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今一番行きたいお店は、50年前にできたアリスのレストラン
「行ってみたいレストランは?」
そう聞かれても、いまひとつはっきりした答えは浮かびませんでした。
素敵なお店はたくさんあり、あると言えばあるのですが、熱烈に行きたいわけでもないと思ってしまいます。
1年ほど前、日本語訳が出てすぐに読んだ『スローフード宣言(We are what we eat)』が、私の気持ちを動かしました。この本の著者であるアリス・ウォータースが手がける「シェ・パニーズ」。アメリカ・カリフォルニア州にあるこのレストランが、私の今の答えです。
カリフォルニア料理の発祥、地元でとれた有機栽培の食材、食材を活かすシンプルな料理……。今なら「サステナブル」と紹介されそうですが、1971年にできたレストランです。1971年と言えば、銀座にマクドナルド第一号店がオープンした年。
シェ・パニーズの名前は知っていましたが、私が引き付けられたのはこの本の読後感によるものが大きいかもしれません。
排他的でやや宗教的なイメージもあるオーガニックという言葉。この本からは全くそれを感じないのです。レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』を読んだときの心が静まり返っていく感じや温かさ、やさしさと同じでした(どちらも日本語訳版を読んでいるので、訳者さんの力でもあります)。
10月はさまざまな分野の著名人が来日していました。中でも私が気にしていたのはアリス。島根県海士町、徳島県神山町、京都府亀岡市……特に日本の学校給食に注目していて、日本国内を巡り、日本の地域の食や食の豊かさを活かし合う地域経済をドキュメンタリーに収めたそうです。
レストランに行けるのはどれほど先になるのか。年明けに上映される予定の、このドキュメンタリーがしばらくの間の楽しみです。
(2023.11.2)