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サッカーと朝練と 痛みと納豆と

骨の中の内出血 「骨挫傷」 と診断された日のお話。


朝 ムスコが 庭先の道路で サッカーボールを蹴りながら 目印を ジグザグと スラロームしていた。 たまに やる 彼のルーティンだ。
朝練とは 言い難い。
週2か 3の 頻度だからだ。
まあ いいことだ。
やるだけ サッカーへの向上心があるという事だろう。
僕は分担された家事が 片付くと それを覗く。
それも 楽しみのひとつだ。


「びっこ ひいとる。」 (注釈: 山口弁 片足を引きずる)


その日 蚊取り線香のにおいが漂う 開け放しの玄関ドアから 外を 覗いてみると  片足を痛そ~うに 引きずって 歩いている ムスコが見えた。
(山口弁で それをビッコをひくと言う)

「どうしたん?」 僕が聞くと
「なんか ココが痛い」と 左膝の内側を抑えている。

8月にサッカーの試合で  ルーズボールを 追いかけて マイボールにした時
遅れて走ってきた相手選手が ボールのない所で 思いっきり右足を振りぬき 左膝に足の甲を お見舞いされたのだ。 ムスコは 一度浮かび上がって 崩れ落ちるように地面に横わたった。
一連のながれは なぜかスローモーションで 僕の目には映った。
蛇足だが「我が子 可愛さフィルター」からではなく 明らかに レッドカード案件だ。 
その時に 左膝の靭帯を痛めていたのだ。

 休日当番で 連れて行った A病院の 先生からは 2週間ほどで
「サッカーOK」の診断をもらっていたので  試合にも 何試合か 出ていた。
「再発?」嫌な感じが脳裏をかすめた。
ドリブル練習を 止めさせ。 学校へと車で 送り届けた。

帰宅後 学校で膝の調子はどうだったか 聞くと
痛みがあったのは 朝だけで 症状は体重が かかると痛むということらしい。
不安なので この近辺で スポーツ整形で有名なB病院で 診てもらうことにした。

個性のある 先生 のお話


着くと 待合には 人がまばらで 
「ラッキー空いているね」と ムスコと 話していたが……

丁寧に診てくれるので時間が かかる。 好意的な人は そう言う。
「好意的な」と書いたのには 理由があって このロマンスグレーの髪色になりかけた初老の男前先生は 好き嫌いが別れる先生なのだ。
なぜなら 患者を 叱るように語気強めで 話す。

何度か受診した際 耳を澄ませて 隣の診察室から聞こえる 別の患者さんの診断を聞いていると 診断結果と 日常でやってはいけないこと を伝えているだけなのだが  「語気強め」 なので 怒られている気分になる人も 少くないと聞く。 
ボクは 大好きだが。

 問診をうけ 看護師さんに ヒアリングをしてもらう。 会話のなかで看護師さんも その目線で 気になることを 丁寧にきいてくださる。そして レントゲン撮影 そこから また待ち……

いよいよ 先生に診てもらう順番となった。
秋口ともあり 辺りはすっかり 暗くなっていた。

骨挫傷 と診断されました


「Aは そう言うたん? 」 
経緯を説明すると そう叱るように 先生は 発した。
「アンタに言うても 仕方ないけど」 セルフ ツッコミまで 語気が強い。 これがクセになるのだ。

レントゲンを 拡大して 痛みのある辺りを くまなく 目を凝らしてみた後に ムスコに優しく問いながら  痛い箇所を 動かしたり触診したり 
「骨の中の 内出血だねぇ」 
「骨の中って 内出血するんですか?」
ムスコのレントゲンと 骨挫傷の事例のレントゲンを複数枚 さらに模型を使って丁寧に説明してくれた。
「骨の外は頑丈やけど 強い衝撃が加わって その衝撃が内部に加わって内出血が起こっとる。レントゲンのココね。 MRIで詳しく調べることもできるけどそこまでしなくても大丈夫。 怪我したのが約2か月前で 靭帯は大丈夫だが 時たま痛みが出る。 おそらく骨挫傷。
骨の中の内出血が治るのが 約2か月くらいかかる。 10月の第2週に痛かったら 詳しく検査しよう。納豆がいいとの説もあるから納豆たべさせて。 」

いくつかの質問とその答えをいただいて 診察は終わった。


また ムスコのサッカー見られる幸せ。


 帰りの車の中で ムスコは 診察次第では またサッカーができなくなる事が不安だったと漏らしていた。 ただ怪我は怪我なので 練習は良いけど 試合などの接触プレーは禁止された。 

今 第1週がおわったが 痛みは出ていないようだ。 安心。
昨日の夕方は 彼のたまにの ルーティン 
ジグザグドリブルを 暗くなるまでやっていた。
それを傍で見られる幸せ。 
あと何年見られるか。

納豆。 朝夕に ご飯に食べさせた甲斐があった。


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