雨の砂、虹の雪
師走の鳥取駅から出発したバスは、ボツボツと降る粗い雨の中を砂丘へと走った。
やがて車窓を強風が叩き始め、潮の匂いがするバス停で降りると雨は止んでいた。分厚い雲が海に追いやられて青空が広がる。
砂丘に足を踏み入れると、前夜に降った雪で砂一面が真っ白に覆われていた。クレイジーだ、と僕は思った。こんなにも美しい風景が見られるなんて。
海に向かって雪と砂を踏みしめていると、またボツボツと雨粒が落ち始め、足元の雪が溶け出した。
感情がわからない。たぶん、僕は考えても仕方がないことないことに囚われ続けている。だとしたら。どうだろう。
鳥取砂丘は想像していたより遥かに広大で起伏に富んでいた。途中から立ちはだかる丘に遮られ、向こうの海が視界に入らない。
森羅万象。これで虹でもかかったら完璧だな、と思いながら丘を登り切ると、眼下に海岸線がひらけて、そこにはちゃんと虹がかかっていた。
最高かよ。
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