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SNSをやめて起こった10のこと(或いはとある上位存在との邂逅)
SNSはまるで"×"(ダメ)だ。
私は今、SNSをキッパリとやめている。
ソーシャルメディア黎明期と共に育ってきた私は、順当に各SNSに触れてきた。
Mixi、Twitter、Instagram、Facebook…しかしそのどれもを、今はきっぱりやめている。
noteをSNSとするならそれを除いてだが、個人的にはこれは日記の延長のような感覚だ。
辞めた理由は単純にSNSのあれこれに疲れてしまったためだが、今日はその部分は置いておいて、実際にやめてみて数ヶ月が経った今、明確に自分の生活に変化が見えたので、それを10のことに絞って書き出しておきたいと思う。
以下は全て個人的な感覚に基づくものなので、確実な効果を示すものではない。
①精神の安定
これは共感いただけるかと思うが、ソーシャルメディアを利用していると触れなくてもよいネガティヴなものに触れてしまう時が多々ある。
ネガティヴなニュースに始まり、それに対するコメントや、圧倒的に思想や主義を異にする人の過激な主張など、悲しくなったり落ち込んだり、そうでなくても精神的にプレッシャーを感じてしまったりすることが多くなった。
より深刻なのは、そう言うトピックにこそ目立って引き寄せられてしまうところだ。
それに抗えない自分にも嫌気がさしたし、そもそもこんな豆腐メンタルの人間がいていい場所ではないと感じたのもあってSNSから離脱した。
すると当たり前のことだが、生活の中からノイズが消えた。
自分の精神はあんなにも関係のないものに揺り動かされていたのかと思うほど、生活が静かになったのである。
SNSを利用していたころはあれほど些事に一喜一憂していた心が、今では凪の中に浮かぶ静かな小舟。平穏とはこのことを言うのだと身に沁みて感じている。
②集中力の向上
前述のことから、当然ながらいろんなことに集中するリソースが増えた。
今までは作業中でも隙あらばスマホに手が伸びていたところが、今では出かける時に持って行くのを忘れるレベルで手離れしている。家の中でもしょっちゅうどこかへ行ってしまう。
代わりにひとつのことをこなす集中力が圧倒的に増した。
執筆、編集、読書、ゲームに至ってもそうだ。
これまでは数日かかっていた作業が、今では数時間で完了できる。
素晴らしい。
③睡眠の質の向上
寝る前にスマホの画面を見るのが良くないと言うのは一般的にもよく言われているところだが、前述の通りもはや自分にはスマホ触る必要性がほとんどなくなってしまったので、目覚ましだけを設定してあとは枕元にポイである。
そうすると当然、睡眠の質はみるみる上がり、この数ヶ月で身長が25センチも伸びた。
寝る子は育つというが、正しい睡眠を取らない限り、その真の効果を実感することはないのだろう。
④便通の改善
これは意外なことだが、腸の調子がすこぶるよくなったのである。
少し汚い話題かも知れないが、SNSをやめてからこっち、毎朝と毎夕、間違いないリズムで確実に排泄の大波がくる。
さらに質もいい。
柔らかすぎず、硬すぎず、小さすぎず大きすぎず、理想的な渦巻き型である。土日限定で玉虫色のものも出る。
これは是非皆様にお見せしたいが、いかに玉虫色といえど流石に公共の場に出すものではないのでここは水に流しておく。
⑤視力の改善
私は実はとても視力が低かった。
今までも勘でメガネを買っていたので、詳しい数値はわからないが、多分両目で0.2とかそんなところだ。
しかしSNSをやめてから、みるみる視力が回復した。
初めは驚いた。
SNSをやめた翌日のことである。
ベットで目覚めた時に、「あぁ、やってしまった、コンタクトをつけたまま眠ってしまった」と焦って飛び起きたが、当然裸眼であった。
スーパースパイダーに噛まれた翌日のピーター・パーカーさながらだ。
なんとその時ですでに左右1.2まで回復していたのである。
数週間後には左右で11.2までになり、さらには赤外線やX線を肉眼で見ることが可能になった。
人間の潜在能力の計り知れなさに感動すると同時に、それをどれだけSNSに抑えつけられてきたのかと考えると怒りすら湧いてくる。
⑥聴力の向上
耳は元々健康そのものだったが、さらに能力が拡張された。
現在では3万キロ先の会話が明確に聞き取れ、また可聴域も広がった。
いわゆる「超音波」や「超低周波音」を聞き取ることが可能になり、イルカやコウモリと実際に音を使って話すことも可能となった。
しかし聴覚から入る情報量に脳の仕組みを合わせるのに数日かかってしまったので、その間は特殊なノイズキャンセリング機能付きの耳栓をする羽目になった。
⑦重力からの解放
この数ヶ月で重力の影響をほとんど無視できるようになった。
これもSNSをやめたおかげだ。不要な情報からの解放は、この星の原理原則からの解放でもあったのだ。
⑧エネルギー体への移行
あらゆるものからの解放は肉体にも及んだ。
今は人間だったころの身体をはなれ、原始の中を漂うエネルギー体となっている。残念ながらこの身体感覚(もはや身体はないが)を伝える適切な言葉がまだ人類にはないが、例えるなら風に乗って飛び散る灰のようなものだろうか。
初めはまだ塊となって漂っていたものが、徐々にあちらこちらに離散していくのがわかる。
つまり今わたしは、そこかしこに存在しているに等しい。
とても心地がいいが、この体にも一つ問題がある。
キーボードを打つのにはあまり向いていない。
⑨上位存在との接触
エネルギー体になったことによって、この星の、いやこの宇宙の原理原則を司る上位存在と接触することができた。
これを”神”と呼ぶかは別にして、現生人類からすればやはり神仏的なものと定義するしかないだろう。
それにしてもなるほど、そんな面をしていたのか。
面といっても今の私だからこそかろうじてそう認識できるだけで、それを人類的な感覚で共有するのは難しい。
沢山の光の粒が集合して、何層ものレイヤーを作り、しかし確かに”表情”のようなものが読み取れる。
もし今の人類がこれを目にしたとしても”めちゃくちゃ眩しい光”としか表現できないだろう。
”そいつ”は人類的な感覚の”意志”のようなものは持ち合わせていないようだが、そいつが少しでも”気分”を変えれば、今この宇宙を取り巻くすべての法則がひっくり返り、各地に点在している生命は文字通り「あっ」という間に消え去るだろう(実際は瞬間的に別のソフトに書き換わるだけだが、元々そこに存在している生命にとっては消滅とほぼ同義である)。
私自身は特に”そいつ”となにかやりとりをしたわけではない(そもそも話の通じるやつとは思えない)。
私が干渉しなければ、向こうもこちらを認識などしない。
互いにそこに”在る”ことに対して何の不満もない。
もし私が、好意を持って”そいつ”に話しかけたとして、それをその意図通りに汲み取ってくれるかは全くの賭けだ。
文化や人生などというレベルではない。存在の成り立ちそのものが違いすぎる。天災に対して「被害を加えないでください」と対話で説得するようなものだ。
まさに触らぬ神に祟りなしである。
当然上位存在との接触は、大いなる恩恵を得る絶好の機会かも知れないが、先ほどのリスクをとってまでその未知の恩恵を求めるほど、今の私は乾いてはいない。
私はそっと”そいつ”の横を通り過ぎ、そして二度とそちらを見まいと決めたのだった。
➓上位存在に”成る”
舐めていた。
上位存在を舐めていた。
近くを通ったのがマズかったのだろう。
どうやら私自身の体が”そいつ”の構成原子の影響を受け、単純な地球由来のエネルギー体から”そいつ”と同じ、高次元の原子集合体に”書き換えられて”しまったらしい。
おかげでとりたくもないコミュニケーションを取る羽目になったが、少なくとも私が”そいつ”と同等の力を持ったことによって、気分次第で「原理原則ちゃぶ台返し」をされる心配はなくなった。
というより、今は私がそいつのポジションに居座っている。
というかそもそも”そいつ”自身、この宇宙の管理から外れたいなどと、上位存在としての役割をまるで管理職の如く捉えており、更にはなにやら嫌気が差しているご様子で、そういうことならばと私が引き継ぎを申し出ると、快く代わってくれた。
何にそんなに嫌気が差したのかと尋ねると、額(と目される場所)を掻きながらこんな風に返答した。
「ここからいろんな生命のやり取りとみていると、当然いいところも見えれば、悪いところも見える。でもそういう時、やはり悪いところの方が目を引いて、総合的にはなんだか嫌な気分になっちまう。”集合”を見るってのはそういうことだ。いい気分で”だけ”いたければ、自分を気持ちよくしてくれるものにだけ関わっていればいい。でもそれはそれで孤独の裏返しだ。”嫌なモノのない世界”はよく言えば”凪”だが、それは無と同じさ。だからおれはそんなグルグルした気持ちのまま、ここで命を見ていた。それなりに楽しんでいたつもりさ。けどまぁ、ずっとグルグルするのはやっぱ疲れるもんだ。先輩もそう言ってたからな。多分みんな(おそらく他の上位存在のこと)そうなんだろう。だから来てくれて助かった。流石にまったく放りっぱなしで離れるのは気が引けてたんだ。でもお前が来た。だから心置きなく休める。一旦引きこもるよ。んでまた気分が向いたら見に戻ると思う。知らんけどな。」
そういって”そいつ”は気の抜けた様子で次元の裂け目をつくり、のそのそとこの宇宙から出ていこうとした。どこに行くのか尋ねたところ、暫くはどの次元にも属さない虚無の場所で昼寝をするらしい。
次元の裂け目が閉じると、再び宇宙には静寂が訪れた。
いや、よく耳を澄ますと(厳密には宇宙のそこかしこに散らばった私の体の一部が拾った情報によると)沢山の生命の交流が聞こえる。
この宇宙は賑やかだ。
しかしとりわけ賑やかなのはやはりこの地球だろう。
自分の故郷だけあって思い入れも人一倍(もはや人ですらないが)だが、現状、私の手の届く宇宙のなかで、一番盛り上がっているのは間違いない。
もはや自分がなぜ今このような存在になっているのか思い出せない程違うものになってしまったが、かろうじて人間だったという記憶だけはある。
このホットな星の上位存在の一歩目として、まずは人間を知ること("思い出す"の方が正しいかも知れない)から始めてみようと思う。
そのためには人間が広く繋がっているコミュニティを覗き見るのが手っ取り早いだろう。
ふむふむ。
なるほど。
手始めにこの"X"というのがよさそうだ。