楽しいことをして生きるのは本当に悪いのか？

楽しいことだけして生きていたい。
できれば死ぬまで、なんの不安もなく。

＊　＊　＊

絵本の中でキリギリスは、計画性のないどうしよーもないヤツというような扱いを受けている。
先を案じて、せっせと働いたアリはえらい。そういう位置づけ。

小さいころは
「コツコツはたらくのはえらいことなんだな。キリギリスみたいになっちゃダメなんだ」
と思っていた。
我ながら、素直ないいこだなー。
しかし、今になってその気持ちに少し変化が出てきた。

＊　＊　＊

"働かざるもの食うべからず"

それはもうその通り。
自分の食い扶持くらい自分でどうにかしたい。
問題はそのやり方。
やりたくない仕事をやり、体調面・精神面ともにボロボロになったとしたら、生きることに支障が出る。生きるために働いているのに、これでは本末転倒だ。

しかも“アリさんえらーい”マインドを植えつけられているせいで、
本当にしんどく、とても働ける状態じゃなくても
「人様にご迷惑をかけるわけにはいかない」とより頑張ったりしてしまう。
まってまって、一呼吸ついてみて。
なんでも悪化すると治すのが大変だよ。 

＊　＊　＊

 キリギリスのよろしくなかった点は、
楽しいことをやり続けたところではなく、
それを活かせなかったところではないかと思う。

代表アリに

「わたくしキリギリスです！
アリさんたちがいつも頑張っておられるお姿を拝見し、感服しております。
お仕事ぶりを拝見し、僭越ながら御社に足りないのは息抜きのお時間かとお見受けしました。
といっても現在の業務量ですと、
リフレッシュ休暇の取得等は難しいと存じます。
そこで！弊社のBGMサービスをご提案致します！
業務中にBGMを流すことで、心を穏やかにし、疲れを癒す効果が期待できます。それにより、作業効率のUPも期待できます。
得しかないです！
今契約いただいたら、通常有料オプションである、リクエスト対応無料キャンペーンつき！
これはチャンス！」

などと営業をかけ、
サービス利用料として冬の分の食べ物をいただく形にする。
そうすればアリは作業中の癒しを得られるし、キリギリスは自分が得意で楽しんでいることで報酬を得られるし、みんなハッピー。

＊　＊　＊

働くにしても学ぶにしても、続けることは素晴らしいこと。
でもそれは
「したい」の気持ちがあってこそ。
もしも「したくない」の方が大きいなら、一度見つめなおした方がいい。
そして「したい」を見つけたなら、
それをどう活かすかを考えると、より楽しくいられるかもしれない。

楽しむことを続けるのもすばらしいこと。
でもそれはある程度の責任感をもってこそ。
絶対まわりに迷惑をかけちゃいけない！というつもりもないけど
自分の言動でまわりに負担をかけたりする権利もないんだぞ。

＊　＊　＊

こんなことを思ったのは、ノビ夫が

「光る大きい球が急に現れたら面白くない？」

という突拍子もないことを言い出したからだ。
彼はいつも自分が楽しむことを一番優先している。

①　収入を得たい
②　①のために周りにウケそうな楽しそうなことを考える

という順番ではなく、

①　楽しいことを考える
②　自分が楽しめたらもういいけど、①が売り物になるなら売ってみるか

という感じ。
そんなんでうまくいくはずがない！と思われるかもしれないが、楽しいことで自分を満たしている人って引きつける力が半端ない。
引きつけるのは人だったり、縁だったりするのだけど、楽しいから恐れることなくあれこれ飛び込んでいって、それがいい作用をもたらしているのではないかと考えている。
その証拠に、ノビ夫は自分が楽しいことを共に楽しんで収益化してくれる人たちとの縁をしっかり見つけてくるのだ。

さて、なぞの光る球はどんな風になっていくのだろう。
ただの道楽キリギリスだと思われないよう、
「今日はこの作業をした！」
と自分の仕事っぷりも声高に報告しつつ、私は今日もノビ夫を見守っている。

お読みいただきありがとうございました！
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