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その適当さに従うか否か?

ニュージーランドの僕の住む街は、3週間のロックダウンを終えて遂に学校が再開した。

ひさしぶりに学校に行くと、生徒に「給付金」が出るという案内があった。

なんでも、
今回のロックダウンによって、金銭的な困難に直面した人への、
学校(おそらく国)からの給付金の制度らしい。


金額は、最大300ドル(約25,000円 ※状況により変化) とのこと。


一見、自分にはあまり関係ない気がした。

しかし先生は

「うちの学校の生徒はみんな受け取る権利があるから、絶対に申請したほうがいい」

と言う。

なら、もらわない手はない。


**


さっそくWEB申請フォームを開くと、「申請理由」を書く欄があった。

今回のロックダウンによって

・どんな困難に直面しているか
・受けた金銭的な損害
・生活費への影響

など、具体的に書かなきゃいけないらしい。


そりゃ当然か。。

けど、今回のロックタウンで直接の損害を受けた気がしない。

だって、ふつうに家にいただけだし、仕事が止まったのは去年からだし、出かけられない分むしろ出費は減った気もする。

何を書けばいいんだ。


先生にそのへんを聞いてみると、「ハードルは高くないから、適当に理由書いて出したほうがいいよ。」とあっさり言う。

絶対もらえるから!! という勢いだ。

本当だろうか。

フォームには「申請受理後にスタッフが電話して状況をヒアリングします」とあるが。。


クラスメイトはどうしたんだろう、と周りにいた何人かに聞いてみた。

全員ネイティブだ。

そしてネイティブの彼らは、当然のように、申請する気満々だった。


「え、けど、理由、何があるの?」

「そんなの何でもいいのよ!子供たちが家にいるから食費が増えたとか、家にいるから暖房費が嵩んだとか、ネットを使って通信料が高くなったとか、、私はいろいろ書いたわ!」


・・そうなんすね。

わからなくもないけど、ツッコミどころ満載な気がする。。


他のクラスメイトの答えも似たりよったりで、

なかには、家にいると余計に食べ過ぎちゃうとか、コーヒーを飲みすぎてコーヒー代がかさむとか、座ってばかりで腰が痛くなったとか、いつも使わない机を壊してしまったとか、、

さすがですねみなさん。。。

それで自信満々になれるその強いハートがうらやましい。


しかし、こうなってくると、自分もその辺でチャレンジするしかない。

みんなの意見も一理あるような気がしてきた。


**

僕もいろいろな理由をこじつけて申請書を埋めた。

理由は無理にひねり出した。

スーパーの食料品の価格が高騰したとか、学校の保健室が閉まったから有料の医者にかかったとか、教材をプリントしなきゃいけないから紙やインクが切れたとか、暖房代とか、、

がんばってひねり出せば多少は出てくる。


で、申請フォームの最後に、「この申告に嘘・偽りはありません」と言うチェック欄があった。


もちろん嘘は書いてない。

けど正直な日本人の僕としては、なんともむずがゆい。だってこじつけだし。


しかしここはニュージーランド。

後に入れば郷に従え。周り倣って、日本人の殻を破ろう。


えいっ!

と申請ボタンを押した。


**


申請したものの、しばらく何も起きなかった。

クラスメイトの話では、申請した日の夜には、スタッフから電話がかかってきたという。


けれど翌日も翌々日も、僕の電話は一向に鳴らない。

少しはドキドキして待ってるのに。

あまり正当性を感じてないから、頭ぼーっとしているときだと戦えない。てか、そのうち何を書いたかも忘れてちゃうよ。


そして3日目、遂に1通のEメールが届いた。

そこには、ただ

「銀行口座のWeb画面をキャプチャーして送ってください」

と。


てことは。。

あっさり申請承認? (/・ω・)/


この雑さ、さすがというか、、そう、これがニュージーランド。

なんだかんだみんなの言ってたことが正しかった。

ありがとう先生。ありがとうクラスメイト。ありがとうニュージーランド。

いくら振り込まれるのかはまだわからない。


**

結局、迷ったらネイティブに従うのが正解ってことなんだろう。

・・という結論にしようかと思った。


しかし、いや、やっぱりそれはだめだ。

ネイティブの適当さには何度も振り回されて痛い目にあってきたじゃないか。油断するな。

だから、どう締めていいかわからないまま、いまここにいるが、

いずれにしろ、

僕がこれでまた一歩、その適当なネイティブに近づいたのは間違いない。

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