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専門学校のカットモデル体験 in ニュージーランド


僕の通うニュージーランドの専門学校ではいろいろな無料サービスを受けることができる。

というのも、さまざまなコースの生徒が、無料サービスを提供することで、実践訓練をするからだ。


たとえば、自動車整備コースに行けば、車を無料で点検をしてくれる。

ヘアスタイリストコースは定期的に無料カットを提供し、僕の通うスポーツマッサージコースも無料マッサージルームを開くことになっている。

面白い制度だと思った。

せっかくこの学生なったなら、どんどん利用したほうがよさそうだ。


ロックダウンで髪も伸びた僕は、今回、ヘアスタイリストコース生徒のカットモデルを体験してみることにした。


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ところで、ニュージーランドに来て困った事の一つが、ヘアカットだった。

大都市オークランドには日本人の美容師もたくさんいるけれど、地方ではそうはいかない。

当然ながら、英語で好みの髪型を説明しなきゃいけない。

しかし髪型に関するボキャブラリーなんて持ち合わせていなかった。

日本でさえ新しい美容室は緊張するのに、文化の違う国で、英語で細かい髪型の説明なんて想像もできない。怖すぎる。


今の街に引っ越して、はじめてネイティブの女性に切ってもらったとき、やはりその洗礼を受けた。

・短めに、長めに
・◯◯センチくらい切ってください
・裾はバリカン使っても大丈夫です

などの貧弱なボキャブラリだが、希望はざっくりと伝えて、だいたい伝わったかなーと思った。

切り始めてからも順調に進んで見えたけど、前髪に取り掛かったときに、思わぬことが起きた。

彼女は前髪を横一直線に揃えた。

うわっ、と思ったときには時すでに遅し。泣

・・けどいい。前髪ならなんとか自分で直せる。

と気を取り直そうとしているところで、彼女は襟足を整え始めた。

それも何かいつもと違う気配を感じたんたけど、仕上がりを見て唖然。

襟足も横一直線に真っすぐ剃られてた。

もう・・軍隊かよ。。。


そういえば、白人の男性ってこんな頭してる。
彼らは金髪なのでそれほどラインが目立たない。

しかし僕の場合は、完全にクッキリ真っ黒な横一直線ライン。最悪だ・・。


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その次、訪れた別の店では、最初の失敗をふまえ、

「前髪をまっすぐに揃えたり、襟足を真っすぐに剃らないでください!!」

と口を酸っぱくして伝えた。

だから真っすぐ問題は回避できた。

が、襟足をまったく整えずで、ムダ毛もじゃもじゃのまま放置された。

襟足を真っ直ぐに“シェーブしないで”という、言い方か、発音が悪かったのだろうか。。


極め付けは、座っていきなり切り始められた店だ。 

長さも聞かれないままカットがはじまり、「何も聞かずに切るんですか…」と唖然。。

安くもない普通の美容室だ。

もうトラウマになりそうだ。




今は話が通じる美容師を見つけたので問題はなくなった。

スタイルの伝え方もある程度わかった。くっきりライン回避には「ナチュラル」って言葉がめちゃ使える。

だから、他に行ってもそれほど困ることもない。


学校のカットモデルは少し不安もあるが、これだけの経験値があれば、きっと大丈夫だろう。


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ヘアスタイリストコースは、僕の教室の隣りにある。

予約を取りに部屋に入ると、今は無料カットはやってなくて、
メンズカットは$15ドルとのこと。

おっと、無料じゃないのか。。

普通の店でのメンズカットの相場は$20~30くらいだから、それほど安くもない。

ならやめようかな、、と一瞬思ったけど、まいいか。そのまま予約した。

少し興味があるし、それに、お金取るなら、逆に安心感アップだろう。


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で、昨日ががその予約日だった。

店につくと、さっそく席に案内された。

出てきた担当はおそらく20代のマオリ女性だった。明るくハキハキして印象よく、接客態度も堂々としていた。

が、いざ、首にタオルを巻く動作がぎこちなくて、あれ、と思う。


希望の長さや、例によって「まっすぐなラインだけは作らないでね!!」を強調した。

ちゃんと伝わったっぽいし、任しといて!って雰囲気なので、大丈夫だろう。


聞くところ、このコースに通ってそろそろ2年が終了という。



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髪を切り始めると、すぐにぎこちなさが伝わってきた。

バリカンはおっかなびっくりだし、切る髪をうまく掴めず、うまく掴めた分だけとりあえず切ってく的な、、行き当たばったり感がすごい。

ヤバいところに来てしまったと悟った。

え、カットモデルって・・つまいこういうトコなの・・?(・・;)


これってニュージーランドだから?たまたま運が悪い? 

とにかくここまで下手な人は見たことがない。不安になってきた。

でも引き受けた以上は仕方ない。

同じ生徒のよしみ。暖かい目で見届けよう。。


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結果的には、大惨事にならなかった。


暖かい目で見てても、ずっと黙ってるとあきらかにやばいので

「もうちょっとココ切った方がいいかなー」とか

「左がちょっと長すぎない?」とか、

軽く、やらわらかく伝えたりしながら、場当たり的対処が続き、、

ときおり見に来る先生の手助けもあって、

なんとか最後には形になった。

よかった。。。



切り終わった彼女は

「どう、だいぶすっきりね!!」

と自信たっぷりだった。


この自身はどこからくるんだろう。僕なら恥ずかしくて絶対この顔できないが、、ほんと見習いたい。


ま、昔の軍隊ヘアに比べたら100倍いい。

僕はエールを込めて「Great, thank you so much!!」と伝えた。


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席を立つと、彼女が言った。

「今日は無料です!ありがとうございました!」


あれ・・?無料?

と聞き返すが、どうやらそうらしい。


これを聞いて全て腑に落ちた気がした。

そーか・・無料だからこの子はこのレベルだったんだな・・・

と。


だったら逆にラッキーかもしれない。

一気に得した気分になった。


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店を出ようとしたらレジで止められた。

ん??

と思ってると、彼女が慌てて走ってきて

「すいませーん、私の間違いでした!今日は無料じゃなかった!!」


・・ついさっきの腑に落ちた感は、僕の勝手な思い込みだったんですね。。


それなら、、

とカードを差し出すと、料金は$12ドルで、なぜか$3安かった。


損したような、得したような、、全くよくわからん心境だ。


ま、でも、

結果的には12ドルで髪を切り、異国でのカットモデルを体験できた。

今日、普通の頭で、街を歩けることに感謝しようと思います。

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