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キキとウルスラに学ぶ、低空飛行。

双極性障害の人は、低め安定が理想とされているけれど、9ヶ月間、凪のような心を保って来て、正直ちょっとつまらないし、慣れない。
作りたい!っていう衝動や、行きたい見たい食べたい会いたい!っていう欲求に、フィルターがかかったような感じ。もっと自分の「〜したい!」を大事に受け取りたいのに。

そして、仕事以外の、絵が、漫画が、描けない。
私が描きたいのはコミックエッセイなのだが、以前のようにストーリーを作ろうとすると、今は脳がフリーズする。

そんな時、映画『魔女の宅急便』の台詞を自ら書き起こしたメモを読み返す。画家のウルスラと魔女のキキが、スランプの乗り越え方について語り合うシーン。

ウルスラ「魔法も絵も似てるんだね。わたしもよく描けなくなるよ」
キキ「ほんと?そういうときどうするの?」
ウルスラ「ダメだよ、こっち見ちゃ」
キキ「わたし、前は何も考えなくても飛べたの。でも、今はどうやって飛べたのか、分からなくなっちゃった」
ウルスラ「そういうときはジタバタするしかないよ。描いて、描いて、描きまくる!」
キキ「でも、やっぱり飛べなかったら?」
ウルスラ「描くのを止める。散歩したり、景色を見たり、昼寝したり、何もしない。そのうちに、急に描きたくなるんだよ」
キキ「なるかしら?!」
ウルスラ「なるさ。さ、ほら横向いて」
ウルスラ「あたしさ、キキくらいの時に絵描きになろうって決めたの。絵描くの楽しくってさ、寝るのが惜しいくらいだったんだよ。それがね、ある日全然描けなくなっちゃった」
キキ「……」
ウルスラ「描いても描いても気に入らないの。それまでの絵が誰かの真似だったんだって、分かったんだよ。何処かで見たことがあるってね。自分の絵を描かなきゃって」
キキ「苦しかった?」
ウルスラ「それは今も同じ!でもね、その後、少し、前より、絵を描くってことが、分かったみたい。魔法ってさ、呪文で飛ぶんじゃないんだね」
キキ「うん、血で飛ぶんだって」
ウルスラ「魔女の血か。いいね、わたしそういうの好きよ。魔女の血、絵描きの血、パン職人の血。神様か誰かがくれた力なんだよね。おかげで苦労もするけどさ」
キキ「わたし、魔法って何か、考えたこともなかった。修行なんて、古臭いしきたりだって思ってた。今日あなたが来てくれて、とても嬉しかったの。わたし一人じゃ、ただジタバタしてただけだったわ」
ウルスラ「ふふ、あのね、この絵、ほんとは消しちゃおうかって何度も思ったんだよ」
キキ「こんな素敵なのに?」
ウルスラ「今日キキに会ってさ、悩んでるキキの顔見たら、これだって、描けそうな気がして来たの」
キキ「いじわる!」
ウルスラ「ハハハ、だからあいこ。さあ、(灯を)消すよ」

そうか、私は今、飛べない箒に跨ってバタバタしている魔女なんだ。
低め安定って、魔法でコントロールされて安全に低空飛行する箒をイメージすればいい。

またヒントを貰った。
この映画のコピー「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」も好き。
さあ、消すよ。

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