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第230回オレンジ文庫短編新人賞反省会

まえがき

※トップ画像は、おつまみホワイトソースさんの作品をお借りしました。

 皆さん、こんにちは。天宮英璃です。

 以前記事で、第230回オレンジ文庫短編新人賞の結果を報告しましたが、残念ながら入選が叶いませんでした。その記事でも反省等を書いたのですが、今回はより細く分析するのと、執筆の書き方など再度見直していきたいと思います。



短編新人賞で気づいた事

 まず、短篇新人賞で受賞した作品は、オレンジ文庫の公式ホームページに掲載されるか、書籍化が約束されます。

 私が参加した第230回の結果が、こちらになります。

最新選考結果 - 集英社 オレンジ文庫 (shueisha.co.jp)

 私の作品は、あと一歩のところまで届きませんでした。なかなか受賞を貰うのって難しいですね。

 私が送った作品に関しては、短編新人賞の結果報告の記事で触れています。未公開の作品ですので、物語の詳しい展開などは教える事ができません。

 少し前置きが長くなりましたが、ここからは、短編新人賞の受賞作品を拝見させていただくなどして気づいた点を挙げていきます。


今回の受賞作は、全て一人称視点の物語

 第230回の受賞作品は、佳作が2作品、最終選考作品が4作品でした。ジャンルや物語の内容もそれぞれ異なりますが、全作品ある共通点があります。

 それは、一人称視点で描かれていると言う事です。

 一人称視点となると、主人公の心情が読者にダイレクトに伝わります。物語の展開を通じて、主人公の心境はどのように変わってくるのか。それで読者を楽しませながら、物語の世界に引き込ませると言うのが一人称の物語の魅力だと私は思います。

 ところで、なぜ全受賞作品が一人称視点の物語なのかと言うと、短編が関係しているのではないかと解釈します。

 オレンジ文庫の短編新人賞の文字数制限などは、400字詰め原稿用紙25~30枚分となっています。原稿用紙1枚分は1ページなので、最高で30ページ書ける訳です。400字詰め原稿用紙の30枚分の文字数は9,000文字。「9,000文字って多いでしょうか?少ないでしょうか?」私的には少ないと思います。何しろ、400字詰めの原稿用紙の2枚半で1,000文字。この1,000文字で、天の声のような存在の語り手による、主人公の名前や性別、職業などの基本的なステータスを綴りながら、主人公は今このような場面にいて、このような問題に直面していて、このような心境を抱いているなどを収めるのはかなり厳しいです。もちろん、上手く文章を纏められる人なら余裕かもしれませんが、私には難しいです。一人称視点の物語なら、主人公のステータスや心境などが伝わりやすく、読者を惹きつけやすいと考えています。

 また一人称視点で描かれていると、読者は、主人公と自分を重ねやすくなります。主人公視点を自分視点に置き換える事で、物語の場面に直面した時、主人公はこのような心境を抱いたけど、自分はこう思ったと違う感情を抱いたり、次はどのような展開が待ち受けているのだろうと、本の世界に入り浸りやすいです。三人称視点でも、登場人物に共感できますが、短編では登場人物の数が限られる上に、主人公に一番興味を持ってほしいと言う事で、主人公視点の小説が、読者に、主人公への興味を持たせる最適な方法ではないかと思います。

 そして、短編ではあまり多くの展開が描けません。例えば、ある日平凡なサラリーマンの主人公が正義のヒーローに選ばれ、共に戦う仲間を集めながら町を襲う怪人と戦い、胸の内を分かち合った友人が実は悪の組織の一員など、様々な展開を経て、最終的にラスボスを倒し、町に平和が訪れて、主人公は変身能力を残しながらも普通の生活に戻ると言う話を書くとします。多分、30ページには収めきれないし、無理矢理収めたとしても展開が多すぎて、読んでいくうちに頭が混乱してしまいます。そのため、非日常要素多めよりも、日常生活で起こり得るような物語にする事で、最高30枚と限られた分量の中で展開も最小限にできるのではないかと思います。ありふれた日常で起こる些細な出来事でも、主人公や周りの人物の心境によっては、面白い物語を書けると考えています。

 色々と書いていきましたが、文字数が限られている短編小説では、多くの展開が書けない分、主人公の様子が直接伝わる一人称視点が、審査員の目に留まって選考に進みやすいのではないかと分析しています。もちろん、過去に三人称視点の小説が選ばれた事がありますが、数としては圧倒的に一人称視点の小説が多いです。そのため、次回の応募作では一人称視点の物語を書く予定です。今、その作品のアイデアなど考えている段階で、登場人物の設定や物語の流れを纏めてから、物語を書き始めようと思います。



あとがき

 本文を最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

 短編新人賞のリベンジは、12月末頃締め切りの第233回か、来年の3月末頃締め切りの第234回かはまだ考え中です。また、他の出版社の小説新人賞の作品と並行しながら書くので、これから半年は執筆に力を注ぎたいと思います。noteの更新も、無理のない範囲で続ける予定です。

 今回はこれで以上です。また、次回の記事でお会いしましょう。


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