平穏なお昼どきを壊す、白い彼。
「控えめに言って最高です!」
ネットニュースアプリでよく見かけるこの文言をこんなに身に染みて
「今こそ使うべき時!」と思ったことはない。
こちらの記事を読んだ時のこと。
ツグコフさんの文章は読みやすいだけでなく、言葉の選び方や目配りの細やかさがとても素敵。しかも、ところどころに笑いをぶっこんでくる。
この記事で私も「スニフひどすぎ!」と大笑いしながらつっこませてもらった。
* * *
ムーミンって、結構わたしたちの生活のそこここに在るよね。
なんでか家にグッズがちらほらあるし、
「IKEAってどこの国のメーカーだっけ?」
「ノルウェーじゃなかった?」
「そうかも!ムーミンの国だね!」
という日常会話が交わされたりする。
(ちなみにIKEAはスウェーデンで、ムーミンはフィンランド説が濃厚ということ。奇跡的なすれ違いの不正解っぷりだ)
そんな中で私にとって忘れられないムーミンエピソードがうまれたのは、現在の職場でのできごと。
***
入職時から仲良くしてくれた、大好きな先輩がいる。
仕事ができて、優しくて、面白くて、おまけに美人。
そんな風だから頼りにされていたし、性別問わずみんな彼女のことが好きだ。
男性スタッフで一名、本気で先輩のことを好きな方がおり、その事実は周知のこととしてみんなから見守られていた。
職場恋愛禁止ではないので特に見とがめられることもなく、彼はどんどん大胆になってゆく。
特筆すべきは、アプローチ方法が独特なことである。
* * *
”いったい何のシールなんだろう?”
共有物に見なれないものがあるので目をこらすと、貼られていたのはニョロニョロのシールであった。
誰が貼ったのか確認できないまま、その場は忘れ去っていた。
するとまた別の日、キャビネットに紙でできた手作り感満載のニョロニョロが貼り付けられている。
”ん、これはなんだ?”と思って手に取ると、ニョロニョロその1の背後から第2、第3のニョロニョロがゾロゾロ出てくるではないか。
どうも切り絵細工らしい。
いい加減気になってきたので
「これは一体なんでしょう?」と周りの人にたずねてみる。すると
「男性スタッフが先輩に贈ったやつ」
という返答があった。
"そうか、先輩はニョロニョロが好きなんだ"
と納得し、その場は終了。
その後もアプローチはつづき、ニョロニョロは順調に勢力を拡大していった。そして、忘れられない刺客ニョロニョロが満を持して登場する。
”キャラ弁ニョロニョロ”である。
* * *
お弁当箱に入って登場したのでキャラ弁としているが、このニョロニョロはババロア的なものだったので、正確に言うとスイーツだ。
ここまで触れずに来たが、先輩はいつもアプローチをかるーくあしらっていた。未だかつて私はこんなに美しい”右から左”に出会ったことがない。
この時も例外ではなく、キャラ弁ニョロニョロは
「みなさまでお先にどうぞ」と書き添えられ、女性用スタッフルームに置かれてあった。
「なにこれ!」
「また先輩あてに例の贈り物みたいですよ」
「ほんとマメやなぁ」
みんなでひとしきり感想をのべ、せっかくなのでいただいてみようということになった。ニョロニョロに切り分けのためのナイフが入る。
ドロォォォ…!!
白いプルプルボディから溢れだす、赤い液体。
響き渡る、みんなの叫び声。
なんとキャラ弁ニョロニョロには、ストロベリーソースが仕込まれていたのだ。
普通のババロアなら最高の取り合わせだったろうに、ニョロニョロを模してしまったことによって現場は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。
* * *
のちほど休憩に入った先輩に
「ニョロニョロが腹部から出血して、かわいそうなことになっちゃいました」と報告する。
”好きなキャラクターの思わぬ厄災にさぞ胸を痛めるだろう…”
と思っていると
「そうなんやー。私ニョロニョロ好きちゃうから、別にいいねんけどな」
という驚きの発言が飛び出した。
え、好きじゃないの!?
じゃあなんでこんなにニョロニョロ攻めされてるの?
その答えは、
"先輩がすらっとして色白であるため
「ニョロニョロに似ている」
と例の男性が言い出し、そこからこういうアプローチがはじまった”
とのこと。
な に そ れ … ! !
世の中にはいろんな人がいるんだなぁ…とつくづく思わされる出来事だった。
* * *
ちなみに傷ついたおじょうさんに自分ならなんと声をかけるか問題だが、
私はたぶん自分の失敗談(ムダに豊富)を引っぱり出してきて、笑わせようとする気がする。なんの解決にもなってない…
ノビ夫はどういう言葉を選ぶのだろうか。あとで尋ねてみようっと。
例の男性スタッフにも聞いてみようかな…
どんな答えが返ってくるか、楽しみ半分怖さ半分である。
お読みいただきありがとうございました!
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