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「企業のグロースエンジン」になるために。新常識を追求するNOVARCAのビジョンとカルチャー

越境ECやグローバルマーケティングを手がけるNOVARCA。2017年の創業以来、中国をはじめとする海外市場で日本企業の成長を支援し続けてきた同社の歩みには、日本企業の世界進出への強い想いが込められています。今回は取締役3名が集まり、NOVARCAのビジョンとカルチャーについて語りました。


異なるキャリアを経て、再び1つのチームに

濱野 実は我々3人は高校の同級生です。ただ在学中は特に仲が良かったという訳では無くて、卒業後はそれぞれ別々のキャリアを歩んでいました。私はコンサルティングファーム、中澤は広告代理店、倉澤は大手事業会社でキャリアを積んでいました。当時は、一緒に起業しようとは思ってもいませんでした。

中澤との再会は、共通の友人の結婚式がきっかけです。2次会の幹事として完璧なプロジェクトマネジメントを見せる中澤の姿に惚れ込んで、自分の結婚式の幹事もお願いしました。イベントの企画から実行まで全てを完璧にこなす姿を見て、「この人と一緒にやりたいな」と直感的に思うようになりました。

代表取締役社長CEO濵野 智成

大学卒業後、Deloitteグループに入社。グループ最年少のシニアマネージャーとして、東京支社長、事業開発本部長を歴任。その後、株式会社ホットリンクに参画。COOとしてグローバル事業、経営企画、事業開発、戦略人事等を管掌。新規事業として立ち上げた株式会社NOVARCAを分社化・創業して、代表取締役社長CEOに就任。 国営ファンドであるJICグロース・ベンチャー・インベストメンツや米国発VCのDNXVentures、日本を代表するVCのグロービス・キャピタル・パートナーズ、元国営企業の日本郵政キャピタル、NTTDocomoベンチャーズなどから累計50億円の資金調達。 「世界的なプラットフォームの構築」と「日本のブランドの世界的成長」をビジョンに、年間10カ国・地域以上で活動中。 Newspicksプロピッカー。Forbesオフィシャルコラムニスト。

中澤 当時、広告代理店で夜遅くまで働いていた私は、転職は考えてもいませんでした。結婚式の2次会のプランニングを深夜1~2時から自分一人で、ある意味片手間でやっている状況のなかで、濱野から「いや、すごいじゃない」と言われて。「こういう能力が身についていたんだ」という事を理解し、初めて真剣に転職を考えるようになったんです。

取締役副社長COO 数慧光(上海)商务咨询有限公司 董事長兼総経理 中澤 吉尋

大学卒業後、日本経済広告社(ADEX)に入社。大手企業を中心に広告ソリューションの提供やメディア開発に従事。2016年4月に株式会社ホットリンクに参画し、経営企画部のマネージャーに就任。新規事業として中国へのデータマーケティング事業の立ち上げを担当。2017年1月、株式会社トレンドExpress(現:株式会社NOVARCA)の分社化に伴い、CEOの濵野と共に共同創業。2017年3月に同社取締役に就任し、事業責任者として事業成長を牽引。 その後、 COOとして越境ECプラットフォーム事業の立ち上げと成長を牽引。 現在は中国オフィスの董事長兼総経理も兼務し、全事業を管掌。 2024年4月より取締役副社長COO。

濱野  中澤のことは前職の頃からずっと誘っていたんですけど、そのときは一緒に働くことは叶いませんでした。私が株式会社ホットリンクのCOOとしてジョインした際にあらためて中澤に声をかけて、訪日観光客の爆買いブームを機に新規事業を立ち上げることになりました。中澤は経営企画の責任者としてその立ち上げを担当し、半年後の2017年にはNOVARCAの前身である「トレンドExpress」としてカーブアウトして、私と中澤の共同創業という形で独立を果たしました。

さらに翌年、会社の資金調達のためにトランスコスモス株式会社を訪問した際、12年ぶりに倉澤と偶然再会しました。名刺交換の際に「お前こんなところにいたのか」とお互い驚き合ったのを覚えています。10人ほどの役員たちが並ぶなか、倉澤は経営企画(事業企画)担当として鋭い意見を投げかけていたのが印象的でした。

倉澤 その後3人で飲みに行くことになって、「うちの会社に来ないか」と打診されたんですけど正直最初は乗り気じゃなくて。

取締役CSO 倉澤 朋也

大学卒業後、トランスコスモス株式会社に入社。経営企画部門にて新規事業のグローバルEC事業の立ち上げやM&A業務に従事。 2018年9月に株式会社NOVARCAの越境EC推進室長として参画。2018年10月にソリューション事業本部 越境EC事業部長、同社執行役員に就任。2020年7月に経営管理本部長、2020年11月に同社取締役に就任。コーポレートガバナンスやファイナンス、経営企画、戦略人事などを管掌後、2023年1月より取締役CSOに就任。

濱野 倉澤から「そんなに来てほしいんだったら、ビジョンを教えてよ」と言われたときに私は答えました。デジタルシフトで6.5兆円の広告市場が動いたように、これからグローバルシフトという時代が来る。そこで我々が業界のナンバーワンを取るんだと。すると倉澤は、「なんでそんな小さい市場しか見ていないんだ」と返してきました。日本の流通市場は600兆円、中国市場は1000兆円規模になろうとしている。その巨大市場にこそチャンスがあるはずだと。

自分が熱く語ってるビジョンにさらに上乗せしてくる倉澤に、頭を砕かれる思いでした。我々もちょうど越境ECの事業に着手していたタイミングでもあったので、「だったら倉澤もうちに来てよ」と勧誘しました。中澤が口説き倒してなんとか来てもらったのが、2018年の秋です。

中澤 出自がバラバラの3人がなぜか集まって、今こうやってグローバルなビジネスに挑戦しているわけですよ。そういう意味ではすごく不思議な結果だなと思います。

失われた30年を超えて。危機感から生まれた挑戦

濱野 我々は1984年世代で、いわゆる「失われた30年」と共に育った世代です。バブル経済の絶頂期を知らず、ずっと右肩下がりの日本しか知りません。でも、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という世界的なブランドの名残はまだ感じていました。私自身、父が経営者でバブル崩壊の影響で会社が厳しい状況になった経験から、企業の成長や活性化につながることをしたいという思いが強くありました。自分がコンサルタントになったのも企業の成長支援をしたかったからです。

中澤 僕らの世代って、物心ついたときから平成大不況でしたよね。最初の記憶がバブル崩壊で、社会人になった途端にリーマンショック。上向きかけたと思えば東日本大震災が来て……、好景気を実感したことがありません。

先輩や上司たちがバブル期の成功体験を語るのを聞きながら、「そういう時代が再び勝手に来ることは無いだろう」と感じ、それでここからどう勝っていくのかを考えたときに、「日本で」ではなく「世界で」戦っていく必要性を強く感じたんです。

倉澤 我々の原動力の1つは「危機感」です。日本のプレゼンスが下がっていくなかで、次世代、つまり子どもたちの世代に対して何ができるのか。それと同時に、自分たちが世界で通用するビジネスを作りたいという挑戦意欲もありました。率直に言えば、単なる理想だけでなく、ある種の意地のような感情もあったと思います。

市場の変化とともに進化するビジョン

濱野 我々の会社は創業時からミッション・ビジョン・バリューを大切にしてきました。2016年の創業準備期間中、初めに取り組んだのがこれらの策定でした。人と世界を繋ぐ会社を作ろうということで、「データの可能性を追求し、グローバルビジネスに成功を」というのが最初のミッション。2020年までに中国マーケティングでナンバーワンになることをビジョンとして掲げました。

中澤 当初、最初に立ち上げるべきビジネスのキーワードとして、データドリブンなマーケティングへの期待がありました。当時、中国向けマーケティングは「よくわからないけど爆買いされている」という受け身の状態だったので、我々はデータを分析してなぜ売れているのかを理解し、再現性を持たせることを目指しました。中国マーケティングに悩みを抱えている日本企業と仕事をしていくなかで、普通の広告代理店では絶対に接点を持てないようなレイヤーの方々と直接かかわる機会を得ました。そこでプロ中のプロのマーケターたちと新しい常識を作っていくような手応えを感じたのを覚えています。

濱野 2020年には、TikTokなどで知られるByteDance(バイトダンス)さんから中国マーケティングのナンバーワン企業として認められる成果を上げることができました。その後、コロナ禍で事業構造が大きく変化し、マーケティング事業がほぼ100%だった構成が、eコマース事業8割、マーケティング事業2割という比率に変わりました。

それにともなって、社名を「トレンドExpress」から現在の「NOVARCA」に変更し、ミッションも「国境の先に、新常識を。」へとアップデート。ビジョンも「グローバルプラットフォームを作り上げる」というより大きな目標に進化させましたが、それをまた2025年に向けてリバイバルをかけようとしているという状況です。

過去の話にはなりますが、私が初めて中国に渡った頃は尖閣諸島問題などで日中関係が緊迫していた時期で、日本のメディアを通して見る中国は「ちょっと触れづらい」存在だったかもしれません。しかし実際に行ってみるとすごくいい国で。同時に、日本を訪れた中国人観光客の多くが「日本は美しい国だ」と感動して帰国し、中国でも日本のアニメなどのコンテンツを通じて日本のファンになる人が増えていく。この経験から、人々の交流や文化の循環が、国と国との誤解を解くという確信を得ました。

社員には笑われることもありますが、私の最終的な夢は「世界平和」です。人材、コンテンツ、文化の交流を増やしていくことで相互理解が深まって、よりボーダレスな社会が築かれていく。その想いが、現在のミッション「国境の先に、新常識を。」にも込められています。

人と組織がともに成長するNOVARCAのカルチャー

濱野 我々経営陣3人は同じ高校出身という一見多様性に欠ける構成ですが、実はNOVARCAのカルチャーの特徴の1つが「ダイバーシティ」なんです。外国籍メンバーが50%を超え、女性比率も高く、多様なライフスタイルの社員が集まっています。

中澤 カルチャーの特徴として、「理想と現実の行き来ができる」というのもあると思っていて。これは会社としても個人としても同じで、たとえば、「売上を伸ばすこと」と「価値を提供すること」は時に相反する様に捉えられますが、その両方をバランスよく追求している。社員一人一人が、会社のミッションと自己実現をうまく調和させながら、自分で考えて決めている。こうやって相反するものを消化させられるから、理想だけを追う人がいないんですよ。

濱野 そういう意味で言うと、「逆境への強さ」みたいなのも1つのカルチャーかもしれませんね。

中澤 確かに。じゃあなんで逆境に強いかというと、「柔軟性がある」ところではないかなと私は思っています。これまでの事業を振り返ってみても、分析の事業から始まり、次にプロモーションをやろうとしたときにコロナで白紙になって。でもそれをきっかけに越境ECの事業が成功して。あったものがうまくいっているのではなく、その都度作り上げているんですよ。仮にこれから先また会社が崖っぷちになったとしても、多分また新しいものを作って次のステージに行くんだろうなという気はしています。

倉澤 あとは「コミットメントの強さ」も特徴だと思いますね。これは単なるノルマではなく、称え合う文化から生まれています。たとえば朝会で、濱野さんや中澤さんが誰かの成果や努力を取り上げて、周りが純粋に喜んで称え合う。そういったところから、押し付けられたノルマではなく、自然と「最後までやり切ろう」という意識が生まれてくるんです。

中澤 バリューにもあるように、「せっかく働くんだったら楽しく働こうぜ」という価値観も大切にしていますよね。毎週金曜日の夕方には、全社員がオンラインも含めて集まって、「ハピフラ(ハッピーフライデーの略)」という30分の週次報告会が行われます。お酒片手に、この1週間にあった良かったことの共有や自己紹介など様々な角度からお互いを理解するための情報が共有されます。

大変なこともあるけど、金曜日の夜は笑って終わりにして土日を過ごせるようにしようと。こういう交流会やイベントなどは完全に社員主導で運営されているので、「自治・自立」みたいな意識の強さは感じますね。

倉澤  ハピフラ以外に全社員が顔を合わす場としては、毎週月曜朝の全社朝会「ナム(NAMM:NOVARCA All Member MTGの略)」があります。こうやって週の始まりと終わりに全社員が顔を合わせる機会があるから、「人と人との距離が近い」っていうカルチャーがあるのかもしれませんね。

濱野 それは社内エンゲージメント調査にも効果が表れていて、他社への「会社の推奨度」は85%を超える高い数値を維持しています。リファラル採用が50%を超え、出戻り社員も増えてきているのも、この文化の表れかもしれません。

日本が世界で勝つインフラをつくる。新時代の幕開け

倉澤  今、インバウンド需要が戻ってきて、しかも中国だけでなくさまざまな国の方々が日本を訪れています。我々がこれまで培ってきたアウトバウンドのノウハウと組み合わせることで、より包括的なグローバルマーケティングのエンジンになる。これはすごく大きな潮目なのではと個人的には思っています。

中澤 これからはさらにグローバルな挑戦をしていく段階ですが、「日本のブランドをどう世界で勝たせるか」というテーマは変わっていません。今年も我々がサポートさせていただいている企業様で、大幅な売上増を実現するケースが次々と出てきていますし、これが世界で勝つ入口の1つではあるなという手応えを感じています。9月に資生堂ジャパンさんとツーリズムの戦略的パートナーシップを結んだように、着実に実績を積み上げていきたいと考えています。

濱野  製造業の時代には、ソニーやトヨタなど、世界で勝つ日本企業がたくさんありました。しかしインターネット時代になってからは、コンテンツ産業を除いてそういった企業が少なくなっていますし、特にスタートアップで世界に挑戦する企業は限られています。私たちは「企業のグロースエンジン」になりたい。そのために、日本企業が世界で勝てるマーケティングを再現性をもってできるインフラを作る。これは前例のない挑戦です。

世界的なプラットフォームになるまではまだまだ遠い道のりですが、一歩一歩着実に歩みを進めています。そして、その過程で最も大切なのは人材です。世界で戦える「無敵艦隊」のような強いチームを作っていきたい。我々と同じようにふつふつと湧き上がる想いを持つ仲間と出会えることを楽しみにしています。

株式会社NOVARCAでのキャリアに少しでもご興味をお持ちの方は、
ぜひ以下の公式ホームページもご覧ください。
大切にしている価値観や求める人物像などについて紹介しています。
【株式会社NOVARCA 採用情報】
https //www.novarca.jp/recruit/

撮影場所 WeWork KANDA SQUARE


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