読者の期待を裏切るのは恐い、という話
先日、コバルト【第213回短編小説大賞】の受賞作と最終選考に残った作品を拝読し、その選評も併せて読んでみた。総じて感じたのは、「読者の期待を裏切るのは恐いな」ということだった。
1.明かされない謎と「わからなかった」という選評
たとえば、某作品の選評には「わからなかった」という声が多かった。
たしかに作中でいろいろな謎が書かれているが、そのわりに最後まで読んでも真相はひとつも明らかにされていないように感じる。
「たぶんこういうことかな?」と仮説を立てることはできるが、ひとつ