今日は暑くなるんだって 2019.8/31
僕がベースを務めるバンド、THE RIBのあの夏の日という曲。
あの曲を聴くと、必ずと言っていいほど思い浮かぶ景色がある。
恐らく自分が5歳くらいの時の記憶だ。
あれはきっと名古屋だったと思う。
幼稚園児の頃の僕は、親の仕事の都合で頻繁に名古屋へ通っていた。
名古屋で過ごした記憶は、総じて断片的ではあるが、幼少期の記憶にしては鮮明な物が多い。
胃腸の病気にかかり、病院の待合いで吐きまくった地獄のような記憶もちゃんと残っている。
あと、異様にゲームセンターを恐れていた事も。
ただ、今回記述する記憶に関しては、少し曖昧だ。
というかそもそも、思い浮かぶのはワンシーンのみなのだ。
現像出来ない写真のような。
前後の記憶は何も無い。
平成初期の空気感。
スーパーかなんかの建物の裏側。
真っ白なシャッターの目の前。
周りの壁も真っ白だった。
5歳くらいの自分。を、俯瞰で見ている自分。
でも確か、あの日も暑かったような気がする。
それなりに。
今より過ごしやすい夏だったけどね。
蜃気楼のようなものだったのかもしれない。
幻というより蜃気楼。
曲に関して言及はしない。
ただそのワンシーンが、「あの夏の日」として鮮明に浮かぶ。
夏
1か月前の昼間
洗濯物を干しながら、湿り気を含んだあの独特の匂いを感じて、ああ、夏が来たんだ、と思った。
細胞一つ一つに突き刺さる陽射しが痛い。
首謀者である太陽の反対側で、雷鳴が轟いていた。
期待と不安が入り混じる。
無意識に肩に力が入った。
混沌だ
僕の中の夏は、いつでも混沌としている。
あの向日葵畑も、クソみたいな猛暑も、毎年やって来る台風も、それとは別のゲリラ豪雨も、今年の長い梅雨も、窓に激突するカナブンも、今まで知らなかった道路も、ラーメン屋も、ホテルの廃墟も、花火大会も、輪ゴムが混入していた屋台の焼きそばも
総てが形容し難い混沌の中に存在している気がする
でもそれが良かったりする。
台風もたまったもんじゃないだろうな。毎年毎年変な名前つけられて。
それにしても、夏の魔力はすごい。
「あれ?こんな事経験してなくね?」みたいな、明らかにこれ他人の記憶だろみたいな、元々存在しない記憶まで蘇りそうになる。
それは蘇るとは言わないが。
そう。
1か月前の昼間、洗濯物を干しながら、ああ、夏が来たんだ、と思った。
そして、ああ、あの夏の日、と思った。
つまるところ、ただそれだけの話なのだが。
もう終わりそうだし。夏。
7月の蒸し暑い夕方にあの寂れたアーケード街を歩いた事も、きっといつか、あの夏の日として蘇るのだろう。
今までの人生の中で、一番長い季節を過ごしてる。
2019.8/31
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