2022年 気象大学校受験記①

気象大学校は実に魅力的な学校である。
学費無料。寮費無料。さらには月に15万円が支給され、将来は気象庁職員の道が約束されている・・・。

しかし一方で、その合格は狭き門である。昨年度の倍率は8.1倍に上る。さらにさかのぼると10倍を超える年まで存在する。受験資格は高卒か否かといった実に簡単なものである以上、多くの人が夢を掴みに(あるいは腕試しに)受験するのだ。

今回私は、そんな気象大学校の第1次試験を受験してきた。拙い文章で恐縮ではあるが、何か参考になれば幸いである。なおこれは2022年現在の内容であり、今後も同様であるかについては定かではない。各自人事院のHPにて確認してもらいたい。

試験の内容

まず試験の内容について書く。二日間で4種類の試験が課される。それは
学科試験(多肢選択式)
作文試験
基礎能力試験
学科試験(記述式)

である。以下、各試験について記す。

学科試験(多肢選択式)

いわゆるマーク式の試験である。数学、英語、物理の3科目があわせて39問出題される。海上保安大学校と共通の問題である。
難易度は旧センター試験かそれ以下の基本的、標準的なものが多い。解答時間は180分と長く、時間切れになる可能性は低い。
おそらく一番気楽な試験である。その分、油断は禁物ではあるが。

作文試験

問題にはお題のみ記されており、字数制限は記されていない。
解答時間は50分である。
解答用紙は横書きで25×24の600字である。なお、字数が600字を超える場合、用紙の裏面に、穴の空いているほうを下にして書くことになる。このことは説明を受ける際、丁寧に指示される。
難易度はよく分からないが、年によって自由度が変わる。

基礎能力試験

この試験は、公務員としての能力が試されるマーク試験である。そのため、普段、理系高校生が受験勉強に励むうえでは勉強していないようなことも問われる。
解答時間は90分で、先述のマーク式の学科試験に比べると厳しめである。合計40問あるが、後半は知識問題となっており、そちらから解くことを推奨する。

学科試験(記述式)

記述試験である。気象大学校独自の問題であり、科目は数学、物理、英語の3つ。それぞれ大問3つで構成される。
解答時間はそれぞれ80分であり、難易度は国公立の上位レベルだろうか。(具体的な大学はよく分からないが…)

数学は図形と方程式、漸化式、ベクトル、数Ⅲの微積分が頻出である。完答は厳しい。特に最後の小問は難度が高いが、小問による誘導が丁寧であるため、途中まで確実に取ろうとする意識が重要である。

物理は力学、熱力学、電磁気学が頻出である。気象や地球の万有引力を題材とした問題も過去出題されている。数値計算ばかりの大問が出ていることがある。小問が多く時間がかかるため、完答にこだわるべきではない。

英語は、第3問は和文英訳で固定されている。第1問は英語、第2問は日本語で解答する。
だがこの2問は傾向が掴みがたい。
第1問は、2018,19年に科学用語の説明を英文で補充する問題、それ以降は長文の内容を説明するものが出ている。
第2問は長文読解であることには変わりないが、過去には和訳、説明問題、要約問題と幅広く出ている。
長文の内容は、人文系と自然科学系がそれぞれ出ることが多い。

事前の対策

次に、私が事前に行った対策について書く。

それはずばり「赤本」である。しかし気象大学校の赤本は2年分しかない。私は2023年度版21年度版を買い、計4年分を解くことにした。

他の国公立大学と違い、マーク式の学科試験(多肢選択式)や、公務員としての能力を試す基礎能力試験が課される。しかし赤本にはこれらの詳細な解説は一切なく、正答の番号が記されているのみであった。
特に基礎能力試験では「数的処理」という特有の分野も存在し、実際に解法がわからない問題もあった。公務員試験を目指す高校なら指導できる教員もいるだろうが、そうでない高校(私の高校もそう)であるとなかなか指導を受けるのも難しいだろう。

対策を始めたのは一週間前だった。ひとまず解いてみて、記述試験のほうは数学物理を中心に学校で解き直した。
解いてみて感じたことは「数的処理ヤバい」「数学の記述式ヤバい」ということばかりだった。とくに数学は、難易度によっては基準点すら確保できない可能性もあった。基準点とは各科目に設定されている最低ラインで、これを1科目でも下回ると他科目の得点によらず不合格となる。
そこで数学に関しては、別途学校で使用している「スタンダード」を使い、頻出分野である図形と方程式、漸化式を演習した。

また基礎能力試験では、一般教養が問われる。といっても高尚なものではなく、過去問を見る限り高校の「現代社会」「世界史A」「地理A」で対策可能なレベルであった。(ただ、私は地理Bを取っているため、実際の地理Aの範囲がわからない)
特に現代社会は6問程度出題される。しかし、1年次に履修したっきりだったため、眠っていた教科書を取り出し、暇なときに見返した。

概ね事前対策はこのくらいである。最後に試験本番で注意すべき点を挙げる。

試験本番で注意すべき点

筆記用具について

基本的に机上に出しておけるものは、鉛筆、シャーペン、消しゴム、鉛筆削りであると指示された。
マークして解答する学科試験(多肢選択式)と基礎能力試験では原則HBの鉛筆を使用することとなっている。計算等にシャーペンを使ってよいかどうかについて、結局私は質問しなかったため不明である。申し訳ない。
他の試験ではシャーペンも使用できる。鉛筆だけは必ず忘れてはいけない。

トイレ休憩、水分補給について

基本的に各試験の合間に行うことができるが、記述式の数学、物理、英語の合間には行えない。また、試験中について試験開始後30分間と終了前5分間はいずれも行えない。私は実際、記述式の間ずっと休憩することなく受け続けたが、終了後どっと疲労が押し寄せ、帰宅までかなり辛かった。英語の時間にトイレに行く人が多くいた印象をうけた。くれぐれも無理せず、いざとなったら試験官に申し出てほしい。(注:私が受験した会場では以上のようであった。しかし、これが全ての会場に当てはまるかどうかは不明である。)

今回は導入として試験の内容、事前の対策や注意点について書いた。次回からは実際に試験当日の流れを具体的に書いていくこととする。
ここまで読んでくださり誠にありがとうございました。

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