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[2]自分だけができることを模索し、身につける

美術の世界というのは、実力本位の世界です。「他の人にできないことが、自分にはできる」ということが最大の価値を持つ世界です。

一般大学の場合、「寄らば大樹の陰」とばかりに、ほとんどの人が同じようなことを学び、同じようなスキルを身につけることを目的とした教育がなされます。それに対して、美術大学では、「その人だけができることを模索し、身につける」ことを目的とした教育がなされるのです。

私は、現代社会を、「コンピューターが普及したことにより、極端に均質化した社会」だととらえています。

多くの人間がFacebookやGmailを使っているように、人それぞれの個性が見えにくくなっています。例えばFacebookを使っていても、Facebookのサービスの範囲内でしか個性が生まれないのですから。ページのデザインを変えたところで、他の誰かが、同じようなデザインを使っているのが、現実です。

このことから、私は美術大学の「その人にしかできないことを模索し、身につける」という教育方針が、均質化された現代社会の中では「希少価値」を生み出す可能性を秘めていると考えています。

だからこそ、私は現在も(たぶん将来も)美大受験の世界で、「その人だけができることを模索し、身につける」ことを目指そうとする受験生を指導することを生業としているのです。

このまま美大受験を第一志望として続けるのであれば、是非、実技力を高め、「自分だけができることを模索し、身につける」その糸口を受験生のうちに見い出してもらいたいと思います。

それを見いだすことができたのであれば、特別入試のような面接が主体となる入試形式ではとても有利になってくるでしょう。



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