お兄さんの姿勢でわかるやさしさがあるんだよ
平日昼間にしか買えないものがある。さてそれはなんでしょうか。
いろいろあるかもしれないが、さしあたって収入証紙を挙げたい。収入証紙はだいたい平日昼間でなければ買えないんじゃないかと思う。
収入証紙を売ることを許可されている所といったら銀行や信用金庫の本店か大きな支店、あとは警察署ってところだ。
見てのとおり、平日昼間じゃないとどこも開いていない。時間と場所が限られるだけに購入のハードルは割と高いんじゃないかと思う。
それが必要だったので、買いに行くことにする。最寄りに地元の信金の本店があるので、そこへ行った。
入口のドアに「都道府県収入証紙売りさばき所」と書いてある。
売りさばくんだ。へー。
売りさばく、という字面からは、なんだかその行為自体にやましさを感じるような売り方が自然と連想されてしまう。なぜだろう。
そんな言われ方をしている割に、当然なのだが収入証紙ときたら1ミリもやましくないですけどね。ふしぎ。
ついでにメンバーからビールを買ってくるように頼まれたので、信金を出たらでっかいスーパーに向かった。
スーパーに入ると、入り口近くの良く見えるところにものすごい数の緑色の物体が見える。近づくとスイカだった。夏ですね。
スイカといえばまん丸の形を連想する人が多いんじゃないかと思う。あの出川さんの充電の番組に出てくるヘルメットみたいな。
しかしそこで売られていたのは丸くない、卵型のスイカだった。
へー、と思いながらスイカ売り場を見る。
しばらく見ていると、品出し担当のお兄さんがやってきてスイカの品出しを始めた。ご存じのとおりスイカはそんなに頑丈ではないので、手に持つときの取り扱い注意感がはんぱない。
その楕円形のスイカを、ラグビーボールみたいに大事に小脇に抱えて衝撃を与えないよう「……スッ」と売り場に置く。慎重に慎重を期すためなのか、常時姿勢は弱・前かがみだ。
その動作を何回も繰り返しながら、スイカをきれいに丁寧に売り場に並べていた。
なんてスイカにやさしい品出し担当さんなんだ。当たり前ではあるけれど。
もうその姿勢「弱・前かがみ」そのものに、なぜなのか全方位型・全天候型・全宇宙規模のやさしさを感じてしまう。
どんなに暑くても忙しくてもスイカへのやさしさを忘れない。
思いがけず、頑張っている人の良い仕事を拝見する機会をいただいてしまった。地元のスーパー捨てたもんじゃないな。
なんだろう昔みたいに面白いことを思いついては書くという日記の書き方ができなくなってきた気がする。まあいいか。今日は冷凍庫にアイスが入っているのでそれを食べるのを夜のお楽しみにする。