庭が茂って、お隣さん。
あっという間に草が伸び放題になっている。
玄関から道路に出るまでの道をのびのびとした雑草が私の動きを阻んでくる。
その前を通るたびに抜かなければという気持ちを湧いていたのだが、その場の言い訳を自分に課して逃げてきた。
これから出掛けなければいけないから
夜遅くて見えないから
今日は暑いから
しかし、さすがに歩くところは抜かないと他人が遊びにきた時にみっともない。
昼間は無理なので早朝に草取りにしよう。
明日の日の出は5:13。
5:30に目覚ましをセットして寝た。
ちゃんと自分は起きるだろうか。
怠いなと思うと起きても諦めてしまう傾向があるので心配だ。
夜が明け、スマホが元気に鳴り出した。
どうにか起きることに成功し、服を着替えて日焼け止めをしっかり塗って外へ出た。
外はもう明るかったが暑くない。
やはり庭仕事は早朝に限る。
とりあえず今回は通り道を中心に草を取る。
家の前の溝にも草がコンクリートから雑草魂を燃やしていた。
近くで人間の気配を感じた。
通行人だろうか。
しかし人影はここから見えない。
少ししてまたガサゴソと人間の気配を感じた。
通行人で無ければ一体何をしているのだろう。
警戒しながら音がする方を見てみると、隣に住んでいるお婆さんだった。
挨拶回りのときに話したり、私が出かける時に庭に出ていると挨拶をしたりするお婆さんだった。
朝の挨拶をこちらからすると
「あ、お隣に入られた方?
そう、よろしくお願いします。」
とおっしゃった。
どうやら挨拶回りをした記憶はストンと抜け落ちているようで、今初めて話したといった感じで挨拶をしてくれた。
新しい情報はなかなか頭に定着してくれないものだ。
もちろん私もそう感じることがある。
気の良いお婆さんで、特に気にすることもなく再び草取りに戻った。
もしかしたらこの先こんな会話をずっとするのかもしれない。
これもまた田舎あるあるというか、醍醐味というか。
順調に草取りを終わらせて家に入った。