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マダミス制作日誌 vol.17/マダミス=福袋説?
※本記事はとあるシナリオのネタバレ風味を含むので、文章の順序を倒置させています。見たくない方は前半部分の結論のみご覧ください。
▶マダミスとは福袋、である(前半/結論)
そう認識すると良いのかもしれない。
開けるまで、中に何が入っているのか分からない福袋。しかしそれ故に、外れた時のガッカリ感は強い。クレームが増える可能性があるのも当然だろう。
セブンイレブンの上げ底弁当が炎上していたが、これも似たような原因だろう。ユーザーは『期待を裏切られたと感じた』時、最も怒りを覚えるのかもしれない。
マダミスの場合、シナリオの中身が見えないため、パッケージから判断するしかない。そして実際にどれかのキャラクターをプレイしてみて、初めてその中身が判断できるのだ。
これまで私は、その許されるかどうか?のボーダーラインを『有料か否か?』で判断しようと考えていたのだが、今回の件を踏まえてそうではないな、ということが理解できた。
それは、『ユーザーの時間対価』で判断するべきだったのだ。……あくまで金銭はその時間との為替の結果、ということである。
フタを空けても商品が手に入るわけでもなく、その体験価値のみが対価とされるマダミスという福袋において、ユーザーの時間を頂くということをシナリオ作者は改めて考えなければいけないな……と思わされる出来事だった。
▶事の起こりと炎上理由の推察(※後半部分/ネタバレ風味有)
それでは、原因部分について触れたい。
なぜこうした結論になったかというと、例のシナリオだ。
前回にも書いた、未完成シナリオにまつわるエピソードなのだが、あまりにも感想に酷評が増えてきたこともあり、「さすがにネタバレは可哀想なんじゃ……?」という作者さんたちからのコメントも見られ始めた。
そのせいか、さすがに運営も対処をしたようで、今日の時点でネタバレコメントは見えなくなっていた。しかし、感想のコメントはそのままだ。
普段であれば私も、同じシナリオ制作者として作者側の視点に立ち、まあまあ……となだめたい所なのだが、さすがにちょっと今回は『そりゃないんじゃない?』というプレイヤー側の立場に立ちたいと思う。
というのも、該当シナリオは『あまりにもユーザーへの愛が無さすぎる』からだ。
マダミスというのは、最低限の相互理解……つまりは歩み寄りがあって、初めて成り立つゲームだ。プレイヤー側がそのルールを守り、ネタバレや禁止事項を守ることで、ゲームが成り立つ。
だからこそ、悪質プレイヤーにおける、ネタばらしや途中抜けなどのルール違反には厳しく接する。そうすることによって初めて卓が成立するという暗黙の了解がお互いにあるからだ。
そのため我々作者も、悪質なプレイヤーには「出て行け!」と言いたくなるし、そうして村の秩序は保たれることになる。
一方で、それはプレイヤー側にも同じことが言える。作者とプレイヤーたちの相互理解によって成り立つのであれば、プレイヤーも悪質な作者に対しては不満を言う権利はあるだろう。
▶プレイヤーたちによる圧政への暴動
今回のケースは、あまりにも民(プレイヤー)のことを考えていない神(作者)による横暴に対して、コメント欄において民たちが一斉蜂起したという雰囲気に近い。
通過していない方や、何故そうなったのか?という根本が理解できない方のために一部ネタバレ風味で解説しよう。最も大問題となった点。それは、
真相が間違っていた!からである。
それに気付いたのにはなんと『我々の卓に観戦者として参加していた方が、シナリオ終了後にわざわざミュートを解除して教えてくれたから』だ。
……そんなことって、ある?
そのおかげで、謎解きの先に待っている新たな事件が起こらず、それでいて最後の投票には犯人選択肢が出てくるため、PL一同(あれ?出てきてないけど、この人死んでるの……?)と、ポカンとなってしまったのだ。
もちろんこれ以外にも、
あまりにも読みにくい改行のないテキスト
文字情報のみで画像のない館の見取り図
入力方法がよく分からないキーワード入力
など、いくつも問題点があったのだが、私が個人的に(これは無いな……)と思った点は、終了時における『地の文は〇〇が読んでください』というテキストがそのままだったからだ。……さすがに、手抜き過ぎない?
おかげで、乱入してきた観戦者の方とも話が盛り上がり、ある方は納得できなかったのか、終了後すぐに黙って抜けられてしまい、卓は微妙な雰囲気で感想戦を終えた……。
▶ユーザー側はただのサービス受益者ではない
これらの問題のほとんどは、テストプレイをきちんと行っていれば防げた問題である。二回ほど行われたようであるが、果たしてそこではどのようなフィードバックが行われたのか。
私だったら許さないが、果たして指摘は無かったのか?それとも優しめの指摘しかされなかったのか?はたまた、作者はそれを無視したのか?
さらには、整合性の取れていないシナリオを、運営側は【本格マダミスウィーク】参加シナリオとして許可したのか。
ルールを守らないプレイヤーを作者が咎めるように、ユーザーのことを考えない作者は糾弾されても仕方がないと、私は思う。
その結果、国道をトラクターで塞ぎ、政府の一次産業者への無理解を咎めるフランスの農民たちのように、不満を持ったプレイヤーたちは作品のコメント欄へと押し寄せたのだ……!
この現象は、作者として非常に興味深いものだった。
たとえ有料シナリオでなくとも、このようなユーザーの暴動は起こるのだと……。
そしてそれは必ずしも、有料なのかどうかは関係ないのだと思った。重要なのは、『要した時間と期待感の関係』に近く、これは多分『福袋』という商品に似ているのだろう。
実際、私自身の作品にも、コメントが寄せられている。
その多くは好評の声で嬉しい限りなのだが、中には『フリーレンのようなシナリオだと思ったらただのパクリで嫌でした』という辛辣なものもあり、ごめん……!となっている。
(※ちなみに「くらいよーこわいよー」の元ネタはフリーレンではなく、あの作品もそのシーンをパクっているのだが、それを知っている人は今やどれくらいなのだろう……?)
私自身は、むしろそういうパクリのようなオマージュを入れることで、ファンのプレイヤーは喜んでくれるだろう……と思って挿入したのだが、中には逆効果となる方もいるようだ。
まあ、作って世に出した以上、それは仕方ない。
改めて、マダミスシナリオ制作の難しさを感じさせられた事件だった。
現在、作者さんは絶賛修正中のようなので、果たしてこれはどのような形で着地するのか。その際のコメント欄はどのように残されるのかが、気にはなっている。