THE GREAT BRITISH SEWING BEE から学ぶ「褒め言葉」
僕は本読んだり映画やテレビ番組を観ながら、日々英語を学んでいて、中でも THE GREAT BRITISH BEE と THE GREAT BRITISH BAKE OFF は、観ない日は無いんじゃないかっていうくらい繰り返し観ています。
情熱を共有する人々が切磋琢磨する姿は、観ていて飽きることがありません。それに、番組の中で語られる言葉の数々が、英語を学び教える身として、本当に魅力的に感じられるんです。
そこには、たくさんの褒め言葉もあります。この記事では、THE GREAT BRITISH SEWING BEE, Series 1 から、珠玉の褒め言葉の数々を抜き出してお届けします。
very や beautiful はかなり早い段階で学ぶ単語ですが、どれだけ使いこなせていますか?こういう表現をあたりまえのようにサラリと、そしてもちろん正直に使うことも、英語力を身につける上で大切なことです。wonderful や great、fantastic なんかもそうですね。
副詞 beautifully も番組中に頻出しています。
absolutely
「まぎれもなく」「まったくもって」というニュアンスで次に来る語を強調します。
faultless
ミスや難点がまったくないことを表します。
absolutely は日常的にとてもよく使われます。日本人はこういう表現を「大袈裟」と捉えてあまり使いたがらない気がします。もったいないですね。faultless は perfect の言い換えと見ることもできますね。
nicely
動作や様子などを修飾し、巧みで好感の持てる印象であることを表します。
意味合い的には well に近いですが、単に「上手に」というだけでなく「好印象」というニュアンスが加わります。
lovely
「素敵」「綺麗」「心地よい」といったニュアンスの、ポジティヴな印象を与え胸をときめかせてくれる人や物事について使える万能表現。
“That’s lovely.” は、 “I like it.” の言い換えとして最もニュアンスの近いものだと思います。アメリカ人はどうだかわかりませんが、イギリス人は本当によく使います。
dainty
見た目が小柄で愛らしいことや、動作が繊細で優美な様を表します。
ぱっと見てわかりやすいようなインパクトの強さはないけれど、よく見るとわかる細かで美しい仕事ってあるじゃないですか。そういうのを褒める表現として覚えておきたいですね
well managed
厄介な物事が上手にこなされている様を表します。
manage には「(難しい物事)をどうにかうまく処理する」「(扱いづらいもの)をどうにか使いこなす」といった意味があります。
impressed
人が深く感心している様を表します。
「感心」を表す表現としては最も頻出する語のひとつではないでしょうか。物事が印象的、感動的である場合には impressive を用います。
extremely
very より強い、「極めて〜な(に)」「これ以上は考えられないくらい」というニュアンスの語。
例えば extremely lovely などというように、褒め表現の形容詞や副詞と合わせて用いると、最高の褒め言葉になります。
quite a bit of sth
名詞の前に置いて「かなりの〜」「注目に値する〜」というニュアンスの表現を作ります。
a bit だけだと「ほんのちょっぴり」なのに、quite を添えると正反対の意味になるのが面白いですね。
terrifically
extremely と同義の、よりカジュアルな語。ただしこちらは批判に用いることは稀です。(extremely bad はありえるが、terrifically bad とは普通は言わない。)
neat
「すっきり綺麗にまとまった」というようなニュアンスの、無駄がなく手際が良い、あるいは巧みであることを表します。
前述の very beautiful や extremely well もそうですが、2語を組み合わせて使うことで褒めのレベルが上がります。こういう話術を身につけて、褒め上手になれたらいいですね。
exquisite
これ以上ないというくらい美しく丁寧に仕上げられている様を表します。
very beautiful や terrifically neat などとは対照的に、一語だけで究極の褒め言葉になる表現例のひとつです。
just
これ以上ないというくらい美しく丁寧に仕上げられている様を表します。elegant(華麗な、優美な)も褒め言葉ですが、ここでは just に注目しました。just には形容のレベルを引き上がる機能もあるんですね。
gorgeous
とても美しく、魅力的あるいは見事である様を表します。
外来語化した「ゴージャス」は「豪華絢爛」のイメージですが、本来は上のような意味合いで、必ずしも「お金がかかっている」ことや「派手」なことを含意するわけではありません。
to stand out
際立っていることや、コントラストを生んでいることを表します。
文脈によっては「悪目立ち」を表すこともありますが、上の文では beautifully が伴っていることで褒め言葉になっています。
well executed
よく出来ている、仕上げられている様を表します
well managed とほぼ同義ですが、managed が「成果全般」について用いられるのに対し、executedは成果の中でも特に「作品」について用いられます。
to pull off a bit of a coup
to pull off は「(困難なこと)を成し遂げる」。coup は「クーデター」を表す物騒な語ですが、「既存の常識を覆す偉業」という意味もあります。
日本語でも「〇〇の世界にクーデターを起こす」という表現が好意的に用いられることがありますよね。
arresting
視線を奪わずにはおかないほど魅力的である様を表します。
coup に続いて、物騒な語が好意的な意味合いに転じる例です。to arrest は「逮捕する」。arresting は「心を捕らえる」というイメージでしょうね。
well done
成果を称え、やり遂げたことを労う表現。
おそらく「よくできました」という訳の印象が強い表現ですが、それだと上から目線な感じがしますよね。実際にはどんな間柄でも褒め言葉として使うことができ、また「おめでとう」や「お疲れさま」というニュアンスも含んでいます。
番組中、おそらく最も頻出する表現なので、どんな場面でどんな風に用いられているか、ぜひ確かめてみてください。Massive well done. Huge well done. といった強調表現も見つかりますよ。
sth is doing what it/a ~ should do
「〜がその役割をしっかり果たしている」という意味合いの表現。
やるべきことができている。それは当然のことのようでいて、難しい場合もありますよね。だからこれも褒め言葉と考えることができます。
補足:上の文で the fly は目の前にあるズボンの前開き(チャックを覆い隠すパーツ)を、a fly は前開き一般を表しています。
to have/has done (or did) a really good job
「見事に仕上げた」「とてもうまくやり遂げた」といったニュアンスの、人の成果を褒め称える表現。a good job だけでも充分ですが、really が付くことで1段階上の褒め言葉になっていますね。
補足:really は very とほぼ同義ですが、より汎用性が高く人気のある語です。例えば I very like her. とは言えませんが(I like her very much. なら可)、I really like her. ということはできます。really 1語だけで very much の2語と同じ役割を果たせ流わけです。very は形容詞や副詞を修飾することができますが、それ単独では動詞を修飾することはできません。
adventurous
斬新で、ともすればリスクが伴う様、あるいはそのような物事に果敢に取り組んでいる様子を表します。
見ていて少しハラハラはするけど冒険心に富んでいるという評価も、立派な褒め言葉のひとつですよね。
love も、beautiful などと同じく、どれだけ使いこなせているかを自問し、遠慮せず正直に使って欲しい語です。多用されるからといって、love が実は「=愛」というイメージよりも軽い言葉というわけではありません。love は紛れもなくのっぴきならない強い感情であり、それを素直に認め表明するのが、英語圏の文化なのです。
to take on sth
「(責任が伴う、あるいは結果が求められる物事)を引き受ける、やると決める」という意味合いの表現。
直訳すれば「〜した」というだけで無味乾燥な感じがしますが、ちゃんと労力・努力を費やした物事を添えることで、「よく頑張って〜したね」「見事に〜し遂げたね」という褒め・労いの言葉になるんです。
brilliant
「秀でている」ものごと全てに対して使える万能褒め表現。
イギリスでは lovely に匹敵するくらい親しまれている言葉ではないかと思います。
well distributed
バランスよく上手に配置・取り付けされている様を表します。
to distribute には「分類・区分・配列・配分・配置 する」といった「物事を分けて並べ直す」という共通イメージを持ったいくつもの語義があり、ここでは「配置する」が採用されています。
effective
とても良い結果や効果を生み出しいてる様を表します。
主に全体的な印象に貢献しているディテールについて用いられる褒め表現。
to be not going to forget sth in a hurry
「(人が)すぐに忘れさるような代物じゃないね」という意味合いの、印象の強さを称える表現。
will not forget ~ in a hurry という形でも用いられます。be going to の方が断定的な言い方ですね。
sterling
質や状態がすこぶる良いことを表します。
挑戦者のひとり Stuart が作ったシャツへの、審査員の Patrick の褒め言葉。「007の悪役っぽくて強烈な印象だ」という評に続いています。James Bond は ‘The Spy Who Loved Me’(私が愛したスパイ)の劇中で Robert Stering という偽名を使っており、おそらく Patrick は、それにひっかけています。番組を見続けると、Patrick がなかなかの映画マニアであることがわかりますよ。
adorable / cute
愛らしく魅力的な様を表します。
子供や動物などについて使われることが多く、番組中では子供服への褒め言葉です。
delicate
手仕事などについて、細やかで丁寧である様を表します。
本来は「繊細」「壊れやすい」という意味の語で、このように好意的な意味合いで用いることもできます。
exemplary
お手本になるくらいの出来であることを表します。
アマチュアに対しては最上級の褒め言葉のひとつではないかと思います。
to take a big leap
直訳すると「大きく飛躍する」で、斬新あるいは奇抜な発想で何かに取り組むことを表します。
to make sense
(物事に)説得力があることを表します。
ここでは「手放しに称賛できるわけじゃないけど」という前提で、アイディアのユニークさを褒める表現として用いられています。
equally
「他の例に比肩するくらい」という程度を表します
impactful
強烈な印象を与える様や劇的な効果を生んでいる様子を表します。
他の優れた alteration(リメイク)と比較し「対照的に控えめな見た目だけれども」という前提で語られた言葉です。
superb
眼を見張るほどに質が高い様を表します。
ただ客観的に「良質」なだけでなく、話者の「驚き」も含意しています。
to display sth
「(手本となるような高い質、技術など)を披露する」ことを表します。
ただ単に「見せる」だけでなく、「お手本や好例として示す」という意味合いが display には含まれるんですね。
「ここまで君が披露してきたものとは随分違うけど、すごくいいね。」
「違う」だけで話が終わってしまうと、どうとも取ることができますが、and I like it. が添えられていることで、変化を肯定する素敵な褒め言葉になっていますね。
, which I think is nice / lovely / etc.
ある事実を述べた後で「そこが良いと思う」と主観的に評する表現。
I think は、このような具合に文中に挿入すると、その意見は「あくまでも主観」と申し添えることができる便利なフレーズです。「(先に述べた事柄について)他の人がどう思うにせよ自分はこう評価したい」という想いが伝わります。
worthy of something
「〜に値するぐらいの素晴らしさ」である様を表します
ここでは、ジャケットについての論評で「裏地が表にしても良いくらい素晴らしい出来だ」と褒めています。
need to / should / etc. be applauded for sth
「(人)が(行いや成果などについて)褒め称えられるべきだ」という意味合いの表現。
個人的に、シリーズ1中もっとも感動的だなぁと感じる場面からの引用です。見過ごされているかもしれないことや、公式な評価基準では計れない事柄について「称賛に価する」と称えたいときに使いたいフレーズです。
Sth says someone(name) like nothing else could
「(作品など)が、他の誰でもなく、まさしく(人)らしい出来だ」という意味合いの表現。
「作品自体が作者の名前を語っている」ということですね。ぱっと見で誰の仕事かはっきりわかる、one and only な仕上がりを褒め称えます。
to tackle sth
(困難な物事や障害)に果敢に挑む
「こんな問題があったね」と経過について触れた後で「果敢に挑み、見事に乗り越えたね」と称えています。褒めの論法としても覚えておきたいです。
immaculate
乱れや綻びが一切なく完璧で美しい様を表します。
perfectly
行為や状態などがミスなく完璧である様子を表します。
どちらも「完璧」を含意する最上クラスの表現。immaculate は作品などの仕上がりのほか、衛生状態についても用いられます。
the overall impression
「全体的、総合的な印象」を表します。物事の全体像を眺めての感想を述べたいときに、主語にすると良いですね。
stunning
これ以上ないと言って良いくらい魅力がある、あるいは感動的な様を表します。n感動的な様を表す最上クラスの形容詞の一つです。
Initial impression(s)
じっくりと検分するまでもなくやってくる感動てありますよね。それを表したいときに用いたい表現です。
phenomenal
並外れて素晴らしい、感動的である様を表します。
「人知が完全には及ばない社会や自然中の現象」を表す phenomenon から派生した語で、「並外れた」「卓越した」という意味合いを含んだ、最上位クラスの褒め言葉のひとつです。
sophisticated
非常に垢抜けて洗練されている様を表します。
「洗練」と言ってしまうと楽ですが、より踏み込んで説明すると「社会的あるいは文化的な叡智が存分に感じられる」といった意味合いであり、とても厚みのある褒め言葉です。
a roaring success
「広く世に轟く偉大な成功」を表します。
「大声で叫ぶ」「吼える」といった意味の to roar が原型の形容詞 roaring を使ったイディオム。成功自体が「成功だぞー!」と喧伝しているイメージですね。
It’s sth in my book.
「〜として私の記憶にとどまり続ける」という意味合いの表現。
sth の部分には、例えば the best film のような、最大限の賛辞を表す名詞や名詞節が入ります。
ここでの book とは記憶の比喩表現。「記憶に刻まれ生涯消えることはない」と讃える、とても粋で素敵な褒め言葉ですね。
さて、いかがでしたでしょうか?
結果、すごい数の褒め言葉が並んじゃいました。これらを全て覚えようという話ではありません。言葉ってこれほどまでに豊かなんだなぁとあらためて感じ、ひとつふたつお気に入りを見つけてもらえたら、それで充分です。
中には「そんなの知ってるよ」という表現が少なからずあったと思います。知っているからと言ってそれで済ませるのではなく、実例に触れる(番組を観る)という経験を通じ、お墨付きをもらったつもりで、自信を持って使いこなせるようになっていただきたいです。
ところで僕は、単語や表現の解説に「〜を表す」とか「〜という意味合い」という表現を用い、辞書の語義のような断定的な書き方をしていません。日本語と英語は一対の関係ではないことを理解してほしいからです。辞書中の語義も、実は英単語の説明に過ぎません。英語を日本語に置き換えるのではなく「語や表現のイメージをとらえる道具として日本語を使う」のだと考えてください。
それでは、I wish you happy learning!
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