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一水四見

☆photopos-3624(2024.8.12)

ひとはそれぞれ
十界に棲むという

人間は水を水と見
天人は瑠璃と見
餓鬼は膿の血と見
魚は自分の宮殿と見るように*

同じ世界が
異なった世界として
あらわれている

それぞれは
それぞれの世界を
疑うことはなく
世界は世界だと見ている

同じものを見ても
同じように見ないのは
同じ話をしても
同じ話にならないのは
世界が異なっているからだ

世界を瑠璃に
見せようとする者は
聖者ではないだろう

異なった世界を
つなごうとするためには
すべての世界にひらかれた
聖なる耳が必要だ

世界を膿の血と見る者に
聖者は手を伸べようして
ともに地をよろよろと歩きもするだろう

*愛媛県久万高原町・面河渓にて
(*「一水四見」(『瑜伽師地論』道元「現状公案」)

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