私の宝物
私にとっての『かがみの孤城』は一言で表すと「宝物」だ。語りたいことが本当にたくさんある。
まずはオオカミさまのことを話したい。私が1番大好きなキャラクターだ。「逃げるな!」とこころにタックルした時の尊大な口調や「…ピンチだったから」とアキを助けた時の気遣うような口調。どんなオオカミさまも私に寄り添ってくれた。彼女のおかげで奮起できたし、肩の力を抜けた。恐ろしく見える狼面で隠された彼女の顔はどんな表情を浮かべていたのだろう。読んでいる途中、ふと考えた。でも、ラストシーンを読んでその答えが決まる。楽しそうに笑っていたに違いない、と。そうわかった途端に涙が出そうになった。
今日はそんなオオカミさまにとっての、私たち読者にとっての特別な日。だから、私はどうしても今日投稿したかった。
私が感動したところをもう一つ挙げるとするならば、それは7人の人生が繋がった瞬間だ。こころが喜多嶋先生と出会う。リオンが雪見第五中に通い始める。マサムネにクリエイターの友達ができる。読んだ時、心に爽快な風が吹き、感動に包まれた。あの日を私は一生忘れない。
この本には響く言葉が至るところに散りばめられている。「闘わなくても、いいよ」のようにそっと頭を撫でてくれる言葉や、「頑張って、大人になって!」のように背中を強く押してくれる言葉がたくさんある。それらはまるで中学生である私に向けられているかのようだった。直接声を掛けられている気さえした。でも、私が気付いていないだけで大人たちに響く言葉も、もしかしたら多いのかもしれない。そうも思えるから不思議だ。大人になる楽しみが増えた。
そして何と言っても心を動かされるのは7人の絆と成長だ。最初はあんなにぎこちなかったのに、一年間かけてゆっくり友情を深めていく彼らには共感しかない。胸の内を打ち明け、時々ぶつかり合いながらも助け合う様子が愛おしかった。みんながだんだん孤城ではなくなっていくのが嬉しかった。
この本を中学一年生で手に取れて、私は本当に幸せ者だと思う。鏡の城の中で過ごせた時間は今でもキラキラと輝き続けている。あの子たちは10年後、20年後、どんな人生を送ったのだろう。城での記憶は失ってしまったけれど、それでも彼らには何かが残ったはずだ。私も背表紙を見る度に思い出す。大事な仲間たちの居場所を。
未来が無性に楽しみになるような、素敵すぎる一冊でした。辻村先生、ありがとうございました!!