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解剖 #1-5 視床


 

 視床は大脳の正中近傍で、中脳の上部に両側性に位置し、内側は第三脳室、外側は内包に接しています。視床下部と下垂体とともに、間脳を構成します。支障は外側部と内側部に分かれ、それぞれ、大脳皮質の体性感覚野や覚醒に関与する中脳網様体の中継をします。


視床の解剖的位置


視床の機能

 視床は全身の感覚、視覚、聴覚などの知覚情報の中継点です。感覚伝導路の中継点になり、受け取った情報を分析統合し大脳皮質に投射します。小脳からの運動の発言や調節などの情報を大脳皮質の運動領域に伝えています。さらに、情動や新しい記憶にも関与します。


視床の障害

 基本的に傷害された反対側に症状が出現し、その症状は時間的変化が起こります。急性期では半側感覚低下と感覚性運動失調、慢性期では視床失語と視床痛、感覚過敏、視床手、病態失認が出現します。


 半側感覚低下は、顔面を含む全身に出現しますが、顔よりも体幹や四肢の方が強く障害されます。特に深部感覚(位置覚)の障害が著明になりますしばらくすると位置覚障害のために運動失調を起こします。これを感覚性運動失調といい、ロンベルグ徴候が陽性となります。

 ロンベルグ徴候(Romberg's sign)とは、閉眼時に身体が動揺したりよろめいたりする現象です。深部感覚の障害によって生じる運動失調の症状の1つで、位置覚障害の検査に用いられます。ロンベルグ徴候は、脊髄性運動失調の代表的な症状で、感覚障害や運動障害による平衡障害や運動失調を持つ患者の臨床評価に用いられます。

ロンベルグ徴候の検査手順は次のとおりです。
①患者に両足を揃えて立ってもらいます。
②両腕は体の横に置くか、体の前で交差してもらいます。
③検査者は患者に、まず目を開けて静かに立ち、次に目を閉じて立つように指示します。

 患者が目を閉じている間、バランスを崩したかどうかを判定し、バランスを崩すと陽性と判断します。

 視床失語は、どもるように同じ言葉を繰り返したり、話の途中で勝手にとばしてしゃべったりする独特な失語症です。
 視床痛は、慢性になってくると生じる激しい痛みがです。痛覚過敏も出現します。

 視床手は、中手指節関節は軽度屈曲、指節間関節は過伸展した肢位になります。

視床手


視床を栄養する血管

 視床を養う穿通枝は5種類あります。中枢側から後交通動脈から分岐する視床灰白隆起動脈、後大脳動脈起始部から分岐する視床穿通動脈、後大脳動脈脚部~迂回槽部から分岐する視床膝状体動脈、内側後脈絡動脈、外側後脈絡動脈があります。視床を栄養する血管の多くは後大脳動脈から分岐します。
 特に視床穿通動脈と視床膝状体動脈が閉塞動脈として重要です。

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脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の脳の中
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