The Great British Sewing Bee Series 2 から学ぶ「着心地」表現
そこで繰り広げられる人間模様から、普段着の人間臭い言葉をたくさん学べる THE GREAT BRITISH SEWING BEE 。せっかく服にまつわる番組なのだから、服にまつわる英語表現も取り上げとかないともったない! かと言って、洋裁用語じゃ万人向けではないですよね。そこで、まずは「着心地」をテーマにお届けします。
シリーズ2の各エピソードから一つずつ、フィット感が特に重視される made-to measure challenge から主に抜粋します。
Episode 1
fit sth
〈人、体、体の部位〉にちょうど良く合う
fit は「〜にぴったり合う、寸法がちょうどである」ことを表す[矢印]です。[演出]をつけると、「どのように」フィットしているのかを表せます。
e.g.
The dress fits you perfectly.
fit は「フィット感、合い具合」という意味合いの[役者]にもなれます。
e.g.
I think it’s a lovely fit.
The fit of the dress is exceptional.
Episode 2
too/a bit[化粧:long/short, large/small, loose/tight]
〜すぎる
long/short(長い/短い)、large/small(大きい/小さい)、loose/tight(きつい/緩い)といった[化粧]をフィット感について用いる場合、too や a bit を付け加えるのが一般的です。単に長い/短い、大きい/小さいというのではなく、切る人の体型に照らし合わせてどうなのかという話だからです。
で、肝心の too/a bit ですが、a bit(辞書では「少し、少々」と説明されていると思います)の方がちょっと遠慮がちな表現というだけで、そう大差はないと考えてください。 これはイギリス英語の特徴で、語句がその正式な語義とは逆の意味で使われるケースが、よく見受けられます。文脈に次第で、それは遠慮だったり皮肉だったりします。
もし本当に「ほんのちょっぴりだけ〜すぎる」場合には、just a bit、a tiny bit short のようにします。逆に「〜すぎるにも程がある」というレベルだったら、far too を用います。
e.g.
These sleeves are just a bit short for me.
That prom dress my mum handed down to me was far too loose unfortunately.
Episode 3
saggy
たるんだ、だぶついた
部分的にフィットせず生地が余っている、あるいは生地が伸びて波打っている様を表す[化粧]です。loose の仲間と考えて良いでしょう。体の一部(脇、腹、尻など)がたるんでいる様子も表します。
くだけた口語表現なので、公的な文書などでは用いません。
e.g.
Back in 1980s, it was quite fashionable to wear saggy clothes.
Episode 4
hug sth
〈人、体、体の部位(のライン)〉をいい具合に包み込む
「おや?」と思ったのではないでしょうか。そう、fit とほぼ同義の[矢印]です。
hug の第一語義は「抱きしめる」なので、そのイメージを持ってもらうと良いでしょう。体のラインに沿って包み込むようにフィットしている様を表します。
e.g.
Lycra is a type fabric that hugs the body very nicely.
Episode 5
to feel[化粧:lovely, comfortable etc.]
快適だ、良い着心地だ
着心地を表す英語表現としては、最もシンプルなものでしょう。feel に続く[化粧]は、nice、great などいろいろ考えられます。
生地の「触れ心地」を表すこともできる表現なので、着心地のことを言っているのだとはっきりさせたい場合には、「着心地については」を意味する fit-wise や in terms of fit を付け加えたり、[主役]を fit にしたりすると良いでしょう。
e.g.
That cotton shirt you made feels great fit-wise.
The fit of this pair of jeans feels very comfortable.
Episode 6
sitting[演出][場面:どこに]
(衣服のある特定の部分が)〜な具合で…に合わさっている、おさまっている
[矢印]sit の第一語義は「座る」。お尻と座面が合わさっている、そのイメージから、ここでの sit の意味合いを汲み取ることができるのではないかと思います。
引用文の sitting flat around the neckline は、「(襟が)首回りに沿って平らにおさまっている」ということで、つまりこの表現は「合い具合、おさまり具合」を表すものです。nicely、well のような[演出]と、[場面:どこに]のような、合っている(おさまっている)場所がわかる表現が必要です。
e.g.
The waistband is sitting nicely right above the hip bones.
Episode 7
snug・snugly
ぴっちりしている・ぴっちりと
snug は[化粧]、snugly は[演出]です。体に隙間なく張り付くようにフィットしている様を表します。レオタードやスリムジーンズのような、やや締め付け感を伴ったフィット感と考えてください。
e.g.
The elastic at the waist gives a nice snug fit.
Episode 8
sculptured
(体型に沿って)美しく造形された
フィット感というよりは、造形を讃える[化粧]ですが、衣服について用いる場合、体型と密接に関わる語なので、ここに含めました。
sculpture は「彫刻」という意味の[役者]であり、「〜を造形する」という意味の[矢印]として用いられもします。sculptured は、彫刻を美の象徴の一つと見做した上での表現というわけですね。体型そのものを、この語で褒め称えることもできます。
e.g.
I always adored Sonia Rykiel’s sculptured dresses. Never got one, though.
さて、いかがでしたでしょうか?
意味合いが近い語句があるので、「どう使い分けるんだ?」という疑問が浮かぶかもしれませんね。
似通った語句というのは、必ずしもその間にはっきりした線引きがあるわけではありません。生真面目に白黒つけようとせず、どんどん実例に出会い、覚えたもの、気に入ったものは積極的に使っていき、感覚的、経験的に習得していくのも大事です。
例えば、上の large は big と置き換え可能で、これら2語の語学的な違いを説明することは可能ですが、実際には、厳密に使い分けられる場合もあれば、そうではない場合もあります。その詳細を紐解こうとするのは良いことです。でも、頭でっかちになりすぎて使うのを躊躇ってしまっては、本末転倒です。
Take it easy, mate!(気楽にいこうや、相棒!)
それでは、I wish you happy learning!
この記事が参加している募集
Your support in any shape or form counts!