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2024年アメリカ大統領選挙とテレビゲームに関する雑談とか


 2024年11月7日。トランプさんが次期アメリカ大統領になることが決定しました。

 いきなり為替相場が動いて、円安へと傾きました。困ったものだなぁ。

 わたしは一介のゲームライターで、国際情勢のことはまったくの専門外ですが、なぜこうして政治のことを書いているかといいますと、誰が大統領になるかによって、こうして為替レートが変動しちゃうからです。

 為替レートが変動すると、日本でのゲーム関連商品の価格に大きく影響します。ゲームというのは全世界向けグローバル商品なので、全世界での価格は「ほぼ同じ」にしないといけません。アメリカでの販売価格が500ドルのゲーム機は、為替レートが1ドル100円なら日本での販売価格は5万円になるけど、1ドル150円だと7万5千円にしないといけないのです。

 そしていま、Nintendo Switchの後継機が、2025年3月までに発売される予定であることは公式にアナウンス済みなわけですよ。

 このゲーム機の日本での販売価格がいくらに設定されるかは、この冬の為替レートによって変化します。瞬間的でもいいから、いったん「円高ドル安」になってくれれば、より安価に発売される可能性が出てきて、日本のゲームユーザーにとってはありがたいんですよ。(まあ、そんなシンプルな話でもないんだけどね)

 さて。トランプさんが大統領になって、今後の為替レートはどうなるのか? アメリカのインフレ抑制のためにドル高に誘導するのか、それても自国産業の利益のためにドル安に誘導するのか? 個人的には、そこに興味津々でございます。




 ――という話が、今回伝えたかったことのすべてなのですが、これでコラムを閉じてしまうと、わざわざこのページを訪れてくれた方に申し訳ないので、ここからは雑談っぽいことを書きます。

 テーマは「大統領選挙とテレビゲーム」です。

 今回の大統領選挙は、一介のゲームライターとしては、あまり面白いものではありませんでした。

 アメリカ大統領選挙では、候補者たちがとてつもないお金をかけた大キャンペーンを行います。あらゆるメディアを駆使して、さまざまな広告展開を実行します。

 なので、いつもは、そこにテレビゲームが関わってくるのです。

 いまのアメリカは、人口の60%以上がゲームに親しんでいる「ゲームプレイヤー」ですからね。自身の支持を広めるため、ゲームプレイヤーの興味を引くようなキャンペーンをするのは、きわめて理にかなっているんですよ。

 わたしが記憶している限りでは、その先陣を切ったのはオバマさんでした。たしか2008年の大統領選挙で、オンラインゲームの中に、大統領選挙の広告を打ってます。「現実世界ではなく、ゲームの世界の中に広告を打つのか!」と、当時けっこう話題になったものです。(もしかしたら2012年のときだったかも・・・間違ってたらゴメンね)

 いずれにせよ、こうすることで、ゲームカルチャーにも理解のある人物だよ! とアピールすることに成功。若手層を掘り起こし、みごと大統領になったわけですね。



 これ以降、ゲームを選挙に利用するのは、アメリカ民主党の伝統芸となりました。

 2016年の大統領選挙では、ヒラリーさんが演説会の告知をするとき、「次の会場は『ポケモンGO』のジムになっている場所よ」みたいなことを言っていたことがありました。大統領選挙の最中に、リリースされたばかりの『ポケモンGO』という単語が出てきて、ちょっと驚いたものです。

 2020年の大統領選挙では、バイデンさんが『あつまれ どうぶつの森』の島を作って、そこに人々を招待するというキャンペーンを打ってます。けっこう話題になったので、知っている人も多いかもしれません。わたしも、この島に訪れたことがあります。なかなか完成度が高くて、楽しい島でした。そのときのレポートは、商業原稿としても書きました。

 このときのゲーム画面の写真、わたしのPC内を探せば見つかるんだろうけど、ここに掲載するのはやめておきましょう。

 というのも、『あつまれ どうぶつの森』の使用法として、これはけっこうグレーゾーンです。日本語で書かれているゲーム規約では、ちゃんと政治利用の禁止が明記されています。同じことを日本の政治家がやったら、規約違反になります。

 ただ、当時の英語の規約では、政治利用の禁止は書かれていなかったんですよ(商業原稿を書くときに調べました)。なのでバイデンさんの島、規約には違反しておりません。

 とはいえ、バイデン陣営、これがグレーゾーンっぽいことは認識していたのでしょう。バイデン陣営の公式サイトを隅々まで探しても、どこにも『あつまれ どうぶつの森』にバイデンさん応援のための島があるよ! みたいなことは書かれていませんでした。

 つまり、あくまでも「バイデンさんを応援する島を、熱心な支持者が作っだけだよん」というスタンスだったんです。なのに、なぜかその島を訪れるためのアドレスが有名になり、メディアで話題になっちゃった――というタテマエになっていたと。

 バイデン陣営、そのあたりの機微が抜群にうまかった。どうやら、かなりゲームに詳しい人間が陣営の中にいたみたいです。




 ――といった具合に、アメリカ民主党は、テレビゲームを選挙戦に取り入れることが多かったのですが、2024年の大統領選挙では、そういうキャンペーンをほとんど見ることができませんでした。

 選挙戦の途中でバイデンさんが降板し、いきなりカマラ・ハリスさんが候補になっちゃったので、こういうキャンペーンを仕掛ける時間的余裕がなかったのかもしれません。ゲームカルチャーへの理解度が高いスタッフがいなかったのかもしれません。

 そして共和党は、もともとゲームを選挙に使用しないのが伝統。とりわけトランプさん、ぜんぜんゲームに詳しくない人なので(お年寄りだからね)、今回もまた、ほとんどゲームを利用したキャンペーンはしていなかったんです。

(そのかわり、トランプさん、ポッドキャストなどへの出演には積極的だったようで、いろいろと従来型メディアに頼らない選挙キャンペーンをやっており、これが若者層の掘り起こしに成功したとの分析があるようです。従来型メディアに頼ってしまったハリスさん、ここで後手を踏んでしまったのかもしれません)




 いずれにせよ、一介のゲームライターとしては、今回のアメリカ大統領選挙は、自分が持つゲーム知識とか、経験とか、そういったものを活かせる機会がなくて、あまり面白いものではなかったわけです。

 ゲームに関わるキャンペーンをしてくれれば、わたしにはそれに関する商業原稿の依頼が来るし、ちょっとした小銭を稼げてハッピーになれるんだけどね(笑)。

 なので、次回(2028年)の大統領選挙では、いろんな候補者がゲームを政治キャンペーンに使ってほしいなぁと、個人的には期待しております。「大統領候補がVチューバ―になってバーチャル空間に登場し、そこで大演説会をする」みたいなこと、ぜひやっていただきたいなぁと。




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