
CTB* 2 なんでもヒントにする
* CTB は、Creative Thinking Box の省略形です。
「なんでもヒントにする」これは、インプットの時もアウトプットの時も必ずしている、オープンマインド・メタ認知の小さな習慣です。
例えば、日清食品創業者の安藤百福の業績の一つに、「特許を開放して同業他社の発展に貢献した」というものがあります。技術畑の発見とその製品化は収益に直結していることを考えると、それをオープンソースにするという発想は、自滅の意味も孕んでくるのです。安藤の心意気をしめす素晴らしい例だと思います。
これを聴いた時、私の中でリンクしたエピソードを書きます。
音楽の分野でも楽譜のオープンソース化が進んでいます。勿論、近年の楽曲に関しては著作権があるのでそれなりに年月を経なければいけませんが、私のように中世からバロック期の音楽を主に演奏するものにとっては、現代譜になっていない、言ってみれば、お宝楽譜が世界各国の歴史図書館に保管されており、それを閲覧する、複写する、楽曲分析することは、学びには欠かせません。
時間もコストもかかるこの音楽史料をオープンソース化することは、世界中の音楽関係者の望むところだと思います。
留学当初、マスタークラスに参加するために別の都市に行くとき、決まって演奏家仲間の所に泊まらせてもらいました。ホテルに泊まるお金があったら、楽器を買いたい、楽譜を買いたいと思っていたのです。そんな時の手土産は、決まってボローニャの音楽図書館で見つけた楽譜のコピーや、自分が持っている楽譜のコピーでした。同じように、私がお宿をする時も、みんなは、楽譜を持ってきてくれました。アクセスだけでなく労力の必要なことだからこそ、仲間同士支え合えていたのです。
真剣勝負だからこそ分かち合える「お互い様」の心意気、どの時代になっても、どんな状況下にあっても失いたくないですね。