夜になると音がする。
ある日の夜10時ごろのことだ。
リビングにいる時に、ガサゴソ外で音がしているような気がした。
明らかに風の音ではなさそうだ。
リビングには大きな掃き出し窓があり、その先には庭が続いている。
誰かが庭を歩いているのだろうか。
人間だったら恐怖である。
空き巣にしてはリビングに電気が付いているのは外から確実に分かると思うので、それの可能性は低いかと思った。
空き巣でなければ強盗だ。
家の中に人が居ようが居まいがお構いなしの人種である。
強盗であれば交渉の余地はなく、ファーストコンタクトで撃退しなければ負けは確定だ。
しかし何も武器になるものが家にない。
由々しい状況だ。
といってもまだ強盗だと決まったわけではない。
なんなら人間かも分からない。
幽霊的なスピリチュアルの類のものであれば、その対象によって対処の仕方も違うかもしれない。
それこそどんな対策を講じても、こちらの常識が通じない以上考えるだけ無駄かもしれない。天災に近い存在だ。
どちらにしても外でガサゴソと音がしているのが不快であった。
大きな恐怖心はなかったので、窓の内側にある障子をガラッととても勢いよく開けてみた。
すると音はピタッと止んで、聞こえなくなる。
外は真っ暗で、スマホの光で見てみるが見える範囲はたかが知れていた。
ゆっくりと障子を閉じて様子見してみる。
その後音は聞こえなくなり、その日の攻防は決した。
次の日、また同じくらいの時間になるとガサゴソと同じように音がしている。
また来たのか。一体なんなんだ。
動物だろうか。
ノラネコや狸など田舎にはいろんな動物がその辺りをウロウロしているものだ。
そういえばこの家にはクモがたくさんいたな。
中にはデカいやつも。
このガソゴソという音、もしかしてクモではなかろうか。
外からしていると思っていたものはもしかしたら窓と障子の間を移動している音なのではと思い始めた。
今日はたまに羽音も聞こえる。
これは確実に外からで、おそらくカナブンくらいの大きさの虫が光によって来て、窓に当たっている音だと思われた。
昨日ガラッと勢いよく障子を開けて音が止んだのは、私の突発的な行動に驚いて逃げたのではないかとも考えられる。
人間である可能性が薄れてきて少し安心だ。
しかし今後の動向を見守っていく必要はある。
気合いを入れよう。