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教員4年目で振り返る教育実習のおもいで

1 最大の学び、定時出勤退勤は可能。

「#定額働かせ放題」がトレンドに入り、「#教師のバトン」は今日も荒れている
教育現場はブラックだ。
そんな中私の教育実習は相当な「当たり」を引いたと言って間違いない。

 教育実習の過酷さを作っている主な原因は、なかなか帰れない事。
実習生は指導教諭より先には帰りにくい風潮が理由にある。

私の担当教諭のA先生はギリギリに来て定時即退勤する、幼稚園お迎えダッシュ教諭だった!
(そんな忙しい人に教育実習生の担当させるなんて…と思われるかもしれないが、私の専門教科は美術で、常勤はA先生のみだった。A先生は担任を持たず学級指導は別の先生が担当してくださった。)

さっぱりとした小気味好い方で、まだ見ぬ新顧問(A先生は年度末で移動の予定だった)に不安を訴える美術部員達に「嫌な人だったら美術部を解体して、好きな先生に顧問をお願いして新しい部活として再結成すれば良い」と非常に建設的で物騒な提案をしていたのをよく覚えている。

 かくして、他の実習生を横目に既に退勤したA先生の机に日誌を提出。
自分の実習の授業準備をして、他の先生の手伝いを申し出てみたり、部活を覗きに行ってみたり。
無理なく帰れる緩やかな実習期間を送ることとなったのだ。

 「取れるもんは取っとくか。」で取った教職課程が「まあ教員もアリか。」という選択肢になったのは、あの時「やりようによっては帰れる」例を見せて貰えたお陰だと思う。
A先生、お忙しいところ本当にありがとうございます、移動してしまって伝えられなかったけれど、お陰様で教員をやっています。


2 教員は芸人?!関西の洗礼。

 教員は「話す」場面が多い仕事。
関西で「話す」という事は「オチを求められる」事。
「実習生を前に引っ張り出して、掛け合い漫才の相手にしようとしないで下さい!役不足です!お笑いハラスメントです!!」実習期間中に友人に送ったLINEの文面の一部だ。
せいぜい明るい陰キャの私には荷が重い。

他の教員からツッコミを振られるのが本当に一番困る。
どのくらいなら突っ込んで失礼にあたらないのか人によって違う。本当に分からん。上手く返せないと生徒から「ノリ悪いな」「キレが足りひんな」の視線を浴びる事になるのだ。関西人は話し手に対して大変シビアな物差しを持っている。

実習生は滑り倒して「おもんない」判定されれば一貫の終わり…という緊張感の中で過ごす事となる。

 しかし私の緊張とは裏腹に、聞き手としての生徒たちは大変優秀だった。
大学での研究発表や模擬授業より余程反応が良い。
人によってはひな壇芸人さながらのリアクション芸を披露してくれる。

オチを求める側も、ただオチを要求しているわけではない。
常にオチを求めるからには全ての話はそれなりの態度で聞かねばならないし、話しやすいように反応を返し、多少滑ってもカバーして盛り上げるのが粋でかっこいい振る舞いとして賞賛されるのだ。

 おかげで研究授業もしっかりレスポンスしてくれて助かりました。本当にみんなありがとう。お陰様で教員やれてるよ。

3 特定自治体からの亡命者達。

 実習先の母校のある自治体に隣接して、教員の待遇が非常に悪いことで有名な自治体があった。
どのくらい有名かと言うと 日本海側にある私の母校でも名指しで噂されるほどだった。

私の実習年度はコロナウイルスの関係で秋に教育実習が行われた年だったので、実習と採用試験が同時進行していた。
実習期間中に試験があって抜けたりもするので当然その話題になる。

勿論件の自治体を受験する実習生もいる。
それを聞いた教員達が「この学校には〇〇(件の自治体)から逃れてきた教員が3人いる、命が惜しければ〇〇の教採は受けるべきではない。そこだけはやめておけ。」と実習生たちに語って聞かせるのだ。
さながら紛争地域からの避難民か亡命者である。

私は思った、〇〇は恐ろしい所に違いない。
まあ採用試験受けへんし他人事やけど。
むしろブラックか否かがある程度自治体単位で、同業内でこうして情報交換されているなら一般企業より地雷は避けやすいのでは?

半年後、自分が件の自治体に非常勤講師として勤務することになるとはこの時は思いもしなかったのだった…

半年後↓


まとめ

  教育実習で現場を見て教員を諦める人が実に4割。
そんな中、私は当時は教職志望ではなかったのに、今何だかんだで教職をやっているのは、思えば恵まれた実習あっての事のように思う。

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