「タネ」のこと
野菜を作りはじめて、改めて気づいたことがあります。
「野菜はタネからできている」ということです。これあたりまえのことだと感じる人がほとんどだと思います。
たった数㎜しかない種が、芽を出し、根をのばし、太陽を浴びて、実をつけるんです。
大袈裟かもしれませんが、「生命」を感じます。スーパーなどで大量に並ぶ野菜たちを見るたびに、「感動」を覚えます。
最近「種苗法改正案」が話題になってます。
私は新型コロナウイルスが流行している大変な時期に人の命を左右する「タネ」についての議論は延長すべきと考えます。
少し難しいですが、毎日生きるために「食」べている私たちにとって、とても重要な話題だと考えます。
そのためには「種」について知ることが必要です。
固定種とF1種
[固定種]
農家さんが種を採り、その種を蒔いて育て、また種を取る。実が甘いものもあれば、酸っぱいものもあり、皮が硬いものもあれば、薄いものもある。タネにはひとつ一つの異なる特性を持っています。種をとる作業によって、特性を選別し、固定した種を「固定種」といいます。何世代も種を採り続けることが可能です。
[F1種]
二つの異なる品種を掛け合わせて作るタネです。例えば、「病気に強いトマト」と「味が美味しいトマト」を掛け合わせて、【病気に強い美味しいトマト】を作ります。しかし、掛け合わせて出来た特性は第一世代のみにしか現れず、遺伝の法則により、タネを取ることができません。(正確には取れるが、モノにならない。)
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今、国内では稲や麦などの穀物を除き、野菜の種の9割がF1種と言われてます。
商品としてそのまま販売される固定種もありますが、企業にとっては、毎回新しい種を買ってもらえるF1種の方が優秀な商品といえます。
農家の人でさえ、自分で種を採る人は少なくなっている現状があります。
種子法と種苗法
これは、種に関する法律です。
(今回は小林宙さん著の[タネの未来]という書籍を参考にさせていただきます。)
「種子法」
正式名称は「主要作物種子法」で稲や、むぎ、大豆などの主要な作物が対象。それらの作物を国の管理のもとでタネの開発や生産をすることを定めた法律です。
この法律があることで、新しい品種が次々と開発され、特に稲作においては日本全国で強くて美味しいお米が作れるようになりました。
つまり、タネの公益性(利益が一箇所に固まらないこと)が守られています。
しかし、2018.4.1 にこの法律は廃止されました。
「種苗法」
品種登録されたものについては生産や販売を独占できる「育成者権」が与えられます。これにより、生産性向上のために、優良苗種の品種改良がしやすいような制度が設けられたました。
ただし、種苗会社から買った種で育てた作物から、農家自身が種をとることは原則的に認められています。つまり、企業の「独占の権利」を守るための法律です。
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しかし、今農家自身がタネをとることができなくなるような法律(登録品種にかぎる。許可があればok)が施工されるかもしれません。
2017年に種苗法の施工規則が改正され、登録品種が82種から289種に増えました。
これから議論されていきますが、ゆくゆくは農家が自分の畑からタネをとって栽培することが禁止の方向に向かう可能性があります。
今の日本は公益性を守るための法律である「種子法」が廃止され、独占の権利を守る種苗法が強化されつつある。というのが「タネ」をめぐる現代の情勢だということをたくさんの人に知って欲しいです。そして、もっとたくさんの人に「タネ」の大切さに気づいて欲しいです。
難しい内容で、長くなってしまいましたが、少しでも多くの人に「タネ」に興味をもって、この話題について考えて欲しいです。
「もし自分で種がとれなくなったら、、、」
そんな危機感を抱きながら、過ごしています。
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