『落合博満の超野球学』を読んで、身体を直す。
『落合博満の超野球学』全2巻を読みました。予想通り、実に親切できめ細やかな技術書で、野球初心者どころか正真正銘・完全完璧に門外漢の私にも具体的なイメージがいろいろ沸いて、愉しかったです。
サブタイトルが「バッティングの理屈」なので語られるのはバッティングについてですが、1巻から2巻の前半にかけては個人の身体技術に関する説明がメインで、2巻の後半からは古い意味での精神論ではないけれど、意識の持ち方とかチームプレーの心がけとか、身体技術に限らない方面の助言が書かれます。基本としてきちっと押さえるべきところと、個々人の身体能力・考え方に応じて自由に決めて良いところとが明確に分けて説かれるので、納得することしきり、でした。
読んでる最中から、バットが振りたくなって仕方ない。親兄弟がむかし使っていたバットが数本そこらにあるはずですから、探して振れば良いのですが、振り回しながら本は読めませんから、とりあえず読んでから、と、我慢。でも結局じーっとおとなしくは読めなくて、持ってるフリで、胡坐をかいたまま腕だけごそごそ振り回す。「トップを深くして肘を抜く、というのはこういうことか……?」とか。
ぶつぶつ言いながら、ああかしら、こうかしら、肩から手先にかけての動きを丁寧に試行錯誤していたら、その日の夜、ふとした拍子に右手首が痛くなっていることに気付きました。たったあれだけの動きで! 呆れつつも、整体するチャンスなのでそのまま施術。
もともと、私の指先から肩にかけての、状態が悪いのは知っていました。明らかに動きが固いし、形もヘンだし、悪い固太りの典型です。けれど、どこに施術すれば改善できるのかがわからず、攻めきれませんでした。太極拳をしてもフラ(ダンス)をしても自覚症状が出ることはなく、良く言えば適応力が高い・悪く言えばなかなか施術させてくれない腕・手でしたので、問題点のあぶり出しに成功したのはひとえに落合さんのご本のおかげです。
で、検査すると、具合の悪いのは左手首周辺、とくに親指をひどい形で突き指しているのか?みたいな状態の悪さが明確になっていました。以前から疑い続け、施術を試み続け、それでも攻めきれなかった問題が、ようやくようやく明らかになった! 思う存分、ごりごり施術できた!という感じです。実に嬉しい。ありがたい。
本書は、落合さんが引退後の2000年代前半頃に(?)「週刊ベースボール」誌上で連載していたものを加筆修正してまとめたもの、だそうです。2巻のあとがきには中日ドラゴンズの監督に就任したことが書かれていますので、引退してホッとした隙間を縫って書かれたのかもしれません。
本書を読みながらYouTubeで現役時代のバッティングフォームを拝見しました。本の中では回転軸について詳しく説明されていますが、その説明を読んでも・ご本人のフォームを見ても、これは〈回転〉と理解するより左右半身の〈開閉〉と理解したほうが適切のように思えました。
そしてこの〈開閉〉の感じは太極拳にも通じるもので、結局やっぱり一流の身体操法は同じ基本に行き着くのだなあ……としみじみ感じ入りました。
ちなみに、私がお奨めしたい太極拳の理論書は『太極拳理論の要諦』銭育才著。
ついでに水泳は『水泳の基本』阿部延夫著。
そしてもちろん、野球は本書!です。いやー、おもしろかった!
『落合博満の超野球学』1、2 落合博満
ベースボール・マガジン社 1巻は2003年、2巻は2004年
2015年に『落合博満 バッティングの理屈』として再編集、出版されています。
『太極拳理論の要諦』銭育才
諸事情により何度か出版し直しされているそうです。名著ですからね!
感想は、ブログ開始以前に読んでいましたので、記録していません。
『水泳の基本』阿部延夫
林檎プロモーション 1994年。
私の感想はコチラをどうぞ。5番目の記事です。出版社の名前が違ってますネ。