親指の赤ほくろ〈下〉 整体編
左手親指の腹に赤ほくろができました。正式名称は老人性血管腫。
ちなみに本記事は〈下〉。〈上〉の記事はこちらです。といって大して続き物でもないですが。
できたのが他のところなら放っておきますが、位置的に、少々邪魔。思い余ってエイッとむしってしまい、傷がふさがらなくておろおろする……というのが前号までのあらすじです。
ほくろとか、意外なところに1本だけ生えるひょろっとした毛は、〈余ったエネルギーで作った無駄なハコモノ〉だと私は理解しています。
身体の一部Aは具合が悪くなっていて、多めのエネルギーを必要としている。その必要を認めた身体は、Aに多めのエネルギーを割り当てる。このときその余波が、Aの関連部位Bにも及び、その必要のない元気なBに、いくらか多めのエネルギーが届く。あれ? なんや、ぎょうさんエネルギーが届いたな……。使い道に困ったBは、その場にほくろとか意味不明な毛をこしらえる、そういうことなんじゃないかしら、と。
面倒なのは、いったん作ったハコモノはなかなか壊しにくいことで、毛はまだしもカボソクなったり・なくなったりすることがありますが、ほくろはまずなくならない。いぼは、文化によっては〈いぼ取りの儀式・技法〉みたいな呪術的なのがあると聞きますが、そこそこ手間暇がかかる。しかも100%確実ではなかったように記憶します。取れるヤツは取れる、みたいな(。まあ、そりゃそうだ)。
だから私の親指も、赤ほくろを消すことは期待できないにせよ、〈赤ほくろを作るようなエネルギーの偏りがある〉ことだけは推測できるので、整体屋としては、そちらの立て直しを目指したい。つまり、赤ほくろのできた左手親指がBとするならば、そもそも具合が悪いAはどこなのだ?の追跡・改善がしたいのです。
で、探した結果見つかったのが、左足親ゆびの癒着でした。これは小学生の頃に魔法瓶を落として、爪が真っ黒に内出血して、やがて根っこから生えかわったところです。中学生頃から外反母趾にもなっていて、〈外反母趾=ハイヒールが原因〉はウソだな、と私が納得した最初の反例でした。
そんなわけですので、左足親ゆびは、〈身体修整法〉を使うようになってすぐの頃から何度も施術はしています。当初はまったく力が入らず、それがいまではずいぶんしっかりしていますが、さらにより一層の改善を!ということなのでしょう。
左〈足〉親ゆびの問題が、左〈手〉親指に影響する――というと、一般的な理解では意外に思われるか知れませんが、〈手・足〉を〈前足・後ろ足〉と言い換えると、対応関係は強いのかも、と思ってもらえるかもしれません。実際、中国医学では手・足をきっちり対応付けています。もちろん私はそれを学んだ上での納得です(。こんなムツカシイこと、私一人では思いつけません)。
ということで、気合を入れて・遠慮なく、ごりごり施術。
施術を始めて最初に改善に気付いたのは自転車に乗ったときのことでした。それまではどしっと置いているだけだった左足に、ペダルをぐっと掴んでいる感触が出てきました。
そして左足親ゆびへの施術に合わせて、左手親指周辺にも施術が展開してきました。自分の身体であっても出血部分には触われませんので、そこは避けて、より指先、とか、より根っこ、とかに施術して、指全体のねじれをほどいていきます。腫れ・よじれが取れるのに合わせて親指の形がすんなりし、心なしか、指の向きも変わったような気がします。
傷の治りも加速してきましたので、元祖湿潤療法から「クイックパッド」に戻しました。ありがたいことに表面が裂けることはなくなりましたので、やはり指の向きは改善したのでしょう。
とはいえ、左手親指の傷はまだ、閉じ切ってはいません。左足親ゆびも、まだ施術できそうな気配があります。
ここからは少し長丁場になって、足ゆび・手指とも、曲げるための筋トレをさまざまな場面でじっくり続けつつ、どの局面でも〈ゆるい屈曲位〉を保つのが足ゆび・手指の基本なのだ、というのに慣れさせる必要があります。
これまでの数十年、力が入らず、曲げ・伸ばしの筋力バランスが崩れたまま過ごしてきた私の指たちですから、急に完璧になるのは無理です。ただ身体は賢いので、力が入ることを実感しさえすれば、すぐに動きは変わってきます。そしてそれに合わせて筋肉がついてくれば、まあ、うまくいけば1~2か月程度で傷も施術も落ち着くかな、と想定しています。
どうなるんかしら、とハラハラしていた傷ですが、ふさがる見通しが立ってほっとしました。ふさがったらもちろん、さらなる施術です。これが愉しい。