描写の改善例⑥ 心理描写と時間の緩急
今回はこちらの続きです。
さらに返信が届きました。
やはり飲み込みが早いですね。これなら読者の読み取る作品世界の解像度も、以前よりかなり高くなっているでしょう。少なくとも、「説明ばかりで描写らしい描写がない」という状態ではないはずです。
しかも描写として書きつつも、書きすぎていないのもいいですね。この場面が極めて重要、あるいは描写の魅力でぐいぐい引き込んでいきたいなら、もっと書いてもいいでしょう。実際視覚情報に偏っているので、もう少し他の五感情報もほしいところです。しかしそこまで重要度が高くないなら、長いほどダレるのでこれくらいがちょうどいいかもしれません。少なくとも重要度が低いのにマシマシパターンだと「やりすぎ」なレベルですね。
そしてこの文章、時間がちゃんと流れています。いいですね。高い解像度で時間を止めずに書けているのですから、もうどういう内容でもエンタメ小説らしい文章で書けると思います。「動きで魅せる」というよりエモさを重視したいなら、情景法でこれくらい書ければ十分です。
ざっと見たかぎり、あとは以下が課題かなと思います。
・心理描写を増やす
・時間の流れに緩急をつける
これらは必須ではありません。今のレベルでももう十分に高いので、ストーリーやキャラクターの魅力を伸ばせそうなら、それらを優先したほうが効率的ではあります。しかし文章にかぎって言えば、上記を習得すると文章の力で話を引っ張っていくことすらできると思います。
というわけでその二つのやり方を例文を用いながら解説していきます。