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朗読台本「金星の願い」(3分~)

使用上のルール
・一人称、語尾変OK
・使用の際には下にコメントを残していただき、使用先で「(台本のタイトル)」 と「作者まつかほ」を明記してください。この記事のURLも併記してくださると嬉しいです。
・使用場所のリンク等をコメント欄に貼ってくださると私も聞きに行けるので助かります!
・BGMはご自由につけていただいて構いませんが、BGM作者様がいる場合には許可を取ってからつけてください。
・読めない漢字はご自分でお調べください。


私はあなたを見つめている。見つめているだけ。それだけでもあなたのことがすっかりわかるくらい、私にはすべてがわかっている。

今日あなたがどんな1日を過ごしたか。
今日あなたがどれだけ頑張ったのか。
今日あなたがどんな夢を見たのか。

私はわかっている。でもあなたは私のことを知らない。私があなたに見つけてもらえるのは、太陽と月の狭間の時間だけ。
あなたの目は優しくて弱いから、それは仕方のないこと。その代わり、私はあなたの視線を独り占めできる。だから文句は言わないわ。だって目は心の窓って言うのでしょ?
そんな目のあなたが大好きだから、そのままでいてね。

あなたは最近苦しそうに眠っている。悪い夢をよく見るせいね。その悪夢はあなたを苦しめたくてやって来るのではなく、あなたを守るためにやって来ているのだと、いつか気づいてほしい。

もう二度と同じ苦しみを負わないように。
少しずつ苦しみを乗り越えていけるように。
同じ苦しみにもがく誰かを守れるように。

私はわかっている。でもあなたはいつも強がって笑っているから、あまり他の人にはわかってもらえない。
あなたの心は優しくて脆いから、それは仕方のないこと。その代わり、私はあなたの涙を知っている。だから怒ったりしないわ。だって人に涙を見せないのは、苦しみを本当の意味で知っているからでしょ?
そんな心のあなたが大好きだから、私はそっとあなたを見守っている。

私のことは、ほんの少ししか知らないあなた。
たまに私に気づいて、優しく私を見つめるあなた。
あなたなら悪夢を礎にして、きっと誰かを笑顔にできる。
傷ついて苦しんだあなたなら、誰よりも悪夢を味方にできる。

でもやっぱり、本当は寂しいの。私はあなたのそばに居るけれど、あなたは私のことを遠くに感じている。せめてあなたが私を見て微笑んでくれたら、どんなに幸せだろう。

いつかでいいから気づいてほしい。
あなたの美しい魂が私のところへ来るその日まで、私はあなたを見つめていること。
太陽と月の狭間の時間にしか会えなくても、私はあなたの光を見失わないということ。

この気持ちを人の言葉では、愛と言うのでしょ?


台本解説
金星は美と愛の女神ビーナスという名前の付いた惑星です。女神自身が美しいというのは勿論ですが、女神の下には本当の意味で美しいものが集まるのだとしたら、それはどんなものだろうかと思い巡らせてみました。

本当は苦しくてもそれを人に見せない強さも、苦しい時に苦しいと言える強さも、きっと金星の女神は愛してくれます。

あなたはこの台本をどんな風に読みますか?

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まつかほ(STORYマルシェ)
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