ひきたよしあき「あなたを全力で肯定する言葉【第24回/最終回】レッテル貼りは、もうやめよう。」
☆mediopos3275 2023.11.5
「コレカラ」で連載の
ひきたよしあき
「あなたを全力で肯定する言葉」の最終回
シンプルすぎる「結論」なので
あえてとりあげる必要があるかどうかは疑問だが
単純なポジティヴ・シンキングよりも
ネガティヴな力の働くベクトルの角度を
少しばかり変えてみるというような処方箋も
自己肯定の方向へとベクトルを向けるには
現実的かと思われるのでとりあげることにした
これまでとりあげられていた
22回分の「悩み」に共通しているのは
次のように「私は、○○な人間です!」と
「自分に「レッテル」を貼っていること」だという
「自己肯定感が低い」「コミュ障」「コスパが悪い」
「ダメ上司」「本気で人を好きになれない」「夢がない」
「若い子に勝てない」「社畜」「不寛容」「老害」
「母親失格」「モテない男」「口下手」「都合のよい女」
「ネガティブ思考」「アピールポイントがない」
「妻に怒られる」「親を大切にできない」「性格が悪すぎる」
「問題意識が強すぎる」「向上心がない」「変われない」
いくら「全力で肯定」しようとしても
じぶんでじぶんを決めつけていると
その外にでることは難しくなる
なぜ難しくなるのか
「脳は、命令された情報を集める機械」だからだという
じぶんでじぶんに「○○な人間です!」と
レッテルを貼ると脳はそれを証明するための
「過去事例を一生懸命集め」ることで
そのレッテルを見事証明してしまうのである
そんなレッテルを自分に貼ってしまうのは
「セルフハンディキャップ」
つまり先にネガティブなことに関する
「弁解」を用意してしまうからなのだが
まず必要なのはそうしてしまうじぶんに
早く気づくことだという
しかしそうすることも難しいならば
たとえば「私は口下手だ」
と決めつけないで
「口下手のときもあります」というように
「語尾を曖昧」にすることで
脳が「口下手」の証拠集めをしてしまうのを
少しでも避けるようにする
「私は口下手だ」→「私は話し上手だ」
というふうなシフトはまず現実的ではない
だからといって
「私は口下手ではない」というのは
たんなる表面上の否定なので
むしろ逆に「口下手」であることを
意識化させ固定してしまうのであまり得策ではない
「語尾を曖昧」にするというあたりが現実的だろう
さてひきた氏は最後に以下のような
「あなたが、あなたを全力で肯定する言葉」を
5つ紹介しているが
これらが果たして効果的かどうか
というよりも
果たして可能かどうかというあたりが?だ
<1>ま、いいか。
<2>どうせ、うまくいく。
<3>ゆっくり前へ。
<4>じーんを大切に
<5>ありがとう。
おそらくこれらの言葉は
「レッテル貼り」の得意な人が
最も苦手としている言葉なのではないかと思われる
可能かどうかはわからないが
「レッテル貼り」をしてしまう世界を
作り出しているじぶんの世界を描き出してみることで
その「レッテル貼り」がなぜ生まれるのか
ほんとうにその「レッテル貼り」そのものが問題なのか
それを生み出している別の理由があるのではないのか
さらにはほんとうにじぶんは
その「レッテル貼り」を変えたいのかどうか
(それを変えると別のところに問題が出るのかもしれない)
といったあたりを検討してみるほうが
結果的には近道なのではないかと思われるのだが・・・
(「レッテル貼り」をすることで別のところで
救われているということもあるだろうから)
さらにいえば
昨今とりあげられることの多い
ネガティブ・ケイパビリティのように
じぶんに貼り付けた「レッテル」のような
「答え」をできるだけださないまま
わからない状態に辛抱強くじぶんを置くことで
おのずと生まれるなにかを待つということができれば・・・・
■ひきたよしあき「あなたを全力で肯定する言葉
【第24回/最終回】レッテル貼りは、もうやめよう。」
(Web いつだって、コレカラが面白い「コレカラ」2023年9月8日)
「私たちは、常に評価の目に晒されて暮らしています。「いいね!」という言葉にも、「おまえを評価してやる」という意味が含まれています。人間関係が希薄になる中で、裁きの目を浴びている。今、あなたに必要なのは、あなた自身を全力で肯定する言葉です。私はコミュニケーション・コンサルタントとして、小学生から政治家までを「言葉の力」で応援してきました。現場で培ったノウハウで、エールを送りたい。あなたを、丸ごと、全力で肯定します。」
「今日まで22人の方の悩みに耳を傾けてきました。
私なりに、全力で皆さんを肯定し、経験と知識を総動員して、アドバイスを送ってきたつもりです。
もちろん、それぞれの方が置かれている環境や生きてきた時代について、詳しく知っているわけではありません。
中には見当違いなものもあったかもしれません。
そういう方に対しては、自分の力不足を認め、素直にあやまります。
ごめんなさい。
22人、悩んでいることはバラバラでしたが、共通することもありました。
それは、全員が、自分に「レッテル」を貼っていることです。
「自己肯定感が低い」「コミュ障」「コスパが悪い」「ダメ上司」「本気で人を好きになれない」「夢がない」「若い子に勝てない」「社畜」「不寛容」「老害」「母親失格」「モテない男」「口下手」「都合のよい女」「ネガティブ思考」「アピールポイントがない」「妻に怒られる」「親を大切にできない」「性格が悪すぎる」「問題意識が強すぎる」「向上心がない」「変われない」
どの方もこうしたレッテルを自分に貼り付けて、
「私は、○○な人間です!」
と言う。
自分に「私はこういう人間だ!」とラベリングをして決めつけてしまう。
このレッテル貼りこそが、悩みを解決するときの大きな弊害になるのです。」
(「脳は、命令された情報を集める機械」より)
「なぜ、弊害になるのでしょう。
それは、脳という器官が指令が出たものに忠実に答える機械にすぎないからです。
あなたが「私は口下手だ」と宣言する。
すると脳は、それが本当か嘘か考えることなく、過去の中からあなたが「口下手」で失敗した情報を集めてきます。」
「脳はこうした情報を瞬時に集めて、あなたが「口下手」である証拠固めをしてしまう。
こうなると、あなたは「口下手」を直すより自分は「口下手」であることの証明ばかりに力を入れるようになってしまう。」
今回、相談を頂いた22名の方の質問内容が大変饒舌なのも、きっと「不寛容」
「母親失格」「老害」と言ったレッテルに脳が証明できる過去事例を一生懸命集めてきたからでしょう。
どれもこれも見事に「レッテル」を証明していました。
(「セルフハンディキャップから逃れる」より)
「では、なぜ弊害になることがわかっているのに、人は自らにレッテルを貼ってしまうのでしょう。
人前に出たとき
「私は語彙が少ないので、うまく話せないのですが……」
と先に自らにレッテルを貼って、周囲に宣言する。
これを「セルフハンディキャップ」といいます。
失敗しそうなときに、先に弁解をしておくこと。
これを言うことで、相手に
「確かに、うまくないけど、少ない語彙でよく話せたよ」
なんて思ってもらいたいと期待します。」
「これを直すには、「自分で自分にレッテルを貼ろうとしている自分」にいち早く気づくこと。
口癖になっている場合もありますので、注意深く自分の言葉を観察するようにしましょう。」
(「決めつけないこと」より)
もうひとつ大切な改善ポイントがあります。
それは、「決めつけないこと」です。
「私は口下手です!」
と決めてかかってしまうと、脳はその情報を集めだします。
だから、
「私は口下手のときもあります」
と、言い方を少し変えて、決めつけるのをやめること。
すると脳は、「口下手」の証拠集めの仕事を止めます。」
「語尾を曖昧にするだけで、脳の「負の証拠固め」を避けることができます。」
(「あなたが、あなた自身を全力で応援する言葉」より)
「さて、最後に、「あなたが、あなたを全力で肯定する言葉」を5つほど紹介します。」
「<1>ま、いいか。
ミスをしても、自分を許す言葉です。」
「<2>どうせ、うまくいく。
どんな辛い目にあっても、最後の最後は、ハッピーエンドに終わるに決まっていると強く信じる言葉です。」
「<3>ゆっくり前へ。
(・・・)
マイペースで、ゆっくり前へ進む。
その自分を褒めてあげる。」
「<4>じーんを大切に
頭で考えてばかりいるとどうしてもナガティブになってきます。
考えないこと。
心で感じること。」
「<5>ありがとう。
日本語の中で最強の言葉。
感謝の言葉ではなく、人生を前向きにする呪文です。」
○ひきたよしあき
コミュニケーションコンサルタント、コラムニスト、(株)SmileWords 代表取締役。博報堂でCMプランナー、クリエーティブディレクターとして数々のCM制作を手がける。政治、行政、大手企業のスピーチライターとしても活動。2022年より大阪芸術大学放送学科客員教授。主な著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『一瞬で心をつかみ意見を通す対話力』(三笠書房)、『大勢の中のあなた へ』(朝日学生新聞社)、『人を追い詰める話し方 心をラクにする話し方』(日経BP)など。
◎ひきたよしあき
あなたを全力で肯定する言葉
【第24回/最終回】レッテル貼りは、もうやめよう。