ケガは連鎖する(場合が多い)

 また追突事故に遭いました、と、遠方のお客さん(Pさん)から電話いただきました。ええっ、また……。呆れる私。
 Pさんはケガの多い人です。いちばんの原因は過労で、〈身体が資本!〉的なハードな生活でへとへとにがんばっておられるかたなので、私としては、ともかくできるだけ、身体の機能・耐久力を下げてほしくない。

 一般的に言って、ケガとか手術は連鎖することが多いです。ひとつ小さな手術をしたらそれをきっかけに数年ごとに大小の手術が必要になる、とか、うっかりひとつのケガをしたら数か月ごとにぽつぽつケガを繰り返す、とか、そんな事態になりやすい。
 これらは、ひとつのケガ・手術をしたことによって筋肉のバランスが変わり、その〈変わった身体〉の使い勝手に馴れないままに新たなケガをする、あるいは、その〈変わった身体〉の状況に応じて新たな不都合が生じる、ということだと私は理解しています。
 なので整体屋としては、そのきっかけになりうるケガ・手術の影響を最小限にとどめたい。そして、次なるケガ・手術の可能性を下げておきたい。

 追突事故は、された側に過失は無いのが理屈ですが、身体の柔軟性・判断力が落ちていてペダリングがいつもほど冴えていない、でもそれに気付けていない、みたいなことになっていないかどうかは気になります。私は車に乗らないので想像ですが、車は、自転車よりは体調に左右されずに乗れてしまうように思いますから、無自覚にいつもより鈍くなっている、みたいなことは起こりうるかも? であれば、そこもついでに改善しておきたい。

 というわけで早速相談。来院は日帰りで。追突事故への施術は、作業としては簡単なので、2時間でなんとかできると思う――とか何とか話している内に、実は……とPさんが思い出されて、実は今回の追突事故以前にも頭を強打しておられたことが判明。…………。

 車の追突事故はおしりの打撲によるもので、症状は頭周り・首周りに出ます。一方、頭を強打した場合、どんな打ち方をしたかにも依りますが、腰・背中に症状が出ることが多い。Pさんの話をお聞きしていると、どうも、頭の強打もムチウチになってるっぽい。……てことは、ムチウチ2件か。
 まあ、でも、ものは考えよう。片っぽはおしりだし、片っぽは頭だし、Pさんは初めての来院ではないから私の仕事の勝手はご存知だし……と考えて、午前と午後で両方いっぺんに施術しちゃいましょう!となり、結果、1日4時間の施術になりました。

 〈身体修整法〉でするのは、〈身体の修理のお膳立て〉みたいなものです。〈自力ではできない修理〉のお膳立てを整体でして、さあ、後は自分でがんばって!
 なので、整体が済んだらそれを足掛かりにお客さんの身体は、1~2日、長い場合は1週間かそれ以上の時間をかけて〈自前の修理・調整〉をしなければなりません。そしてこの間、人によっては、とても眠かったりだるかったりすることがあります。
 ですから、1回にどの程度の作業をするか・できるかの判断は大事ですが、4時間……。お客さんにも私にも、これが1日の最大作業量になるのでないかと思います。

 ちなみにPさんはその作業にすんなり、かどうかは知りませんが耐えられて、その翌月には、「2つのケガ(頭の強打+追突事故)をする前の状態に戻りました。あ、でも、前ほどひどい状態でもないです」と、ダメ押しを兼ねて来院くださいました。前回の後、新たなケガはしておられず、顔色はそこそこ良し、身体はとても良い状態で、身動きもラクそう。ほっとしました。
 施術を終えて、もうしばらくはケガしないでね、でもケガしたら甘く見ずにすぐ来てね、と、重々お願いしてお別れしました。

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