深めていきました。すてきな結晶となっていきそうです。各章の連関が整ってきました。本作品を作る上で採用した方法はすでに先達が実践しています。そんな先達の視点をとらえなおしつつ内在化させ、まとめ役としてどう判断し進めていくのか、試行錯誤は続いていきます。

さて、抜き稽古。第二章「件」美咲と康史との場面。ゴーレムさん演じる康史と川津演じる美咲のシーンですが、美咲の演じ手が変更となったため月読彦さんにより脚本の微調整をしてもらいました。川津としても演じやすくなりました。相手役のゴーレムさんは脚本を実に深いところまで解釈しており、シーンや関係性において自然かつ説得力ある場面構成を様々な形で提案してくれました。具体性をもった稽古ができました。

田口さん演じる信之とのシーンでは長年川津が封印してきたある種の媚態をアウトプットしなければならないので田口さんと役作りに関して突き合わせながら稽古を重ねました。だいぶ色気が出てきたねと田口さん。またゴーレムさんは芝居では存在をさらけ出さないとねと声をかけてくれました。川津個人の経験が作品作りにおいて役に立つということが理解できたので安心して役作りへ入っていけそうです。

伸枝さんの座敷童は屈託なさ、童心の側面においては不足がありません。途方もない歳月、吾野をまなざしてきた座敷童はどう世界を見つめるのか、その眼はいかなるものなのか。この一点をピックアップ。田口さんをインストラクターに一年あまり続けてきた自主稽古の演出技法を用いて説明できたのがよかったのでしょうか、伸枝さんはすぐさま想像力を働かせて演出の意図を体現してくれました。全体を通して質の高い稽古になってきたので少し余裕が生まれたかもしれません。

稽古後ゴーレムさん、月読彦さんとざっくばらんに芝居の話をしました。強度の高い演劇は詩であるという結論で一致しました。だからこそ川津も舞台を志していけるのだと考えます。今回の公演でもポエジーや意味で取れるところと逸脱しているところ、等々のバランスを注意深くとっています。

次回の稽古では集まった俳優陣とさらに解釈を深め、いろいろと試していきたいです。

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