2021年の振り返りとZENKIGENの2022年
明けましておめでとうございます。
あっとういうまに一年を駆け抜けたという感覚で新年を迎えています。2021年はZENKIGENにとって大きな変化のあった一年となりました。そして2022年は更なる大きな変化を生み出していきますので、2021年の振り返りとZENKIGENの2022年についてまとめてみたいと思います。
■ZENKIGENの数字たち
まずは数字から振り返ります。
・創業から4年でこれまでのトータルの動画数は150万データを突破しました。しかも年々加速度的に増えおり、その増加数は昨年1年間で282%も増加しています。
・web面接ツールharutakaの利用者数は120万人を超し、昨年1年間の利用者数は268%も増加しています。
・昨年リリースしたAIプロダクトで解析した動画数は2.5万人を超えました。
他にも直近の月次のチャーンレート(解約率)が0.5%だったりと、コロナ禍が続いたことによりZOOM等のツールが浸透したにも関わらず順調な事業推移と言えます。とは言え、普通に成長している会社を創るつもりは毛頭ありませんので、この程度のことでは1mmも満足していません。
■体制の強化
1.現ソウゾウ(前メルカリ)CTOの名村卓氏が取締役CTOとして就任(1月1日付)
昨年の元旦のnoteにも記載していますが、日本発のグローバルカンパニーになるために名村さんがCTOとして就任してくれたことは、ZENKIGENの未来にとってとてつもなく大きなことです。また、当社のエンジニアは技術相談はもちろんのこと、頻繁に名村さんと1on1を通じて逞しく成長しています。
2.監査役就任
ZENKIGENは、創業数ヶ月でベンチャーキャピタルから資金調達をしている会社ですから上場が前提の会社です。しかしながら上場は目的でも何でもなく、資金調達の多様性の獲得という手段でしかありません。日本発のグローバルカンパニーになるためには当然のことと思っています。
ということですから創業時よりいつでも上場出来るようにあらゆる契約や取引の透明性に努め、コーポレートの体制も強化してきました。
そして更なる体制強化として、監査役の体制を強化しました。
常勤監査役には、公認会計士としてあずさ監査法人で長年監査を担当した矢崎さんに就任していただきました。スタートアップ界隈では常勤監査役が圧倒的に不足している中、監査法人での長年の経験だけでなくテクノロジーのキャッチアップが早く、何より人格も素晴らしいという矢崎さんは奇跡に近い出会いです。
また社外監査役には、私とインテリジェンス時代の同期であり、株式会社エスネットワークスの創業メンバーで現在社長を務める高畠さんに就任していただきました。高畠さんは企業の株式公開や海外展開、ターンアラウンドなどの経営変革支援を20年以上行い、多数の企業変革に関与した知見から機会と脅威を適切にアドバイスしてくれる頼もしい経営者です。
また同じく社外監査役には、弁護士として四大法律事務所の西村あさひ法律事務所のパートナーまで務め、現在はリーガルテックとして注目されている株式会社リセの創業社長の藤田さんに就任していただきました。弁護士として法律面に限らず、スタートアップの状況を理解した現実的な会社運営に対するアドバイスをいただけます。4人のお子さんを育てながら、起業までしてしまう超人で、起業の経緯など志の高さに共感しかありません。
大手監査法人出身の公認会計士として会計や内部統制の面から支えてくれる矢崎さん、経営者として様々なアドバイスをしてくれる高畠さん、弁護士として会社を攻守の両面で適切なアドバイスしてくれる藤田さんという最強の組合せです。
控え目に言ってこれ以上の監査役の選任は考えられません!
■内製にてAIプロダクトの連続リリース
1.自己PR動画解析AI「harutakaエントリーファインダー」を提供開始(2月24日)
創業時より世の中にほとんど存在しなかった面接動画というビックデータを活用したAIを創る、と思い続けて実現したZENKIGEN初のAIプロダクトで感慨深いリリースとなりました。
2.面接内のコミュニケーションを可視化、「harutaka インタビューアセスメント」を提供開始(9月14日)
続いて2発目のAIプロダクトは、ライブの面接を解析して面接官、候補者双方にとって質の高い面接をできるようにアシストするAIです。私自身、ZENKIGENの最終面接でこの機能を使っていますが、もはやなくてはならないツールになっています。
3.動画解析AIによりマネージャー・メンバーの関係性を定量化、つながりを強化する1on1改善サポートAI「revii(リービー)」を提供開始(11月17日)
ZENKIGENのビジョンである『テクノロジーを通じて人と企業が全機現できる社会の創出に貢献する』の実現の為には、採用の先の”働く”職場領域こそが重要と捉え、4年前の創業時より構想していた職場領域のプロダクトを遂にリリースしました。
2022年はreviiを活用した画期的なことにトライします。その辺りのリリースは今年の早い段階で公開したいと思います。
reviiはリリースと同時に日本経済新聞にて紹介され、方々から反響がとても大きく、今後の可能性をひしひしと感じています。
・日本経済新聞 電子版/「ゼンキゲン、AIで上司と部下の面談解析」(2021年11月16日掲載)
・日本経済新聞 朝刊/「オンライン面談 効果を定量評価」(2021年11月17日掲載)
■入試支援
コロナによって入試という人生の大きな岐路で高校生の可能性を摘まないために、当社のharutakaを約30校ほどの大学に提供しました。土日含めメンバーの献身的なサポートで、高校生の人生を若干なりとも支えられたと思うと嬉しく思います。
■大学との共同研究
既存の東京大学、慶應大学に続いて神戸大学の採用学で有名な服部先生との共同研究を開始し、SDGsで有名な慶應義塾大学SFC研究所xSDG・ラボ研究コンソーシアム「xSDGコンソーシアム」に参画しました。
1.神戸大学大学院経営学研究科准教授 服部泰宏研究室と、採用DXのプロダクト開発および効果的な採用手法の仮説検証についての研究を開始
「採用学」のパイオニアである服部泰宏准教授と当社の保有する採用関連の動画データを活用し、採用面接時と入社後の評価を連続したデータとして検証、仮説を立て立証していきます。そして、"人"の可能性を最大化する「デジタル時代の新たな採用」の社会実装を目指します。
2.慶應義塾大学SFC研究所xSDG・ラボ研究コンソーシアム「xSDGコンソーシアム」に参画
ZENKIGENの保有する採用・職場領域における面接や1on1の動画データ及び独自開発のAIアルゴリズムを用いて、「人的資本(後述)の情報開示」においてテクノロジーを活用し、より多面的で客観的な人的資本の計測指標について研究を目指して参ります。
■主たるアワード
1.国内最大級のIT製品比較サイト「ITトレンド」の年間ランキングにおいて「Web面接・オンライン面接システム」部門で第1位を獲得
多くのお客様にお問い合わせを頂いた結果として2年連続での受賞に至りました。嬉しい!
2.ZENKIGENの自己PR動画解析AI「harutakaエントリーファインダー」が、日本の人事部「HRアワード2021」人材採用・雇用部門最優秀賞を受賞!
387件のエントリーの中から全国20万人のHRパーソンによる投票及び選考委員会に選ばれて「harutakaエントリーファインダー」が2021年の人材採用・雇用部門最優秀賞に選出されました。創業時より密かに狙っていたので受賞できてとても嬉しい賞です。
■各サイトの大幅リニューアル(内製)
社内のデザイナーによる完全内製で、各サイトのリニューアルをしました。
ZENKIGENらしさを表現したビジュアルに生まれ変わりましたが、これまでのトピックスと粒度が違うように感じられると思いますが、私はSaaS事業は最後はUI/UXで優勝劣敗が決まると思っていますので、デザインは極めて重要な要素です。ZENKIGENには社員で唯一『先生』と呼ばれるデザインチームの責任者がいます。彼はデジハリで長年講師を務め、名だたるネット企業のデザイナーの新卒社員に1年かけてプロのデザインを教えています。ZENKIGENが考えるデザイン経営については別の機会で触れるとして、今後もデザインの力を経営に活かしていきます。
コーポレートサイト:https://zenkigen.co.jp/
採用サイト:https://recruit.zenkigen.co.jp/
■シリーズBラウンドでの資金調達
2021年12月、スパークス・グループをリードインベスターとして、既存投資家のデライト・ベンチャーズ社をフォローインベスターとしてシリーズBの資金調達を完了しました。
スパークス社は私が南場さんとの対談でも話をさせていただいた通り、「小粒な上場で四半期決算のため大胆な投資が出来ずに成長軌道に乗れない上場はしない」、という考えに強く共感していただいた投資家です。むしろ阿部社長からは「インダストリーを作るくらいの気概でやって欲しい」という力強い後押しをいただてのご出資となり、これ以上のパートナーはいないと思える投資家です。しかも今回は、日本で初となる一つのファンドで1,000億円を集めるファンドの出資1号案件となります。何事も1番とか1期目、1号は特別だと思っていますが、我々が成長し続けている限り力強く後押ししていただけるということになります。
またDeNA社が唯一のLP(ファンドに投資する会社のこと)であるデライト・ベンチャーズ社からも追加出資をしていただきました。DeNA社のAI技術の高さはネット業界では頭ひとつ抜けた存在であり、シリーズAでのご出資以降DeNA社とのAI領域の人的・技術的交流をさせていただいてます。また南場さんからも経営のアドバイスをいただけるという貴重なご縁にも繋がり、未来を拓くための最強パートナーと言っても過言ではありません。今回の追加出資を契機に、より力強いご支援を得て世界を目指します。
※参考情報
スパークス・グループ、「未来創生3号ファンド」設立。
トヨタ自動車、三井住友銀行も再び出資。目標額 1000 億円 (2021年 8月2日)
https://ssl4.eir-parts.net/doc/8739/tdnet/2007628/00.pdf
■ZENKIGENの2022年
変化の大きかった2021年の振り返りはまだまだネタに溢れていますが長くなるのでこの辺にして、ZENKIGENの2022年について述べたいと思います。
まずは採用領域のharutakaについて。
コロナ禍により一気に普及したweb面接ですが、2年が経ちZOOMで代替可能という厳しい面があるのも事実です。そんな中、我々しか出来ないテクノロジーと顧客体験により今年は大きな仕掛けをします。既にZOOMやmeetが普及しても面接ではharutakaを使い続けている顧客が数百社もいますが、そのサービス内容と顧客体験を格段に上げるサービスへと進化します。そしてそれは我々のAI技術を更に進化させるものになります。
次に職場領域のreviiです。
11月にリリースしたreviiはMVP(顧客に価値提供できる最小限のプロダクト)でしたので、これから進化し続けます。既にその開発に取り掛かっていますが、企業の抱える課題にミートする感覚を強く持っています。この1年は拡販を急がず、プロダクト開発と自社の課題解決を同じ温度感で伴走できるパートナー企業数十社と深く関わりプロダクトを磨いていきます。
事業では他に昨年末に始めた新規事業もコロナ禍における職場の課題解決に資するものとなっており、安価に設定してPLG(プロダクトでプロダクトを売るというSaaSの新潮流)で広がる可能性のあるプロダクトなどもありますので、しっかりと形にしていきます。
組織も100名近くなり組織拡大に必ず起きる壁がやってきます。ZENKIGENはビジョンマッチを採用の条件としていますが、それでも確実に100人の壁があり、組織の問題が噴出するはずです。そのために必要なことはビジョンの共有をこれまで以上に発信し続けることと、社員との対話、組織の壁を低くしておくこと、マネジメント層の成長等、事前に対応できることを全部やっていきます。とにかく組織の風通しを良くしていくことに努めていきます。
そして最後に大きな事業戦略について。
2022年は、reviiの活用を通じて人的資本の指標化に体重を乗せて研究・開発をしていきます。人的資本とは、これまでの資本主義における企業価値評価が目に見える財務指標だけに対して、目に見えない非財務指標を評価していこうという流れの中で、価値を生み出す源泉である社員を貴重な資本として評価していこうというものです。しかしながら人的資本が大切だということは世界のコンセンサスになっていますが、それを評価し、変化率を指標化し、経営の重要な意思決定に活用することも、企業価値の向上にどのようにつながるかも、まだ世界で誰も明確には示していません。
reviiは上司と部下の1on1の面談をAIが解析して関係性の可視化と向上のアドバイス、そして結果的に組織状態の向上に資するプロダクトです。これまでの職場における情報は全てテキスト情報です。しかも頻度は3ヶ月に一度か半年に一度更新されません。またサーベイなどはかなり主観データが混じってしまい、リアルな状態を示すには不十分です。その上、サーベイの結果は分かるがその原因が分からないということが殆です。reviiは1on1をベースにしているので多ければ週一回、少なくとも月一回は行われるものです。その動画データをAIが解析しますのでデータ量がテキストとは全く比較になりません。
要は、データ量もリアルタイム性も世界にほぼ前例のないプロダクトのため、我々が人的資本の指標化作りに貢献できる可能性があるということです。その名乗りを上げるための仕込みもしていますので、今年の早いタイミングで公開します。
以上、かなり長くなりましたが2021年の振り返りとZENKIGENの2022年についての説明となります。
2022年も『テクノロジーを通じて人と企業が全機現できる社会の創出に貢献する』というビジョンを念頭に、事業を通じて社会の健全なる発展に貢献する会社を社員と力を合わせて創って参ります。
2022年元旦 株式会社ZENKIGEN 代表取締役CEO 野澤比日樹