〈無意識に右足を引きずる〉ときの癒着の在り処(ありか)
歩いているとき無意識に右足を引きずっているようだ、と、お客さん(=Pさん)が来られました。「痛みはありますか?」と訊くと「ないです」とPさん。
遠方からときどき、というペースで年に数回、長らく来てくださっているPさんですが、ケガはそれなりにたくさんされています。あっちにもこっちにも癒着がある状態ですので、「これはこの癒着が原因で起こっている症状・状態だな」と、施術前に見当をつけるのは難しい。
そこで、とりあえず何の予測も立てずに手探りで筋力検査を始めると、左足の甲から足首にかけて反応がありました。
Pさんの左足の甲にはこれまでにも何度か施術させてもらっています。ですが幼い頃のケガに加えて最近新たなケガもされています。以前の私の腕前では対処しきれなかった癒着・問題に新たな施術ができるのかもしれません。
で、検査しながらあちこち関連部位にも施術を進めていくと、ああ、そういうことだったのかな、みたいな、ゆるいけれどそこそこ確かそうな納得が得られました。要は、左足が頼りないから体重をしっかり載せることができなくて、保険代わりに、無意識に右足を地面に残してしまうのかもしれないな、という感じです。
Pさんに限らず大抵の場合、手足の使い勝手の左右差について、理屈で原因を推測するのは難しいことが多い。理屈を考えるのが難しいのではなくて、どうとでも理屈がつけられてしまうから、今回はどの場合か?を選択・予想することができない。できないというか、してもあんまり意味がない。
痛みがあればまだしも推測の精度は上がりますが、痛みはなくて・使い勝手の左右差だけがある場合となるとお手上げです。予想する気も起きません。時間がもったいないからさっさと筋力検査を始めて施術して、ある程度の手応えを得た上で、「たぶんこういう状況だったと思います」。後付けで、説明というか想像を述べるほうがはるかに無駄が少ないです。
一般的に、〈右足を引きずる〉というと右足が悪いように思いがちですが、〈左足の具合が悪くて左足1本で身体を支えられないから右足を引きずる〉場合もあれば、〈首肩の筋力に余裕がなくて姿勢を立てていられないから右足を持ち上げられない〉場合もあります。もちろん〈それ以外〉の場合も。というか、ちょっと乱暴な言い方をすると、どこに問題があったって、右足を引きずることは起こりうるのです。
Pさんについては、施術に相応の手応えは感じましたけれど、実際に右足を引きずらなくなったかどうかはしばらくご本人に様子を見てもらうよりありません。うまく改善できていると良いのですが。