見出し画像

猿でもわかるデジタルマーケティング

デジタルマーケティングが重要と言われるようになってきてから、かなりの年数が経過している。世の中にいったいどれほどデジタルマーケティングが浸透しているであろうか。デジタルマーケティングのプロであり、新規事業やマーケティング分野のDXコンサルタントとして活躍する井上裕介(KOBUSHI MARKETING Founder)が、猿でもわかるようにデジタルマーケティングを解説していく。

デジタルマーケティングとは?

デジタルマーケティングという言葉が使われはじめて、もう20年になる。その間、デジタルマーケティングの重要性は言われ続けてきたが、このデジタルマーケティングとは一体どのようなものなのか、まだ正しく理解されていない。

似たような言葉に、Webマーケティング戦略があり、よく混同されて使われる。デジタルマーケティングを行う意味や大切なことはなんなのか、デジタルマーケティングが経営にとってどれほど大切なことなのか、という視点やデジタルマーケティングの未来についても解説していく。そして、デジタルマーケティングを学ぶことの意味も話していこう。

デジタルマーケティングとWebマーケティングは同じもの?!

現在、マーケットを制するために必要な手法として、Webマーケティングがある。デジタルマーケティングとWebマーケティングは同義なのだろうか。Webマーケティングは、ときにして、デジタルマーケティングと同義として捉えている方も多いが、実際には同じ手法のことを指しているわけではない。

Webマーケティングというのは、デジタルマーケティングという広義概念における手段のひとつに過ぎない。Webマーケティングは、WebサイトやSNSなど、いわゆるメディアを使って顧客を獲得する、集客する手法ことである。SEO業務や広告運用などが代表的なキーワードだろう。 

デジタルマーケティングはもっと広義で、「デジタル」と「マーケティング」をかけ合わせた言葉である。「マーケティング」は宣伝や集客、広告手法や市場規模を考えることであり経営戦略そのもの、との考え方もある。このマーケティングには、色々な手法やカテゴリが含まれ、市場調査や商品開発におけるプロダクトマーケティングなども含まれる。

「デジタル」はデータを収集し分析をすることで、デジタルメディアを使用したからデジタルマーケティング、ということではない。データはログが残るので、分析することが可能である。要するに、「デジタルマーケティング」とは、データから分析されたことを元に、事業推進をしていくプロセス全体のことをデジタルマーケティングと私は捉えている。

デジタルマーケティングの事例を挙げるとすると例えば、店舗のオペレーションを考えた場合に、エアレジなどの導入によって、どの顧客が何を購入したのかをデータ化することができる。データで可視化することによって、顧客の傾向をデータ抽出して分析し、売上げアップに繋げていく、これがいわゆるデジタルマーケティングのひとつであるが、あまり日本ではこのような文脈でデジタルマーケティングという言葉は使われない。

つまりWebマーケティングは、デジタルマーケティングの中の手法のひとつであって優劣をつけるものではない。デジタルマーケティングを考える場合には、Webマーケティングで扱われるメディア広告領域だけでなく、データを活用する方法や営業スキル、経営能力など、総合的な判断を求められることになる。

デジタルマーケティングで大切なこと

デジタルマーケティングは、前述したマーケティングの概念を理解しておかないとできない仕事である。データは無闇矢鱈に情報収集しても、活用の仕方、データの活かし方を知らず、顧客のニーズを含めたマーケティングの概念が欠落していると、せっかく集めたデータも宝の持ち腐れになる。

データを収集する前に、そのデータをどのように利用するかを理解しておかなければならない。そうでなければ、データというゴミを収集しているだけになる。

収集するデータをしっかりと利用するためには、事業推進の中で経営目線、つまりビジネスモデルやビジネスプロセスをしっかりと理解している必要がある。

ビジネスモデルやビジネスプロセスを把握した上で、データを収集し分析をしてデータ戦略を練らなければらないにもかかわらず、実際のビジネスで、これが実践できているケースは実は驚くほど少ないのが現状である。

デジタルマーケティングの議論をしているつもりが、実はWebマーケティングの施策部分、各論から入ってしまうことで、ビジネスプロセスの中のデータの活かし方の本質的な議論を見失い、施策の可否だけに走ってしまうパターンも多い。

その場合、データ戦略が欠落してしまうため、正しいデータ戦略に基づく経営判断をすることができない。そうすると、事業推進の原動力としては弱いものになりかねない。

要するに、Webマーケティングやデジタルマーケティングを本質的に理解し、活用する上で大切なことは、経営目線ということになる。経営まではいかなくとも、せめて事業推進のための知識や経験、実力がないと難しいということになる。

デジタルマーケティングを事業に取り入れる意味

具体的に実際のビジネスシーンで、デジタルマーケティングを取り入れていく意味についてお話しをしていこう。

デジタルマーケティングを取り入れることで事業のコストを下げることができる。わかりやすく、かつ原始的な例を挙げよう。今まで顧客へのお知らせをハガキで送っていた場合、1顧客に63円で1万通送った場合のコストは63万円となる。これをデジタルで最もポピュラーなツールであるメールスタンドに置き換えた場合、数千円までコストを下げることができる。

また、実際にかかった費用だけではなく、ハガキを送った場合と送信ボタン一発でメールを送った場合の到達スピードの速さ、レスが簡単に返せることで顧客とのコミュニケーションハードルを下げられることを考えると、時間のロスや機会損失の低減という観点でも優位性がある。

一方、ハガキを送るというアナログなマーケティング手法が、デジタルが普及した現在ではオワコンなのかというと、実はそうとも言い切れなかったりする。メールを閲覧せず、ハガキのようなアナログメディアにしか接触しない顧客層はある一定必ず存在する。費用が低い手法はマーケティングを実施する側にとってもハードルが低いので積極的に使われるので、たくさんの宣伝メールでメールボックスが埋もれてしまった経験がある人も少なくないだろう。実はハガキによるDMでリーチできるユーザーがブルーオーシャンであることもよくある。費用対効果を計測すれば、ハガキのコストを払ってでも回収できるというデータが出ることもある。

デジタルの媒体が気軽にDL出来るようになった現在でも、未だに雑誌が発売されているのは、一定数アナログ媒体を利用する人もいると言う証拠でもある。

ここで挙げたように、DMをメールにするのか、ハガキにするのか、もしくは両方実施するのかという意思決定をするのにも実は、経営目線がとても大切なファクターになる。コストと回収、ユーザー属性、自分たちのビジネスモデルにはどちらが向いているのかを、データを元に総合的に判断することがデジタルマーケティング導入への第一歩である。

デジタルマーケティングは経営者にこそ必要

自称デジタルマーケターの中には、デジタルでデータを収集して分析まではできるが、そのデータをどのように事業推進に利用するかの知見が欠如している人が多く存在する。事業を成功に導くためには、いかに優秀で本物のデジタルマーケターに出会えるのかが勝負と言えそうだが、実は採用する側が正しく人材を見極めるのが至難の技であったりする。 

そういう観点で、経営者がデジタルマーケティングのすべてを理解する必要はないが、ある程度の概念や手法については理解しておく必要がある。丸投げをしてしまい、狙っていた効果が出ない状況に陥った場合、改善策を考えることすらできなくなる。

外注や採用したデジタルマーケターが、その会社のビジネスすべてを把握しているわけではない。会社のすべてを把握しているべき経営者が、デジタルマーケティングの手法をある程度理解していることで、どこに注力するかを意思決定することが出来る。プロジェクトが成功するかどうかのかなり重要なポイントになる。

デジタルマーケティングの今後

DX(デジタルトランスフォーメーション/Digital Transformation)によって市場が変革している。DXは、データとデジタル技術を活用して、今までのビジネスモデルに変革をもたらすものである。

DXを活用することによって、ライバルよりも早く、より遠くへと事業を推進することができる。経済産業省も2018年にDX推進ガイドラインを策定していることもあり、今は流れが来ている時期でもある。

デジタルマーケティングの予算は伸び続けている。最新のメディアやマーケティング手法についても必ず注目をしておくべきである。一方で、主流であるデジタル広告やソーシャルメディアは、昔からメディアの種類は変わり続けているものの、マネジメント手法や考え方ははそれほど変わってはいないという側面もある。

EC市場も、Amazonをはじめ伸び続けている。成長市場という点で注目をしておく必要がある。データ活用という点でも、まだまだ成長機会は多そうだ。

データを収集した後の、データの加工方法が形式化されていないこともあり、データの加工コストや分析コストがまだ下がってない。今後は、この領域にもAIが導入されてコストが下がってくることで、デジタルマーケティングの分野はこれからまだまだ伸びしろのある業界である。

IT業界全体として、少なくとも20年先までは伸び続けていくであろうと予測している。デジタルマーケティングの分野は先進的な概念であるため、ますます成長していくことは間違いないだろう。 

デジタルマーケティングの分野をキャリアを築ければ未来に渡り、かなり稼げる人材になれるだろう。この記事を読んでいるあなたは、メディアや広告の手法だけでなく、経営ビジネスモデルに関する知識も身につけ、能力を磨くことをおすすめする。

デジタルマーケティングで未来を築こう

今回は、第一回目ということで、デジタルマーケティングの概念や手法、必要性などについてお話しをしてきた。

デジタルマーケティングの分野は、今後、10年、20年と伸びしろのある分野である。このデジタルマーケティングの分野を極めれば、引く手あまたであることは間違いないだろう。

デジタルマーケティングの概念や手法などは、経営者や事業責任者ほど理解しておくべきである。今後、デジタルマーケティングを利用しての事業推進に必ず役立つはずである。

今後もデジタルマーケティングのツールであったり、戦略、資格や勉強法、さらには、デジタルマーケティングの就職などについてもお話しできたらと思う。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?