国家警察化学科、AEとは…?SF【北星紀】§4
第1部 『NEWTON』
第1章 壮途 (つづき)
ガウス 「皆さん、はじめまして。ガウスと言います。」
会場がざわめく。
「え、本物??」
「あの10年前のフーリエ事変処理した人だよね?」
新入科生たちの憧れの眼差し。
ガウス
「私は現在、化学科の中の一部署である港湾第一管区の主任を務めています。新しく化学科に入られた皆さんに、今から化学科について説明しようと思います。よく聞いていてくださいね」
大きなスクリーンにスライドが映し出される。
「先程フェルミ長官からお話があった通り、化学科は非常に歴史ある組織です。ただ業務内容は昔からほとんど変わらず、共和国市街に出没するAE、つまり有害事象を処理することです。」
「AEについて説明しましょう。伴星共和国の国土は、『あの』主星と異なり資源に乏しく不毛な土地がほとんどです。ですので、私たち伴星に住む人々は主星から輸入されてくる資源や作物に多分に依存しています。これらの物資は、主星から運搬される途中で、主星を覆う分厚い『憎き雲』を通過します。この際、詳しい理由は分かっていませんが物資の一部が稀に変化して、ある種の生命体のようになることがあります。これが市街地に現れ、共和国民に被害をもたらした時、我々は関連する被害を総称してAEと呼んでいます。」
「AEには階級があります。これは国民に対する影響の度合いに応じてG5級からG1級まで定められており、G5級は日常生活にある程度の支障をきたすレベルですが、G1級になると多数の死傷者を出します。君たちは今日以降、そのようなG1級と戦う可能性が十分あるのです。」
息を呑む音。
「科挙の受験科目として、化学、物理学、数学、法学、武術実技などがあったと思います。君たちはそれらの知識、技術を駆使してAEから一人でも多くの市民を守っていってくださいね。」
皆、不安そうに顔を見合わせる。
「もう少し具体的な話に移ります。今から一年間、皆さんは研修生として先輩化学官とともに行動し、指導を受けてもらいます。その後、化学官としての処理能力が認められれば晴れて正規の化学官として任務を遂行することができるようになります。また、……」
話は15分程度で終わった。
エドは、思った通り大変な仕事だ…と思った。
「自身ねぇな……」
この頃の彼には、親友マクスのような使命感は無かったかもしれない。
つづく
2024/12/27
注)
既に公開した内容を後から編集して再投稿する場合があります。
このとき、編集して書き換えた内容を逐一報告するのが良いのでしょうが、わざわざ書くと意味ありげに見えてしまうことや分量が増えてしまうことから、特に改訂内容の記録は行いません。
よろしくお願いします。
AE-0025の画像はChatGPTで作りました。