IRインタビュー(Vol.5):執行役員営業本部副本部長 兼 統括総料理長 鈴木一生
こんにちは。
株式会社ノバレーゼ IR担当の岩井です。
当社の経営および事業活動を牽引する取締役・部門責任者を対象としたインタビュー記事を公開する『IRインタビュー』。第5回は、当社の統括総料理長でありながら、当社100%子会社の株式会社ブロスダイニングでは代表取締役社長を務める鈴木のインタビューを公開します。
今回は、当社レストラン部門および株式会社ブロスダイニングの人的資本経営に関する内容を中心に話を聞きました。ぜひご覧ください。
今期注力した取り組みについて
今期は、スタッフの意識改革に対する取り組みに注力しました。結果として、業績にも大きく貢献できたと感じています。本社からトップダウンで指示をしたとしても、現場スタッフが動いてくれなければ組織として機能しません。そこで、今期から新たに経営に関する勉強会を実施しました。各店舗の料理長や支配人だけでなくサービスマネージャーも受講対象にし、損益計算書を読み解く方法など、経営の知識を学べる機会をつくりました。
スタッフ一人ひとりが『会社に雇われている意識』では、自分自身の言動や考え方に甘えが生じます。自ら店舗を保有して運営するオーナーシェフと、企業に属している料理長では、経営に対する意識や危機感に違いが生じるのは当然だと思います。ただ料理長には、店舗のキッチンを任されているという責任や、やりがいの大きさを、この研修を通じて今以上に感じてほしいという想いがありました。
私は『ノバレーゼグループで活躍する人材』ではなく、『他企業に転職しても通用する人材』を育成したいと考えています。もちろん、当社で長く活躍してもらうことが大前提ですが、飲食業界は転職が多いのも事実です。仮に他企業に転職しても、十分輝けるスキルや知識、マインドを身につけられるか、「さすがノバレーゼ出身」と言ってもらえるような人材を育成することが、目先の売上だけでなく、ひいては企業価値の向上に繋がると考えています。
人材の育成・定着・採用における強み
まず、育成・定着においては、20代の若手スタッフでも料理長のキャリアに挑戦できる機会や環境があることが、ノバレーゼとブロスダイニングにおける強みだと思います。ノバレーゼの婚礼施設においては、年間2~3店舗の新規出店を目指しているため、若手スタッフがキャリアアップに挑戦できる機会は年々拡大しています。
ただ、スタッフの育成においては、挑戦できる環境をつくること以上に、先述したようなスタッフ一人ひとりの『意識』が重要だと、私は捉えています。「自分が任された店舗は、ほかのどの店舗よりもお客様で溢れる人気店にしたい」という熱い気持ちや当事者意識を持っているかどうか。それによって、個人の成長の度合いも大きく変わると思っています。
また、レストラン運営を専業とするブロスダイニングの存在が、ノバレーゼグループ全体における調理・パティシエスタッフの定着、成長にも大きく貢献しています。婚礼施設とは異なる空間、料理ジャンル、オペレーションのもとで調理・製菓の技術を学びたい、経験したいというスタッフに、ノバレーゼグループの企業間で挑戦できる機会を提供することができるため、優秀な人材の流出を防ぐこともできます。逆に、結婚などのライフイベントで勤務地や働き方の変更を希望するブロスダイニングのスタッフに、ノバレーゼが運営する婚礼施設の調理・パティシエ職への転籍を提案することも可能です。
採用においては、調理・製菓技術の高さやこれまでのキャリアよりも、人柄を重視して選考を実施しています。いまでは、インターネットで検索すれば、料理のレシピはもちろん魚の捌き方も調べることができ、自身の知識や技術を磨き上げるための方法や手段は多様化しています。そのような時代だからこそ、調理・パティシエスタッフには、一緒に働くことで仲間に良い刺激や学びを与えられることや、「この人と一緒に働きたい」と周囲のメンバーが感じられる人望や信頼感を有する人物であることを、採否の判断における重要度の高いポイントにしています。
飲食業界は、この時代だからこそ、企業経営において人的資本を重要視するべきだと考えています。企業は、スタッフが活躍できる環境をつくる。その環境で、スタッフ一人ひとりが自身の人間性をさらに磨くことにより、社内外を問わず周囲からの信頼を厚くすることができる。結果として、育成した優秀な人材の存在が、企業価値を向上させる。
こうして、好循環を生み出すことができると考えています。
人的資本経営における今後の展望
組織構造の改革に着手し、調理・パティシエスタッフが中長期的にキャリアを形成できる仕組みをつくりたいと考えています。あくまで一例ですが、フレンチ部門の総料理長、和食部門の総料理長のような役職を新設するなど、目指したい役職に空きが出ないと昇進できないという状態は避け、キャリアが頭打ちにならず、スタッフがどこまでも高みを目指せる組織にしたいです。
また、ブライダル業界で活躍する料理人やパティシエを対象に、調理・製菓技術を競うコンテストを開催するなど、企業間の交流促進を図り、業界全体を盛り上げられるような取り組みにも挑戦したいと考えています。現状、明確な計画案ができているわけではありませんが、同業他社とも連携し、ぜひ実現させたいですね。
今後も定期的に、取締役・部門責任者のインタビュー記事を公開する予定です。次回の記事も、楽しみにお待ちいただけますと幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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