自転車と整体

 私がスポーツタイプの自転車に乗るようになってもうすぐ1年になります。乗り始めた当初は、片道2時間の移動でも、帰り道の途中で集中力が落ちてきて気合の入れ直しが必要だったのに、いまでは片道4時間の往復でも、休憩なしの走り続けでまあまあ平気になりました。なかなかの進歩だと思います。
 乗る頻度は週1~2回、片道1~2時間の移動がメインで、最長で片道4時間でした(←これが竹中大工道具館に行ったときです)。

 体力が上がった、乗り慣れてきた、というのも平気になった要因ですが、あと二つ、道具面と体調面での改善も大きかったと思います。
 まず道具は、トゥークリップの使用です。ペダルに付けるスリッパの覆いのようなものですが、これが有ると無いとで楽ちんさが全然違います。正式には紐でぎゅっと締めて使うようですが、私は締めずにぶかぶかの状態で使っています。ぶかぶかだと足が中でごそごそできますから動きの自由度はそこそこ確保されている。そしてぶかぶかでも固定は利いていて、こいでいる最中に足首から先のことを考える必要がないですから、末端に余計な力が要りません。最高です。ママチャリにも欲しいくらいです。

 一方、体調面は、整体屋なので、整体です。
 私がしている整体は、〈生まれて以降、身体に残っている様々なケガの痕に施術して、その影響を減らす〉というものです。イメージで言うと、壊れたところに修理をして、その人本来のバランス・筋力・血流に近い身体に戻すための整体、です。
 皮膚・筋・骨がケガをして治ると、本来の身体とは異なる状態が維持されます。そこに施術して皮膚・筋・骨を元通りの状態に近づければ、どれほど楽に動けるか・どれほど効率よく働くか、を、自分の身体でも体感したい。だからトレーニング的なことは一切せずに、ただ自転車で走りたいように走って、不調・不具合が見つかればそれを改善するように施術する、その繰り返しをしています。
 で、この1年の間にだいぶあちこちいじくったので、もう、どこをどうしたのかあんまり憶えていませんが、とりあえず最近の話としては、①反り腰が減って骨盤が上半身に引きずられなくなってきた、②顔の筋肉が良くなったことで吸気の質が良くなった、の2点があります。

 ①の反り腰減少は効果てきめんで、長時間自転車に乗っていてもおしりが痛くなりにくくなりました。もちろん全然痛くならないわけではないですが、以前ならその日の乗車時間が3時間を過ぎると痛くなり始めたものが、前回の大工道具館では7時間を過ぎてもそれほど痛くなりませんでした。8時間を越えたら痛くなったかも、くらいの印象です。

 反り腰は、背骨と骨盤の間を広げられない状態です。ざっくり言えば、背骨と骨盤が背中側に谷折りになっている。これを筋肉がおなか側から強力に引っ張って少々山折り気味にしてくれれば間隔が広がるわけですが、おなか側の筋肉が弱いとそれができません。
 で、自転車に乗るときは前傾姿勢をとりますから、腰が谷折りのまんまだと肩に引っ張られておしりが変に・微妙に浮き気味になって無駄に緊張します。筋肉が緊張すると柔らかみがなくなって・血流が悪くなりますから、それでおしりが痛くなる。私のおしり痛はそんな感じでした。

 反り腰が減ると、まず自転車に座っているのが楽だし、骨盤を引っ張り支える必要がなくなった肩はほど良く力が抜けて疲れないし、おしりも無駄な力が抜けているから足もシャカシャカ動かしやすい。
 6時間程度の乗車だともう完璧に良くなったみたいに思えましたが、8時間乗るとまだ不足があるのが体感できました。もうひと声、反り腰を弛めて、大工道具館再訪に備えたいと思います。

 ②の吸気の質が良くなったことは、おもしろい発見でした。鼻まわりの血流が良くなって粘膜状態が改善したかして、朝はそこそこ寒かったにも係わらず鼻呼吸の空気を冷たく感じませんでした。
 肺に来る空気が冷たく・乾燥しているのは、肺的にはよろしくない。だから鼻から気道を通る間に、そこそこ温めて・湿らせるのですが、その働きは粘膜・血液が担います。だから鼻まわりの筋肉が緊張して粘膜・血液が量的にも温度的にも減り気味になっていると、冷たく乾いた空気を肺にそのまま素通しすることになる。

 寒い日に息を吸うと鼻奥が冷たくなって、マスクするとかマフラーで覆うとかしたくなったものですが、今回はそれがなかったです。もっと寒くなったときにどうなるかは引きつづき要観察ですが、冷気が沁みて涙は出たのに鼻・のどは平気だった、というのは私には珍しい。
 〈肺に優しい鼻〉になった、というのは嬉しいことです。鍛えずして、呼吸器系(ということは循環器系も)の機能を上げたことになりますから。

 ついでに言うと、初夏の頃の花粉症がどうなるかもおもしろいところです。あれもおそらくいくらかは、顔面部分の血流量と関係するように思っています。もしも花粉症がすっきり無くなるようなことになれば、良い気分なんですけどねー。

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